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第4話:うるせーよ、誰が惚れてるか
視点:平林 斗亜(ひらばやし とあ)
放課後のグラウンド。俺はひとりでボールを蹴っていた。
汗でびしょびしょになりながらも、気持ちは全然落ち着かない。
頭の中は、あいつのことばかりだ。
湊斗のこと――正直、好きだ。
でも、女と話すのも苦手なのに、男にどうやって気持ち伝えればいいんだよ。
だから、つい口調が荒くなってしまう。
本当はそんなつもりないのに、照れ隠しで強がってしまう。
「おい、斗亜!」
燈稀の声が背後から飛んできた。俺はボールを蹴る足を止めた。
「なんだよ。」
「またそんな顔して。湊斗のこと気にしてんだろ?」
「うるせーよ、誰が惚れてるかよ!」
つい口が滑って強い言い方をしてしまう。
けど、内心はバレバレなのに、どうしても素直になれない。
燈稀はにやりと笑って言った。
「お前、まじで不器用だな。たまには正直になれよ。」
俺はボールをまた蹴りながら、心の中で呟いた。
(どうしたら、あいつに伝えられるんだろう。)