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元貴はその後、涼架に度々話を聞いてもらいながら何とか学校へ通っていた。
涼架が高校2年の夏、二人が訪れた夏祭り。提灯の明かりが揺れる中、涼架からなぜか目が離せなかった。
彼はいとこからもらったし、せっかくのお祭りだから、と浴衣を着て来た。
すらっと伸びた長い手足に浴衣がよく似合っている。
涼架は少し長い髪をハーフアップにしていた。
白い肌、細い首筋、ハーフアップによって際立ったきれいなうなじ。
今まで涼架のことをかわいいと思うことはあった。
だからこそ余計にそのつややかで色っぽい姿に衝撃を受け、元貴は自分でも不思議なくらい動揺していた。
自分を見つめたまま顔を赤くしている元貴を、涼架は不思議そうに見つめた。
「どうしたの?何かついてる?僕変な着方してる?」
「いや、なんでもない!意外と似合ってるなって思って」
と元貴は涼架から慌てて目をそらしながら、胸の高鳴りを抑えようと必死だった。
彼はそんな元貴の動揺に全く気が付く様子もなく
「えー、本当?元貴に似合ってるって言われるとうれしいね」とのんきに笑っている。
射的やヨーヨー釣り、わたあめやりんご飴と二人でお祭りを存分に楽しんだ。
涼架がはぐれないようにと元貴の手を取ってきたときはなぜかまた胸が高鳴った。
夏祭り最後を飾る打ち上げ花火が始まった。
夜空に打ち上がる花火の光が涼架の顔を照らした時、元貴は胸の中が苦しくなるほどの感情を覚えた。
”なんでこんなにドキドキしてるんだろう?”
その問いの答えが、どこか怖くて踏み込めないでいた。