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そして未亜さんだ。
「私と美洋は岩場や陸地の採取メインで考えています。勿論突きとかもやってみるのですが、基本体力は高校生や男子には勝てないのです。
あと、あの巨大な網は高さ1.5メートル、長さ30メートルの長い網なのです。竹を砂浜等に差し込む事で固定出来るようになっています。
あれをのの字型にセットして、中央に入った魚を捕まえようという作戦です。潮の満ち引きを使うので恐らく1日1回だけ、ただ上手く行けば大物をがっさり獲れるんじゃないかと思うのです」
「すだて漁、というそうです。前、何かの雑誌に書いてあって、一度やってみたいと思っていたんです。本当は遠浅で潮の干満が激しい湾内等でやる漁ですけれど、今回行く場所も1メートル位は潮の差があるようなので」
美洋さんはさらに、メモ帳に簡単な図を書いて説明してくれた。
「ただ今日は時間的にちょっと無理なので、潮の流れを見て明日から仕掛ける予定なのです。それまでは釣りとセルビンの手伝いをするので、明日の設置は手伝って欲しいのです」
確かに上手く行けば、泳いでいた魚を一網打尽だ。
「確かにこれで獲れれば面白いかも」
彩香さんも興味津々という感じ。
「浪漫なのですよ。ただ本場のすだて漁だとアカエイとか、微妙に危険な魚も入るので、注意は必要らしいのです」
でもひとつ疑問が。
「最後に、のの字の○の中に残った魚はどうやって捕るんですか?」
「先生のたも網2本を持っていって、掬っては袋に入れるの繰り返しなのです」
最後は原始的な訳か。
でもそれも楽しい気がする。
「ただ上手く行くかは、潮と場所と運なのです」
まあそうだろうけれど。
でもそうなると、今日は何とかして僕が釣らないと魚無しか。
頑張らないとな。
頑張っても釣れない時は釣れないのだろうけれど。
そういう意味で一番確実なのはセルビンかな。
でもセルビンというと……。
「そう言えば、セルビンの中に入れるエサ、最初はどうしようか。何か獲れてからは、それを切り身にして入れれば良いだろうけれど」
「最初は皆で岩場や潮だまりを捜索なのですよ」
「いや、実はエサはあるぞ」
寝ていたはずの川俣先輩が、いつの間にか輪に加わっている。
先輩はにやにや笑って口を開いた。
「セルビンのエサなんてタンパク質の匂いがすればいいんだ。だから最初は味噌と小麦粉を失敬して、味噌団子を作って仕掛けておけばいい。正規のエサより若干弱いだろうけれどさ。小麦粉を混ぜるのは、ゆっくり溶けるようにするためだ」
「何故にそんなマニアックな技を知っているのですか」
知識量を誇る未亜さんも驚いている。
「何をかくそう、去年の合宿で私が使った手だ。あれは伊豆だったけれどな。ではもうちょい寝る」
先輩、ふらっと倒れてそのままシャットダウン。
「気配も音も最大限に殺したまま動くので、気づけないですよ」
未亜さんの意見に、皆で頷く。
まさに猫だ。