コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
駅には約束の時間ギリギリに着いたけれど、流星はまだ来ていないらしかった。
しばらく待っていると、流星が人混みの中をこちらに向かい大股で歩いてくるのが見えた。
その姿に、やおら待ち合わせをした時の銀河の姿がダブって映る。
(銀河…どうしてるんだろう…)
あの夜の流星との喧嘩以来、彼からはなんの音沙汰もなく、自分からお店を訪れるのもなんとなくためらわれていた。
「…よっ!」
声をかけられて、ぼんやりと銀河のことを考えていた私は、目の前の流星に顔を向けた。
「こんばんわ…」
流星の顔が目に入って、銀河じゃないんだと思うと、また気分がどんよりと落ち込んでくるみたいだった……。
「なんだよ、機嫌悪そうじゃん? ああ、もしかして銀河の方がよかったとか考えてたのかよ?」
薄笑いを貼り付けた顔で、流星がからかい半分に言う。
「別に。そんなこと、どうでもいいでしょ」
と、やや憎たらしくさえ感じられるようなにやけ顔から、目を逸らした。
「ま、いいけどな。ただ、今日は俺とのデートに付き合ってもらうからな」
流星が唇の端をフッ…と僅かに引き上げる。
「じゃっ、行こうぜ?」
「行くって、どこによ?」
「立ち話もなんだし、飲みにでも行こうや。ああ、それとももっと別のところとか……」
「飲みにでいいから」
悪い冗談としか思えないような話を早々に切り上げると、流星には構わずに私はとっとと先に立って歩き出した。