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『 おっはよ!』
私の目覚ましは奈緒じゃないかと思う。
あの耳がキンキンいうくらいの声は、寝ぼけている私を覚ましてくれる。
今日も奈緒の声で起きてから、2人で学校まで向かった。
昨日雨が降ったからだろうか。校庭のトラックの線が、水溜まりで隠れていた。
私の隣でわちゃわちゃと話している奈緒は見なかったことにして、靴箱で上履きに履き替えた。
黙々と廊下を歩いていると、
『 ちょっと!?愛菜!?聞こえてる!?』
と、隣を歩いてた奈緒が、ついに私が奈緒の話を一切聞いていなかったことに気づいてそう言った。
私はぷんすかしている奈緒をなだめながら、2年3組の教室に入った。
奈緒は
『 私、ずっと1人で話してたわけ!?恥ずかしい〜』
と顔を真っ赤にして、言っていた。
今更かいと思いながら、先生やクラスメイトに簡単な挨拶を交わす。
いつもと変わらない時間が過ぎていった。