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数日後――
あの発作から数日たっても、涼ちゃんは心から元気になることはなかった。
どこか遠くを見るような目で、無表情のまま学校へ通う日々。
周囲の友だちも𓏸𓏸も、涼ちゃんが何かを隠していることに気付いていた。
部活中も以前のような柔らかな笑顔は消え、何かに怯えるように距離をとる涼ちゃん。
𓏸𓏸が「一緒に帰ろう」と呼びかけても、涼ちゃんは静かな声でこう返した。
「……もう、放っておいてよ。𓏸𓏸ちゃんには、分からないから」
𓏸𓏸は動揺し、胸が締め付けられる思いで、
「涼ちゃん、どうしたの?何があったの? 私、ずっと心配して……」
そう言っても、涼ちゃんは冷たい目で𓏸𓏸を避け、ゆっくりと背を向けていく。
――みんなに心配をかけたくない。優しくされるほど、弱さを思い知らされる。
――『普通』になれない自分が、無性に悔しい。
だんだんと涼ちゃんは、誰にも心を開かなくなっていった。
言葉も少なくなり、目が合うこともない。
闇の中に自分を閉じ込めるように――
𓏸𓏸は、そんな涼ちゃんを放っておけなかった。
たとえどんなに冷たく突き放されても、そばにい続ける決意をする。
「涼ちゃん、私は――、どんなに遠ざけられても絶対に見捨てたりしない。
涼ちゃんが闇の中にいるなら、私が絶対助けに行くから」
真剣な𓏸𓏸の想いは、いつか再び涼ちゃんの心に光をともすことができるのか――。