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「飲み物はどうしましょう?」
彼がなめらかに混ぜてくれた卵液に、厚切りにしたパンを浸して尋ねた。
「そうだな……そういえば、美味しいお茶の淹れ方を教えてもらっていただろう?」
「ええ、お茶の淹れ方はだいぶレクチャーをしてもらって、多少は上手くなったかなと……」
パンにじわじわと卵液がしみ込んでいくのを、待ち切れない思いで眺めながら答えた。
「だったら、君の淹れたお茶が飲みたいな」
「でも、フレンチトーストに、和テイストの緑茶って合いますかね?」
卵液をたっぷりと吸い込んで黄色く染まったパンから顔を上げて、彼に視線を向けた。
「君の淹れてくれたものなら、何にでも合うよ」
優しげな彼の笑みに、胸がきゅうーんと締めつけられる。
「はい! じゃあ華さんに教えていただいたことを目一杯活かせるよう、気張ってお茶を淹れますね!」
彼のためにも、教えてくれた華さんのためにも期待に応えなくちゃと、手にした耐熱性のポットに水を注ぐと、少しだけ緊張しつつ火にかけた。