注意事項
・この作品はwrwrd様の二次創作です。
・本人様とは関係ありません。
・検索避けに協力してください。
・作品の都合上、検索避けができていない場面が多数あります。
・現代パロが含まれます。
・暴力表現等が含まれます。
・こちらは腐向けではありません。
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「…ん”ごー、、ん”っ、ふぐッ。」
頬に黒いインクを付け、ぐっすりと眠る彼の名前は、紺清 ウツ。とある漫画家である。
垂らした涎が、下書きに着きそうになったその時、電話が彼を起こした。
「んごッ!!…んぁ、??誰ぇ…??」
携帯をなんとか手に取り、画面を見る。
「…んぁ、シッマ…。」
シッマ、と呼ばれる男は水偉 志真。
彼の昔からの友人である。
「もすぃもすぃ…。」
『お!!ウツ!!家の前におるで開けてくれ!!』
「ほぇっ!?今日飲むん!?部屋汚いよぉ〜!!」
『ちゃう!!ええからあーけーてー!!』
ドンドンッと扉が叩かれる。
ウツは慌てて立ち上がり、玄関を開けた。
するとそこにはコートで着込んでいる志真と…。
「…その子供は、??」
「よしゃ、挨拶せえ!!」
志真にぽんと頭に手を乗せられた小さな男の子。
恐らく、小学生だろう。
その子は、1歩前に出て小さくお辞儀をした。
「しどう しよっていいます、よろしくおねがいします」
「…隠し子、!?」
「ちゃうわい!!」
志真は事情を説明した。
この子は、紫藤 詩葉。小学生3年生。
親が他界し、1人だった所を志真が保護したらしい。
志真は大きな会社の…なんか偉い立場の人だ。
そのため、今日から1ヶ月海外に行くのだと。
その間、ウツに面倒を見て欲しいということ。
「頼んでええか!!」
「えぇ…、別にええけどさぁ。僕締め切り間近でピンチやねんけどお!!」
「まあ、飯は自分でどーにかできるな!!詩葉!!」
「うん。こんびになら。」
「うい!!じゃ、よろしくー!」
ピースをウツに向けた後、すぐに走り去った。
「…ぇえ、、」
ウツはちらりと詩葉の方を見た。
詩葉はずいぶんとやつれているような体型で、服の隙間から怪我が見えていた。
「き、君!!シッマから虐待受けてないやろな!?」
「えッ、、ないです、??」
「ほ、ほうか!!ならええわ!!うん!!」
「…、」
俯く詩葉は、暗い表情をしていた。
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それから1週間。
詩葉とウツは敬語を外すほどに仲を深めた。
「はよ〜、ぴーくん!!」
「はよ…、またおえかき??」
「うん〜、もうすぐ終わるから、そしたら飯作ろか。」
今日は休みなので、2人はゆっくりと過ごしていた。
ウツは下書きを書き終わり、ようやく朝食を作り出した。
「…きょう、ともだちとあそんでええ??」
「うん??ええよ〜!!」
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と、言ったものの、ウツは不安で追いかけることにした。
別に、詩葉の友達に疑いをかけているのではないが、詩葉の身体の傷がどうにも気になったのだ。
追いかけると、辿り着いたのは公園だった。
詩葉はブランコに腰をかけ、ふらふらと揺れていた。
すると、奥から走り込んできた。
「ごめん!!おくれちゃったあ!!」
「だいじょうぶ、あそぼ。」
「うん!!」
奥から来たのは、水色髪の男の子。
詩葉と同い年だろうか。
その子はサッカーボールを持っていて、2人でボールを蹴りあっていた。
なんだ、本当に友達なのか。
安心して、ウツは家に帰ろうとした。
その時だった。
「おい!!いたぜえ!?」
「ひぃッ…!!」
詩葉より年上らしき男の子が3人ほどやって来た。
そいつらを見るなり、詩葉は小さく丸まった。
友達の男の子は詩葉の前に立ち、詩葉を守る体制をしていた。
「いじめんなっていったやろ!!」
「はあ!?しらねーし!!どけよ!!」
「いやだ!!しよは、ぼくのともだち!!」
「ち、ちい…。」
詩葉は、友達の男の子の腕にしがみついた。
だが、年上には適わない。
男の子は突き飛ばされてしまった。
これはダメだ。
ウツは咄嗟に判断し、走って詩葉と男の子の前に立った。
「え?」
「なにしてんねん。」
「え、だれ…??」
「なにしてんねん。言ってみぃや。」
「えっ、ぁ…。」
「ん?言うてること分からんの??なにしてんねんって。」
「…う、っ。」
「言わねぇとどうなるか…、社会の基本教えたろかぁ??」
ウツはにんまりと笑顔で問いかけた。
そいつらは泣きながら逃げていった。
ふっと、鼻で笑い後ろを振り向く。
「ちい、だいじょうぶ…??」
「うん!!へーき!!しよは??」
「う、うん…。」
「2人とも大丈夫やった、??絆創膏いる…??」
ウツは、2人の頭をわしゃわしゃ撫でた。
「ぁ、えとっ、この子はちい…。ともだち。」
「千衣くんか。よろしゅう。」
この子は、橙木 千衣と言うらしい。
「よろしく!!えーっと、しよの…おとうさん、ではないやんな、??」
「まあね、お父さんの知り合いですう。」
「そうなんや!!」
ウツは腕時計を見て、もう5時か…と呟いた。
すると、男の子は慌てて立ち上がった。
「もうかえらないと!!じゃあね!!しよと、おにいさん!!」
元気よく走り出した男の子の背中に手を振る。
さて。
「…帰ろか、ぴーくん。」
「…うん、て、つないでも、いい?」
「うん、もちろんやで。」
ウツは少し足を曲げて、詩葉と手を繋いだ。
たまには、外を歩くのもいいかもしれない。
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「ぴーくん、虐められてたんやね。」
ウツはお風呂で詩葉の頭を洗っている時に尋ねた。
詩葉は驚いて振り返った。
泡がふわっと舞うので、先にお湯で流した。
湯に浸かり、詩葉は口を開いた。
「しまには、ないしょ…。」
「内緒??うーん、ええよ。」
ウツは詩葉の頭を撫でて、落ち着かせた。
「いじめ、は…やられてた。ちいがね、たすけてくれたの。ともだちなの。」
「そうか。千衣くんは優しいんやね。」
「うん…ごめんなさい。」
「謝らんでよ!?ぴーくんは悪ないやん!!」
俯く詩葉の頬を両手で触れ、顔を上げさせる。
涙がうっすらと浮かんでいた。
「ん、ええ子やなぁ。頑張ったんやな。もう大丈夫やで。僕もおる!!」
「うん…っ。」
「よしゃ!!出てゲームしよか!!明日も休みやし!!」
「えっ、ウツさん…おえかきは、??」
「もう提出済み!!ぴーくんは優しいんやからぁ〜。」
ウツは白いタオルで詩葉を包んで拭いた。
詩葉は珍しく満面の笑みを浮かべていた。
たまには、夜遅くまでゲームだって、いいだろう。
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『はっはっは、ウツはラーメン好きやもんな。』
「そー。今日の夜ご飯のラーメンの予定!!」
電話をしながら、夕日の道を進む。
ウツはコンビニ帰りで、カップラーメンやらおにぎりやら、野菜やらを買っていた。
詩葉は家でお昼寝をしている。
「楽しいで??最近な、ぴーくんが僕ん事、ウツにいって呼んでくれてん!!敬語もない!!」
『ええ!?あの詩葉が!?凄いなウツ…!!』
「せやろ…って、うん??」
そんな時だった。
並んだ家の端の家の前に体育座りをしている見覚えのある子供がいた。
水色髪、珍しい髪色の子供。
詩葉の友達だ。確か、名前は千衣。
ウツは志真との電話を切り、そっと近寄った。
「こんにちわ。僕ん事分かる??」
「ぁ…、しよの…。」
「そー。ウツやで。どうしたんよ、寒ないの??」
ウツですら、コートを着ている。
なのに、千衣は薄い服に裸足だ。
「んーん。だいじょぶ。おとーさん、おこらせちゃったから。」
「ん?家帰らんの??」
「うん。おいだされちゃったの。」
千衣は当たり前のような顔でウツを見上げた。
「…、お腹空いたやろ。僕んところ来る??ぴーくん…ああ、詩葉もおるし!!」
「…ええの??でも、いまは、はんせいちゅう…」
「反省はもうええの!!ほら、行こか!!抱っこがええ??手繋ぐんがええ??」
千衣は口を少し開いて固まっていた。
ウツは、空いている腕で千衣を抱き上げた。
「よしゃ、行こか!!暖房も着いとるやろうし、暖かいで!!帰ろう!!」
「おとーさんは、??」
「追い出されたっちゅーことは、帰らせてくれんってことやろ。ほんなら、別にお泊まりくらいええやんか。あっちの自己責任やん??」
でしょ?と笑いながら尋ねる。
千衣は困惑したように頷いた。
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「ただいまあ。ぴーくんおいでぇ〜。」
玄関を開けると、ふわっと暖かい空気に包まれた。
千衣はうとうととしていて、頭はウツの肩に乗っていた。
「なーに??あっ、ちいー!!」
「…んぅ、、ぁっ、しよー!!」
目が覚めたらしく、ウツは千衣を降ろした。
詩葉と千衣はすぐに駆け寄り、わいわいと飛び跳ねた。
「今日はお泊まりや!!」
ウツがいえいと盛り上げると、2人はわーいっと更に盛り上げた。
「ちい、おふろはいろ!!」
詩葉は千衣をぐいぐいと引っ張る。
「…、」
千衣は明らかに青ざめていた。
何があったのだろう、とウツは千衣の頭をぽんと撫でた。
「どうしたん??お風呂嫌い??」
「…、うん。」
「僕も行こか??そしたら怖ない??」
「…、」
ふるふる、と顔を左右に降る。
きっと水が怖いのだろうか。
そういう年頃でもあるよな。
ウツはそう思い、タンスから詩葉の服を取り出した。
「これぴーくんのやけど、借りや。着替えといで。ついでにぴーくんもな。」
「うん、行こ、ちい!!」
「うん!!」
「今日はカップラーメンや!!」
ウツが机にドンッと置く。
2人は顔を見合せた。
「ちいは、たべたことある??」
「…なぁい。」
「おいしいよ、ねっ、ウツにい。」
「勿論や!!ほら、いただきますは??」
「いただきます。」
「いただきます…。」
詩葉とウツはズルズルとすぐさま食べ始めた。
千衣は2人の様子を伺いながら、食べ始めた。
「どうや、美味いやろ??」
「…うん、おいしい。はじめてなの。」
「ちい、これもおいしいよ。」
詩葉は千衣にカップラーメンの謎肉を渡した。
「これ、おにく??」
「うん、でもこれなんのにくか、わからん。」
「くふふっ、なにそれえ。」
ケラケラと笑う2人。
詩葉の笑顔がよく見れるようになってきて、ウツは微笑んだ。
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それから、千衣はウツ達と過ごしていた。
帰りたいとも言わず、なんならここにいたいと言っていた。
親には連絡した方が良いだろうかとも考えたが、千衣を追い出すような家族は不安なのでやめた。
「ねえねえ、ウツにいっ、こーえんいこ!!」
千衣もすっかりとウツにい呼びになった。
千衣はサッカーボールを持って、詩葉と手を繋いでわいわいと誘ってきた。
「おっ、ええぞ〜。」
ペンを置いて、ウツは立ち上がった。
公園に着くと、まずはブランコに乗る。
ウツは押す係である。
千衣と詩葉は、どちらがより高くこげるかを競っているらしい。
その次にシーソーをやる。
そしたら滑り台を滑り、鉄棒をする。
…それがいつもの流れだ。
そして、それらが終わるとその時の気分で遊ぶ。
今日はサッカーをしていた。
「しよ!!ぱーす!!」
「ごーる!!」
「おっ、そうはさせんぞー!!」
砂場に付けられたゴールの線の前にウツが立ちはだかる。
詩葉と千衣はきゃっきゃっと笑いながらボールを蹴りあった。
「ぜッ…はっ、、疲れたなッ、、!!」
「ウツにぃ、たおるー…。」
汗を拭く。
この時、ウツはいつも千衣を気にしていた。
初めて公園に遊びに来た時。
汗を拭くために千衣の服を捲った。
そこには数え切れない…いや、まるでそれが肌のような。そんな青黒い痣が沢山あった。
手当されていないのか、カサブタになっている傷なども多数。
千衣は、父親に追い出されたと言っていた。
そう、ウツは虐待を疑っているのだ。
だが、千衣はウツと過ごすようになって、傷が少なくなった。
今日だって、肌は綺麗だ。
「汗かいたな〜、お茶でも買うか…!!」
「うん!!おれ、しよとおなじおちゃ!!」
「じゃあ、おれもちいとおなじ。」
「…千衣!!」
突然千衣の名を呼ばれ、千衣ではなくウツが振り返った。
そこには、懐かしい友人がいた。
「…とんち!?」
朱雀 屯。ウツの学生時代の友人だ。
相変わらず、豚のキンホルダーをカバンに付けている。
「…と、とん、くん。」
「千衣っ、こんな所におったんか…よかったっ、、誘拐されたんかと!!」
「とんちやんな、知り合い??」
屯は千衣を抱き締めた。
そんな屯に警戒しているのか、詩葉はウツの後ろに隠れた。
「って、ウツ!?お前やったか、なら安心や。」
「とんちと千衣はどういう…??」
「ああ、説明するわ。」
どうやら、屯と千衣は家が隣らしく、幼い頃からの友人だったのだと。
屯は、千衣の母親から千衣がいなくなったと言われ、探していた。
どういう訳か、母親は警察沙汰にはしたくないらしく、屯に任せていた。
ますます怪しい。
「…千衣、少し話、ええか??」
「う、うんっ…。」
「ウツ、すまんな。そこで待っててくれ。」
「おう。」
千衣は屯と手を繋いで公園の出口付近まで行った。
そしてなにやら話し始めた。
「なあ、ぴーくん。」
「…んっ。」
「晩御飯何にしよか。」
会話を続けようと考え、ウツは適当な話題を振った。
「…ぱすた。」
「パスタかぁ。ええなぁ。なににする??」
「ぺぺろんちーの。ちいがすきなやつ。」
「そーか。そうしよか!!」
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結論を言えば、千衣は虐待を受けていた。
父親は酒に溺れて千衣を嫌うような人だ。
母親は俗に言う毒親という人だ。
そんな2人の間に生まれてしまったのが、千衣。
「なぁ、追い出されたって、オヤジか??」
「うん…、あ、あのねっ、おれがみず、こぼしちゃったんや。」
「そうか、それで追い出されたんやな。」
「うん…、おとーさん、おこってる…??」
小刻みに震えながら屯を見上げる。
ああ、やっぱりこの子はまだ子供なのだ。
屯は優しく撫でた。
「気にすんな。それで、どうしたい??帰るか、ウツといるか。」
「…、ッ、とん、くんっ」
ひくひくっと、息が上がる。
屯は慌てて抱き寄せた。
「んー、よしよし。ごめんなぁ。ウツがええよな、そら。うんうん。聞いてすまんかったな。」
「とんくんっ、おれねッ…、もういたいのは、いやなの、。」
「そうや。それでええんや。痛いのは嫌に決まっとるよ。怖かったな。」
「うんっ、うんっ…いたいのこわい、」
屯は中学生の頃、千衣を1度家にお泊まりさせたことがある。
それも、千衣が追い出されていた時だった。
千衣は目の上に大きなタンコブを付けていて、ぼろぼろ泣きながら玄関前に座っていた。
屯は、千衣の親に怒られた。
自分の親が謝ってくれて、なんとか済んだ。
その夜、隣の家からは嫌な音が聞こえてきた。
あの頃、何も出来なかった自分が嫌いだった。
でも、どうだろう。今は出来る。
任せられる友人だっている。
「ウツ、今晩も千衣を頼むわ。」
「おん!!ええよぉ、あーあー、泣いてる??ほら、抱っこしよか!!」
千衣をウツに渡す。
ウツは片手で千衣を抱き上げ、片手でもう1人の詩葉を抱き上げた。
漫画家になって、引きこもりになったウツとは大違いだった。
「…千衣、話す??」
「…、」
ふるふる、と首を振る。
「分かった、じゃあウツ話せる時になったら…おれが…」
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「屯ちゃん!!」
ヒュッと、千衣の喉が鳴る。
この高くて耳につく声。
千衣の母親だ。
「屯ちゃん、千衣は見つかったかしら…??」
屯は立ち上がり、千衣に重なるように母親に駆け寄った。
その間に、ウツは自身のコートを千衣に被せた。
詩葉は千衣と手を繋いだ。
2人は、特に詩葉は、千衣に何が起きているのかを知らない。
母親と知れば、すぐに話すほどに。
だが、今千衣の状態を見れば分かった。
この子を守らねばならないと。
「もう…どこに行っちゃったのかしら、千衣がいなくなってから、アタシ、夫に怒られる毎日なのよっ!!」
「すぐに見つけますから…。」
「うんっ、そうして!!千衣がね、アタシを犠牲にするなんてないはずなのよ!!だってね、千衣はアタシの自慢の息子で、アタシを愛してくれる子なんだからっ!!」
母親は、屯の肩を掴み語った。
強い香水が屯を刺激する。
「千衣ったら…!!アタシを困らせる子じゃないはずなのよっ!!誘拐かもしれないっ、アタシを置いていかないでっ…千衣っ、千衣いッ!!」
髪をバサバサを暴れさせながら母親は嘆いた。
屯は困ったように慰めた。
ウツと詩葉に囲まれて、千衣は震えていた。
「…大丈夫。」
ウツはそっと耳元で落ち着かせた。
詩葉も、真剣に千衣の手を握り続けている。
「ああもうっ、屯ちゃん助けて!!アタシ…もう悲しいのよ、!!夫に殴られるの!!痛いのよ!!千衣が守ってくれないの!!屯ちゃんっ…!!!!」
そんな母親に、千衣は限界が来てしまった。
詩葉の手を振り払い、千衣は屯の元へ走った。
「…千衣、!?」
「おかーさんっ、ごめんね…!!」
「千衣!!どこに行ってたのよ!!アタシをひとりにしないで…!!」
母親は、千衣の手を掴んだ。
千衣は顔を歪めたが、抵抗はしない。
この先を知っている。
屯だけは経験している。
父親に何をされてしまうのか。
千衣がどんな目に会うのか。
でも、屯は動けなかった。
怖かった。こんな母親が目の前にいて、千衣が痛いことをされてしまうのが、分かるのに。
思いもしない、恐怖が目の前に来て、屯の足を縛り付けたのだ。
汗だけが、ぽつぽつと地面に落ちる。
「早く行くわよ、夫が怒ってるの!!アタシを守ってちょうだい…!!」
「うん、ごめんね、」
「謝らないでよ!!アタシを惨めにしないで!!」
「あのー、くっさい香水ですねえ。」
ウツだけが、動けたのだ。
「…はぁ!?な、なによアンタ!!」
「くっさいくっさい。あー、くっさ。鼻もげる。」
「は、はあ!?」
母親は、千衣の腕を投げるように離し、ウツに近寄った。
「メイクもなんやこれ。下手くそやなぁ。リップ紅すぎるやろ。」
「アンタねぇっ…失礼じゃないの!?」
「うん。せやねえ。だって、僕ぅクズやし??」
ウツはへにゃりと笑った。
「あーもうくっさ。近寄んないで〜。」
「…ッ!!」
「そういう匂いさ、嫌われるで??幸せを感じひんわ。」
ウツは、千衣を抱き上げた。
「子供ってな、親を見てんねん。親を尊敬するんよ。真似するんよ。アンタがそんなんやと、千衣はどうすればええのか分からん。
知らない匂いに、知らない感情。全て間違えて覚えてしまうんよ。それが、当たり前になってしまう。
親は外れたレールを戻さなアカンやろ。
怒るのは、それや。でも、アンタらは違う。
アンタらの怒る…は、千衣をレールから突き落としてるようなもんやろ。」
「…なに馬鹿なこといってんの!!」
「これを理解できひんような親やから、千衣は生きるのが難しいねん。教えてやらな。
レールから外れたら、親の責任。親が戻すんやで。それが出来てない。お前は親失格や。」
ウツに、詩葉が近寄り、千衣を抱き締めた。
「…ちいに、いたいことしたらゆるさない。」
「なあ、アンタ自分で分かっとる??くっさいって。」
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「千衣、詩葉おいで。」
あんな事件が会ってから、さらに1週間が経った。
そして、詩葉が来てから1ヶ月が過ぎた。
「…、しま、??」
「とん、くん…!!」
ウツに呼ばれ、玄関に向かうと、志真と屯が立っていた。
「2人はお家に帰るんや。僕とはもうお別れ。」
「…、ウツにいと、いれないの、??」
「せや。その代わり志真と屯がお前らを見てくれるで。」
詩葉と千衣は、ウツに抱き着いた。
「あ"っはっは!!もうすっかり懐いたな!!」
「ウツがこんなに優しいなんてな。」
「ふははっ、僕を変えたんは、この子らやで。」
「詩葉。また、ウツとは遊べる。千衣とも遊べる!!ほら、帰ろう。」
志真が手を差し伸べる。
詩葉はぷくりと頬を膨らませてその手を取った。
「千衣もや。また遊ぼう。」
屯に抱き上げられた千衣も、涙を浮かべていた。
「…ほんま、ありがとうな。僕、今まで人のために動いたこと無かったからさ。変われて、嬉しいわ。」
ウツは、2人の頭を撫でる。
優しくて暖かい手だった。
「そしてな!!なんと、嬉しいお知らせがあんねん!!」
ウツはバッと何かを見せた。
「単行本化してんよ!!是非買ってくれや!!」
「ええええ!?まじか!!!!」
「すげーやん!!通ったんや!?」
「そーなのそーなの!!千衣と詩葉が変えてくれた自分の心情を表した、友情ストーリーを描いた漫画やねんけど、それがどうやら担当の人にささったらしいねん!!もう泣いて感動してくれてん!!」
「すげー!!読む読む!!」
「これも、千衣と詩葉のおかげ!!ありがとう!!」
「「こちらこそありがとう!!」」
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「ん”…ぐぉぉ〜、、ぅ”。」
頬に黒いインクを付け、ぐっすりと眠る彼の名前は、紺清 ウツ。とある有名漫画家である。
垂らした涎が、下書きに着きそうになったその時、電話が彼を起こした。
「んごッ!!…んぁ、??誰ぇ…??」
携帯をなんとか手に取り、画面を見る。
「…んぁ、シッマ…。」
シッマ、と呼ばれる男は水偉 志真。
彼の昔からの友人である。
「もすぃもすぃ…。」
『お!!ウツ!!家の前におるで開けてくれ!!』
ウツは素早く立ち上がり、玄関へ走った。
「詩葉!!千衣!!」
「ウツにい!!あーそーぼ!!」
「ウツにい、ゲーム持ってきた。」
すっかりと背の伸びた2人が志真と屯の前に立っている。
「うん!!遊ぼか!!シッマと、とんちも遊ぶ??」
「あー…そのことやねんけど!!」
「俺ら知り合いの旅に着いていくことになったから、また1ヶ月よろしく!!」
内容がスッカラカンの物語!!
shpくんとciくんを守るut先生
ut先生を変えるshpくんとciくん
↑を書きたいだけでした。
メインは一応ut先生ですが、内容的にciくんは結構濃いですね。
名前一覧↓
ut→紺清 ウツ (こんせい うつ)
kn→水偉 志真 (みずい しま)
tn→朱雀 屯 (すじゃく とん)
shp→紫藤 詩葉 (しどう しよ)
ci→橙木 千衣 (とうぼく ちい)
設定↓
ut→実は売れないエ〇漫画家で引きこもり。
屯と志真とは学生時代から友達。
大人になって、引きこもりになってからは志真としか連絡を取っていなかった。
詩葉と千衣に出会い、有名友情系漫画家に変わり、今ではよく都会にも出没するらしい。
詩葉は猫っぽくて好き。
千衣は犬っぽくて好き。
近頃、子供向けの漫画も描きたいと考えている。
kn→大手企業の社長様。
よく海外へ行くので、英語はペラペラ。
詩葉を保護した時、凄く喋らないので、ウツに任せていいのか不安だった。
が、帰ってきた時詩葉が180度変わっていたのでビックリした。
自分は金髪に染めているので、詩葉も染めてやりたいと企むが、ウツに怒られたらしい。
tn→小さなご飯屋さんで働いているらしい。
昔から千衣を実の弟のように思っていた。
店のために家を少し離れた時は不安で仕方なかった。
千衣がいなくなって、1番焦っていた。
ウツは千衣の1件があってから凄く信頼している。
千衣を学校帰り、自分がいない時はウツの家に帰らせているらしい。
shp→基本誰にも心を開かないが、ウツにはいつの間にか開いていた。
小学一年生の時からいじめを受けていた。
千衣が助けてくれたので、千衣の事は自分よりも大好き。
千衣の親の事は、中学生になってから知る。
志真の事より、ウツが好きなので、いつも駄々を捏ねているらしい。
ci→凄く優しいが、根は弱い。
いじめられている詩葉を見て、自分が父親にされているのと似ていたことから助けた。
今はもう親と縁を切ったが、夜、たまに怖くなってしまう為、屯と寝ているらしい。
お風呂が嫌いなのは、父親に溺れさせられる事がよくあったから。
詩葉と手を繋ぐのが大好き。
コメント
10件
繰り返しの文があって神作きちゃー!!!ってなりました!初めから神作なんですけどね!!毎度毎度お疲れ様です!!!これからも頑張って下さい!!!!
最初の文?が最後らへんにも出てきてすごいってなりました!!!! ut先生の屑さが役に立ちましたね👍 小さいshpくんとciくんが可愛くて仕方ないですね…😭💕