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月夜に吠える、君の名を

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月夜に吠える、君の名を

25 - 最終回 呪いの終わるキス

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2025年08月11日

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あたりは静まり返っていた。

さっきまで暴れていた化け物は、影ひとつ残さず消えている。

風が木々を揺らし、月明かりが健の輪郭をやさしく照らした。


『……終わったん、か?』

健が小さく呟く。

その声は安堵にも似ていたけど、どこかまだ不安を含んでいた。


「わからない。でも……」

私は健の手を握り直す。

その瞬間、彼の狼の耳も尾も、ゆっくりと消えていった。

まるで長い夢から覚めるように。


健は一歩近づき、私の頬に手を添えた。

『……紗羅が居らんかったら、俺、ずっと化け物のままやった。』

「私も……健がいなかったら、こんなに強くなれなかった」


言葉より先に、心が動いた。

私たちは自然と顔を寄せ、唇が触れた瞬間……

健の全身が光に包まれ、健を縛っていた呪いがとけていくのが分かった。


キスは甘く、だけど切なかった。

ずっと待ち望んでいた答えが、やっとここにあった。


唇を離すと、健は少し照れたように笑った。

『これで呪いはとけたんやな』

「うん……これからは、一緒に生きていこう」


森を抜けると、空には一面の星が瞬いていた。

もう狼の影はどこにもない。

私たちは手を繋いだまま、夜空の下を歩き出した。


二人で幸せの人生を歩んで行くように……

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