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それから平和な日々が続き、レーナは花嫁衣裳をせっせと拵えていた。 そんなある日のこと、ノアは「大変よ!」と大きな声を出したことにより、レーナは何事かと驚いた。
「どうしたの、ノア」
レーナが針を動かす手を止めて、ノアに向き直る。
すると、ノアはレーナから針を取って針山に刺してから、レーナの肩を掴んだ。
「アタシ達、ちゃんとしたデートをしたことがないわ!」
「なんだ、デートのことかあ。もっと大きな何かがあるのかと思ったよ」
何か重要なことでもあるのかと心配になったレーナだが、思っていたより大事でもなかったので胸をなでおろす。
一応デートのようなものはしたことはある。
ローラの家の寝具店に出かけたり、村の外れにある草原に薬草を摘みに行ったことだ。
どこかに出かけたのはそれこそ王都に召集かけられた時くらいなものだから、デートらしいデートをしたことがないとノアはレーナに抗議をしたのだ。
「アタシはレーナとデートがしたいわ! 村でのピクニックもいいけれど、もっと華やかなところでレーナと楽しみたいのよ」
「でも、隣村とかもあまり大きくないよ?」
華やかなところはトート村にはない。隣村にもないので、遠出をしなければならない。
「何も隣村でなくてもいいのよ。そうだ、レーナは舞台を観たことはある?」
「ないかな」
生まれた時から村を出たことのないレーナは、そういう華やかなものには縁がなかった。
魔女学園に通っていた頃、クラスメイトや同級生の子達はそういったものを観に行っていたようだが、レーナは落ちこぼれだったので休みの日はずっと勉強していたのだ。
「それなら、今魔界で流行っている舞台があるのよ、それを観に行きましょうよ。魔界ならすぐに行って帰って来られるから、時間も取らないでしょう?」
舞台のぶの字と縁のないレーナは、ノアから誘われて興味が湧いてきた。レーナも年頃の娘なので、そういったものには心が惹かれる。
「どんな舞台なの?」
「アーサー王とアリッサ王妃の恋愛物語よ」
「それって、ノアのご先祖様で『魔族の寵愛』の基になったふたりだよね?」
『魔族の寵愛』とは、『お手つき』になった魔女アリッサが魔王になったアーサーから深く愛されて長い生涯を常に寄り添って生きたという史実からできた言葉である。
かくして、『お手つき』は『魔族の寵愛』といわれるようになったのだ。
「そう、よく覚えていたわね。魔界では常に人気の舞台で定期的に行われているのよ。アタシも子どもの頃から観ているわ」
どうやら魔界では馴染みの物語として親しまれているようだ。
「そうなんだ、楽しみにしてるね」
「ええ、今週の土曜日にでも行きましょうか」
「うん!」
そして、迎えた土曜日。
レーナは赤いワンピースを着て、お化粧と髪もいつもより気合いを入れた。レーナはもとがいいのでまつ毛をくるんと上げ、アイシャドウとリップをしただけで儚げな美少女になる。普段はおさげの髪を今日は編み込みにしてアップにすると、うなじが綺麗に見えた。
赤いネックレスに赤いピアスといった、全身ノア色コーディネートの完成である。
「ノア、ここまでくるとやりすぎじゃない?」
「そんなことないわ、完璧よ」
ノアはというと、レーナの瞳より色をうんと濃くした紺色のタキシードを着こなしていた。ウルフカットで整えられた髪は、後ろの長い髪の毛先を軽く巻いて、淡い金髪が揺れている。
「レーナはアタシの未来の妻なのよ、もっとアピールしてもいいくらいだわ」
「それはやり過ぎだと思うの」
支度ができたふたりは、早速魔界へと瞬間移動した。
魔界は人間界とさほど変わらず、ただ魔素(魔力の素)が濃いだけの普通の世界である。
「さあ、劇場に行くわよ」
ノアにエスコートをされつつ、レーナは連れて行かれるがままノアに従った。
劇場には王族専用の席があり、そこに案内されたレーナとノアは広い座席に座った。
そして、『我らが王と王妃のロマンシア』の演劇が始まる。
物語はノアから聞かされていた話をやや脚色し、恋愛色が強くなっているストーリーのようだ。
アーサー役はいわゆるイケメンといわれるような爽やかな青年で、アリッサ役は儚げで美しい女性だった。ロイド(強さを求め魔獣になる)役は筋骨隆々で、猛々しい青年だった。それこそ最初レーナが思い描いていた悪魔像にぴったりだったので、つい感動してしまった。
それに気づいたノアは相変わらずの嫉妬深さで、何がレーナの琴線に触れたのかと舞台をじっと見ていた。
やってしまったと気づいたレーナはノアの腕にしがみつき、「こんな素敵な舞台に連れてきてくれてありがとう」と耳打ちをした。
それでとりあえずは怒りを抑えてくれたようなので、レーナはノアに抱きついたまま観劇を続けた。正直観づらくて堪らなかったが、ノアが嫉妬すると大抵ろくなことが起きないと学んだレーナは、そのままの姿勢で頑張った。
アーサーとアリッサのキスシーンは感動的なものであり、レーナはつられて泣いてしまった。
そんなレーナにノアはハンカチを差し出してそっと目元を拭った。
「アーサー王とアリッサ王妃が幸せになってよかった」
レーナの言葉に頷いたノアだが、その言葉は果たしてレーナにも当てはまるのか考えてしまった。
そして、舞台は終わり物語が感動的なものだったため拍手が鳴り響く。会場は割れんばかりの歓声が上がったが、ノアの耳には雑音でしかなかった。
いつもならノアはレーナにべったりで色々話しかけてくるのに、今日はそれがなかった。
舞台の感想を言い合いそれで盛り上がるかと思いたったレーナは「実際に魔法が使われているから迫力あったね」や「アーサー王とアリッサ王妃のラブシーン素敵だったね」と話しかけると、ノアは一応会話には応じてくれた。
「魔族だからこそできることね」や「アタシ達も負けてないわよ」と笑顔を浮かべているが、どこか心あらずでレーナが話しかけてもこんなことは初めてで、どうしていいか分からない。
どれだけ心の距離縮まっても、やはり種族が違うから分かり合えないことがあるのだろうか。
こんなに全身ノア色に染まっても、ノアは満たされないのかと不安になる。
綺麗な夜景の見えるレストランで食事をして、普段の生活では食べることのない料理を食べる。
とても美味しいのに、味気ない。
いつもなら肉がほろほろで美味しいだの、味付けが最高だの、なんだかんだで口数の多いノアは、静かに食事をしている。ノアの心がレーナではなくどこか別のところに向いていると感じ取ったレーナは、言いようのない悲しみに襲われた。
レーナは期待していたのだ。
魔界でデートするとあれだけ張り切っていたのだから、もしかしてプロポーズされるのかと思っていたからだ。
結婚するとよく言っているのに、結婚しようとは言われていないレーナは、果たしてこのままノアとうまくやっていけるのかと不安で胸が押しつぶされそうになる。
静かなディナーも終え、トート村に帰ろうと言うノアにレーナは否と断った。
「でも、レインが待っているでしょう?」
「いいの、私ももう成人だから。ノア、この辺に公園とかない?」
レーナの言葉に首を傾げながらノアは「……海ならあるけれど」と答えた。
「じゃあ、そこに連れて行って」
「分かったわ」
ノアの魔法で移動したレーナとノアは、人間界とさほど変わらない海に着いた。
レーナは靴をぬいで、砂浜を歩く。靴を片手で持ちながら、靴はゆらゆらと揺れている。
「ほら、ノアもおいでよ」
「……全く、仕方ないわね」
ノアも靴を脱ぎ、裾を捲ってレーナ同様砂浜を歩いた。
レーナの後を追うノアは、目の前の少女の幸せについてずっと考えていた。レーナを譲る気はないが、自分と共に生きることで幸せになれるのかと、舞台を観て思ってしまったのだ。
「ねえ、レーナ」
「なあに?」
「レーナは今、幸せ?」
その言葉にレーナは振り返る。夜だというのにはっきりと見えるレーナの青い瞳は一体何を見ているのか。
「ノアは?」
質問を質問で返されて、ノアは返答に困る。
「アタシは幸せよ」
「……そっか、それならいいんだ」
「レーナは?」
ノアの問いかけにレーナは苦しそうな顔をした。言いたいけれど、言えない。そんな感情が透けて見えるノアは聞かなければよかったと後悔するが、もう遅い。
だが、レーナはどこまでも真っ直ぐな娘なのだ。青い瞳は決してノアから逸らさずに、ただノアだけを捉えている。
「私も幸せだよ。でも、今日のノアはおかしいよ。私、ノアとずっと一緒にいるからノアの変化に気づけるようになったよ。ノアは嫉妬深いからすぐ何かしようとするし、私のことになると暴走しそうになるし、心の距離が縮まったと思ったら離れていく。ねえ、私何かした? ノアが嫌がるようなことをしたのなら謝るから、いつものノアに戻ってよ……!」
レーナは泣きそうになりながら、想いの丈をぶつけた。
ノアは愛するレーナのことを人一倍理解していると思っていたのに、実際はこんな風に心配させていたのだと気づき、靴を放り投げレーナの元まで走り思い切り抱きしめた。
「愛しているわ、レーナ。本当よ、信じて」
掻き抱くノアに、レーナは縋りつく。
「じゃあ、今日はどうしていつものノアじゃないの?」
はらはらと涙をこぼすレーナの滴はノアのタキシードを汚していくが、ノアは気にならなかった。
言うか言わないか、躊躇う気持ちが痛いほどわかったノアは、腕の中で静かに泣いている愛しいレーナに優しく話しかけた。
「今日ね、舞台を観ていたら、レーナはアタシと一緒にいることで幸せになれるのかしらって思ったのよ。そうしたら黒い感情が滲み出て、それを抑えるのがやっとだったの。でも、アタシのくだらない感傷のせいでレーナを傷つけてしまったのなら元も子もないわね」
そうだ。いつもなら思ったことをはっきり言うノアが、覆しようのない『お手つき』のことや『魔族の寵愛』についてあれこれ考えること自体ナンセンスなのだ。
「そうだよ。いつものノアらしく、思ったことを言ってよ」
はっきりしている性格のノアは、無駄が嫌いだ。そんなくだらないことを考えるくらいなら行動に移すのがノアという男である。
「そうね、それがアタシらしいわよね」
「うん。私はノアがノアだからこそ好きになったんだよ」
「アタシもレーナがレーナだから好きになったのよ。ふふ、アタシ達お揃いね」
くすくすと笑い合い、涙が止まったレーナは濡れた頬を拭くために、ノアからそっと離れて目元を拭いた。
「今だから言うけれど、私、実は今日期待してたんだ」
「……期待って?」
「もう、淫魔なんだから分かるでしょう?」
照れたようにはにかむレーナは、ぐっと背伸びしてノアにキスをした。
「……言ってよ、ノア。私、ずっと待っていたの」
それは、淫魔じゃなくても分かることだ。なにせふたりは愛し合う恋同士なのだから。
「ここで言わせるの?」
「本当は、さっきのおしゃれなレストランで言われるかもって、ちょっとだけ思っていたの」
「……レーナにはお見通しなのね。嬉しいけれど、恥ずかしいわ」
「レーナ」
身を正すノアに、レーナもピンと背筋を伸ばす。
「私と結婚してください」
「はい……!」
レーナは星空の下満面の笑みを浮かべ、ノアに抱きついた。
「ノア、大好きだよ」
「アタシも大好きよ、レーナ」
ノアはレーナの顎を掬い、触れるだけのキスをした。
そして、ノアの魔法でいつの間にかレーナの右手の薬指には銀色の指輪が輝いていた。もちろん、ノアの瞳と同じ色をした小ぶりの赤い宝石付きである。
「これって結婚指輪?」
「いいえ、これは婚約指輪よ。アタシ達、魔界では正式に婚約している状態だから、レーナが次期王妃であることの証でもあるわね。結婚指輪はトート村での結婚式までに準備しておくから、レーナは花嫁衣裳を完成させてちょうだいね」
「そうだ、結婚式はいつやるの?」
「本当だったら明日にでもやりたいけれど、間に合わないでしょう? だから、三か月後くらいがちょうどいいと思うの」
花嫁衣裳を作成し始めてからまだ三か月ほどしか経っていないので、レーナもあと三か月あれば花嫁衣裳が着れらるようになるだろうと算段をつけた。
「分かった、私も頑張るね」
「ええ、楽しみにしているわ。アタシの可愛いレーナちゃん」
もう一度触れるだけのキスをして、ふたりは額を寄せ合いくすくすと笑った。
ノアの魔法で家に着きレインは「おかえり」と言うと、レーナの光る指輪に気づいたらしく「おめでとう」とふたりを優しい笑顔で微笑み、自室にこもってしまった。
レーナとノアは順番に入浴し、先に出たレーナはノアの部屋にあるダブルベッドにごろんと寝ころぶ。
そして、右手を持ち上げて翳し、きらきらと眩しい指輪をじいっと見つめた。今日は何かしらの進展があると期待していたレーナは、想像より素敵な一日になってとても心が躍っていた。
もっと嬉しいことは、ノアの右手にも青い宝石が付いた指輪がされていることだった。今までは恋人同士という関係だったのが、指輪を着けたことにより関係性がはっきりしたような感じがして、レーナは本当に嬉しかったのだ。
レーナは指輪にキスをして「ノア、大好きだよ」と呟いた。
「アタシも大好きよ、レーナ」
「ノア」
もう何度言われたか分からない愛の言葉はレーナの心をくすぐる。
「レーナ、『お手つき』になった相手の呼び声というのは、どこにいたって聞こえるのよ」
そういえばそんなことを言われたことがあったなと思い出す。
ノアは、見せつけるように自身の右手に輝く青色の宝石にキスをした。目の前で破廉恥なことをされているようなきがしたレーナはついと目を逸らす。
「だめよ、レーナ。アタシを見て」
少しでも視線を逸らすことは許さないとでもいうように、ノアはレーナの頤を人差し指で掬い上げじっと見つめる。
今日のノアは本来の姿で金色赤眼だった。人間に扮している時の黒髪黒眼も好きだが、やはりこちらの姿のノアの方が好きだ。
レーナが目を閉じると、ノアはすぐに唇を寄せた。触れるだけのキスをくり返し、唇を啄む。
最初こそノアにされるがままだったレーナも、ノアとキスをしていくうちに慣れてきて、ノアとする口づけが堪らなく好きだった。
いつの間にか脱がされて下着だけの姿になる。いつもならレーナは恥ずかしがって手で隠すのだが、今日は違った。両手を広げ、ノアに「抱きしめて」と言ったのだ。ノアは魔法でパジャマを脱ぎ、レーナ同様下着だけの姿になる。
そして、両手で愛するレーナを抱きしめて、体温を分かち合う。風呂上がりだから温かいのは当然なのだが、本人の持つ体温と心臓の鼓動がよく聞こえた。以前のレーナならこの段階で心臓が早鐘を打っていたのだが、今はトクントクンとリズムよく鼓動が脈打つ音がする。レーナにとってセックスとは、愛を確かめ合う行為に変わっていたからだ。
それに気づいたノアは、あまりの愛おしさに胸がきゅんとした。淫魔たらしのレーナには、きっとこれからも勝てないのだろう。
「本当にずるいんだから」
ノアは舌舐めずりをして、レーナの首にキスをした。ちゅっちゅとリップ音を鳴らし、うなじを舐める。
手はレーナのボディラインをなぞるように愛撫していく。
レーナは気持ちよくて、熱い吐息をこぼす。
ノアはレーナの弱い乳首を優しく虐めた。舌で転がしてやれば、甘い声で啼く。なぶられるのが好きなレーナはノアの頭を掻き抱いてただ喘ぐことしかできない。
直接触られなくても分かるくらい、蜜口はとろとろになっている。ノアはレーナの足を広げると、蜜口に息を吹きかけるだけで中から愛液がとろりとこぼれてきた。
「レーナの好きなことしてあげる」
美しい顔を股に寄せて、ノアはクリトリスを舐め上げた。
「ひゃあん! それ、きもちいぃ……!」
「ふふ、知ってるわよ。レーナはクリトリスが大好きですもの」
「はずかしい、いわないでぇっ」
「嫌よ、恥ずかしいことが大好きなレーナは本当に可愛いんですもの」
ノアは舌でクリトリスを舐め続けると、レーナはあっけなく達してしまった。
「はあっ、はあっ……」
達したことで身体から力が抜けたレーナはそそり立つ赤黒いソレを見つめた。ソレがレーナを貫く時、快感でおかしくなりそうなのだ。
ペニスからは先走りが出ており、血管が浮き出ている。ソレはレーナの中に入りたくて今か今かと待ちわびている。
でも、レーナの身体はまだソレを受け入れる準備が出来ていない。ノアはレーナの身体を傷つけないように、右手から指輪をするりと抜き取った。
そして、中指をぬぷぬぷと沈めていき、中を解してから少しずつ指を増やしていく。いいところに指が掠め、レーナはまたしても嬌声を上げた。
十分解れた中はきゅうきゅうと締まり、ソレに貫かれることを期待している。
「挿れるわよ……」
一気に貫いたノアは、それだけでレーナが軽く達したことが分かる。中はノアの精を搾り取ろうとひだが動いているからだ。それがあまりにも気持ちよくてノアは持っていかれそうになるが、どうにか堪える。
「先に謝っておくわ、今夜は寝かさないから」
「え……?」
再びどちゅんと貫かれ、レーナはびくびくと身体が跳ねた。口からはだらしなく涎がこぼれるが、そんなことを気にしていられないほど、過ぎる快感に頭がおかしくなりそうだ。
「イく、イくからぁ!」
「どうぞ、好きなだけイって」
両手を頭の上で固定されたレーナは逃げ場所がない。快感から逃れようにもノアが止まってくれないから甘い声を上げて許しを請うことしかできないのだ。
「ああん! ノア、もうむりだよぉ!」
「無理じゃないでしょう? ほら、頑張って」
ぐるりと中を回されまた達してしまう。
「愛してるわ、レーナ……!」
「わたしも、あいしてる……!」
レーナの愛の言葉を聞いて、ノアはもう止まれなくなった。
体位を変えて、何度も何度もレーナを貫く。
それは、ノアの宣言通り朝まで続いた。
ぐったりとしているレーナと、艶々しているノア。
あんなに激しく愛し合ったのにまだ元気なノアは、レーナから「体力おばけ」という淫魔冥利に尽きる言葉を頂戴する。
そして、愛してるの意味を込めて、ノアはレーナにキスを贈った。