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蝶舞(かれん)@常にスランプ
30
滅びに向かい続ける世界の中で、救世主の如き仲間達が英雄視されていく中、光影は黙々と自分の研究に打ち込んでいたと言う。
研究のテーマは専門の材料研究から、次第に物質の本質へ、さらに酷く不確かに聞こえる『命』へと変遷して行ったようだ。
『命』と来れば悪魔の専門分野である。
他の者は兎も角、コユキや善悪、アスタロトとバアル、サタナキアやイーチとは飽きる事無く問答を繰り返し、夜を徹する事も数え切れないほどであったらしい。
反して、他のニンゲンとの関わりは見る間に希薄になって行ったと言う。
アスタロト達悪魔が旅立つ頃には、彼自身の息子であるナガチカとも顔を合わせる事すらなくなっていたらしい。
そこまで一気に話し終えるとアスタロトはどこか寂しそうな表情を浮かべながら言葉を続けた。
『その頃にはな、もう狂っていると思われて居たんだよ…… 暗いラボに一人きり、いや、正確にはメフィストフェレスと二人きりで篭もっていたからなぁ、本人も周囲を避ける様になっていってな、我やバアル、サタナキアが会いに行っても顔も出さなくなってしまっていてなぁ』
「へ、へぇ」
軽く戦慄を覚えるレイブである。
アスタロトの説明は続く。
『最後、旅立ちの挨拶に向かったコユキと善悪にだけは会った様だが髭塗れ垢塗れの酷い有様だったらしい…… その上ハゲ散らかしていたらしくてな、ぐすっ』
「はげちら…… そうですか、ぐすっ」
『だ、そうだ…… 散らかして居たんだと、ぐすっ』
悲劇に涙ぐむ二人。
重くなった空気を振り払うようにアスタロトは笑顔を浮かべて言う。
『ま、まあでもな、これだけの結果を収めたんだからな! 我やテューポーンの魔力を吸い尽くす勢いだっただろ? みっちゃんも満足だろうさ! ハゲ散らかした甲斐があったって所だろうよ!』
「ありましたかね? 散らかすほどの?」
やや訝し気に首を傾げるレイブにアスタロトは強気で返す。
『いやいやあるだろう、そこは! 善悪もイーチもガープだってハゲ揃えて居たんだぞ? わざわざ散らかしていたからこそ辿り着けたんじゃないかな? どうだ?』
「うーんそうですかね? ハゲ散らかしたからなんですかね? んで、結局光影さんが最後に取り組んでいた研究って何なんですか? 『命』でしたっけ? ハゲしい命でしたっけ?」
少しハゲハゲ言い過ぎな気もするが続きを観察してみよう。
アスタロトは腕を組んで必死に思い出しながら答える。
『えっとな、確か『命』は万物に宿っている、とか何とか? 無機物だろうが光だろうが全ての物質に等しい、とか訳が判らない事を言い出してなぁ~、最後の方は地球や宇宙放射線、悪魔やモンスターから余剰な魔力を集める装置や物質を作り出そうとしていたんだよ』
「あー、それが岩窟の化け物の正体、そう言う事なんですかね?」
『たぶんそうだろ、完成しているかどうかは知らんがかなり出来上がってんじゃないか、あれ?』