窓から除く月を見上げて 西野優は考え事をしていた。
ベッドでごろごろしながらインスタを眺めていたら彼氏とデートした日記みたいなストーリーが流れてきた。
友達で彼氏、彼女持ちの子が多くて、仲良しグループの中だとおひとり様は優香だけだ。
ふとそのことを考えると彼氏欲しいなって思った
枕に顔を埋めて、横に向けたら、ぬいぐるみの黒猫、レオと目があった。
[ねえ、もし人間になったら、私の彼氏になってくれる?]
(なんて、何、ぬいぐるみに話しかけてんだろ)
自分で言っておいて馬鹿らしく思った
そんなある日の夜のつぶやきが私にまさかの出会いをもたらすなんてその時は思ってもよらなかった。
その日の夜もレオを抱きながら眠りに着いた。
普段はあんまり見ていないけど、珍しく夢を見た。
私が付き合ってて、彼氏の頭を撫でたり、ポンポンしたり、逆に撫でてもらったりとめっちゃ幸せな夢だった。
そんな幸せから目が冷めると、暖かいものに包まれているかのような感覚があった。
布団とはまた違う感触、人?いやいやそんなまさかね。
[ふわあぁ]
(あくび!?ってことはやっぱ人)
寝ぼけてるのかな 、きっと夢だそうに違いない
もう1回、目を閉じたらいつも通りの部屋、腕の中にレオがいる。
呪文のように唱えてもう一度目を開けたが、状況は何一つ変わっていなかった。
[優香さん、起きたんですねおはようございます]
眠そうな声で一緒にいるのが当たり前かのように、挨拶をしてきたので、自然に返してしまった
[おはようございます]
[そんな敬語じゃなくてもいいよ、いつも起きたらレオおはようって言ってくれるじゃん]
レオ?レオの姿が見えない
[あの、これって夢ですか?]
夢であって欲しいという気持ちもある
[夢じゃないよ願いが叶ったんだ]
(ねがい?、、、)
どういうこと、願い事した記憶がない
[願い事をした記憶がないんですけど]
[昨日の夜は満月だったよね、満月の夜に僕らの目を見て何か話した?]
ま、まさか、あれが願い事と認識されて、今の状態になってるの?
願い事はしていないが、つぶやきなら心当たりがひとつあるな
[もしかして、あれですか?]
[ねえ、もし人間になったら、私の彼氏になってくれる?ってやつのこと?]
夜のノリで言ったやつなんだけどなー、 恥ずかしくて布団に顔を沈めた。
それが願い事認識されたって事か、けど念願の彼氏ができるのは普通に嬉しい
[つまり、彼氏になってくれるというわけですか?]
[そういうことになるね、けど期限付きでその機限までにその願い事を叶えられたら僕は正式に人間になれる]
[なるほど正式にってどういう事?]
話を一通り聞いて [正式に]という部分が引っかかった。
[僕らはぬいぐるみなんだけど、大切に使ってくれる人のところに行けて、その人が満月の夜に目を見て願い事を言ったら人間になってその願いを叶えれたら正式に人間になれるんだよ]
[もし、願い事が叶えられなかったらどうなるの?]
[君は記憶が消えて、僕はぬいぐるみに戻る]