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第1章
――現実
夢の中の教室に、
戻ろうとしてしまった。
制服を探して、
引き出しを開けて、
そこでやっと、
全部無駄だって分かる。
今日は平日なのに、
学校はない。
俺の時間だけが、
社会から切り離されてる。
スマホを持つ。
理由は分からない。
ただ、持たないと
何かが壊れる気がした。
通知はない。
でも、
下書きだけが残ってる。
【ここからやり直せば、間に合う。】
誰に向けて書いた?
いつ書いた?
なんで、消してない?
頭の奥が、
じわじわ熱くなる。
考えるのをやめたくて、
俺はその下書きを
投稿しようとした。
――送信。
画面が一瞬、固まる。
エラー表示。
【この投稿は既に存在しています】
意味が分からない。
再読み込み。
投稿一覧に、
さっきの文章がある。
投稿日: 今日の朝 6:12
俺が目を覚ます前の時間。
背中が冷たくなった。
同時に、
聞こえるはずのない音がした。
――チャイム。
耳鳴りかと思った。
でも違う。
はっきりと、
あの音。
目の前が暗くなる。
倒れたわけじゃない。
世界の方が、
ひっくり返った。
目を開ける。
窓際の席。
風。
プリント。
ミオが、 こっちを見ている。
ミオ「ねえ、大丈夫? 顔、やばいよ」
俺は、 返事ができなかった。
だって、
さっきまで――
ここは、夢だったはずだから。