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第3話:見えないフリ、してんだろ
視点:楢本 尚永(ならもと しょうえい)
放課後の教室はもう静かで、俺たちの声だけが響いていた。
「なあ、新、オレさ、正直ムカついてんだよ。」
新は眉をひそめてこっちを見た。
「何が?」
「お前、湊斗のこと好きなくせに、全然動かねぇじゃん。
見えてんだよ、湊斗がどれだけお前を意識してるか。」
新は一瞬言葉を失った。そうだ、俺には見えている。
湊斗が新を意識してるのも、俺が新のことを見てるのも。
「じゃあ、お前はどうなんだよ?」
新が唐突に聞いた。
「俺?正直……あいつが気になってる。
でも、そんなこと言ったら、お前らにバカにされるから黙ってる。」
「はは、やっぱそうか。」
「でも、正直に言えばよかったな。
言わなきゃ伝わんねぇってわかってるんだから。」
新の言葉に俺は苦笑いするしかなかった。
「よし、今日はここで約束だ。
お前もオレも、少しずつでも本音を出そうぜ。」
新は小さく頷いた。
それだけで、なんか少し楽になった気がした。