警察を辞めた
疲れたんだよ
誰も聞いてもいないのにそんな言葉が思い浮かんだ
俺は100年前からずっと自由に生きたかった
けど100年前も今も信用という重りが置かれて何も出来ずにいた
さっさとこんなもの外したくて俺は…
「らだお、警察やめます。お疲れ様でした」
最後の研修生が終わったあとに警察を辞めることをみんなに伝えた
無線からは悲しむ声や残念そうな声が聞こえる
けど、これは結構前に決めていて今さっき署長から許可がおりたところだ
今更辞めることは出来ない
けど、俺って愛されていたんだな
そう思ってしまった
けどやってしまったことは仕方ない
俺は青い鬼の面を置いて警察署を出る
俺は今から警察官の青井らだおじゃない
1人の犯罪者だ
しかしここにはお世話になったなぁ
虚しい気持ちでいっぱいになるが知らないフリをする
さてどうしようか
そう思った時とある人から電話がかかってくる
「マンゴー…?」
怒ってるのかな
笑ってくれるかな
あの人みたいに何やってんだーとか言ってくるのかな
色々考えながらも電話は鳴り止まることを知らないようだった
仕方なく俺は電話を取ることにした
「もしも〜し。どしたの?」
「あ、らだオ?今どこイル?」
「今ね〜本署の前」
「わかった、ちょっとまっててネ」
なんの用だろう
あの警察1の腕前と言われてる猫マンゴーだ
今から何されるか分からない
恐怖感を覚えながら警察署の前で座っていると猫マンゴーは突然姿を現した
階段をものすごいスピードで下り俺に抱きついてくる
とても強い力で掴まれたので骨が折れかける感覚がした
「ま、マンゴー?落ち着いて」
「らだおらだお」
グリグリと猫の仮面を俺の腹に擦るからくすぐったくて思わず笑ってしまった
「はいはい」
彼女の頭を撫でる
こうしていられるのもこれが最後か
ふとそう思ってしまったがブンブンと頭を振ってその考えを忘れさせる
今は必要ない
「俺も行く」
「え?」
「らだオがギャングなるなら俺もナル!」
こう言われるほど後輩に尊敬されていたのか
「ありがとな」
けどマンゴー連れていったらバランス全部狂うんだよなぁ
ほんとにマンゴーごめんね
お前は連れてけない
「けど、俺マンゴーには警察になって欲しいなって」
「ウソだ」
「俺がいたらバランスが狂うンでしょ?」
どうやらこの猫はとても賢いらしい
自分の存在というのを十分に理解してどう立ち回っていいか分かっている
故に自由になれない
なんか、100年前の俺みたいだな
「うん、ごめんね」
「けど俺は行くよ。俺のボスはらだオだけ」
「ダメだって、警察も楽しいって言ってたじゃん」
「らだオが居なかったら楽しくナイ」
「俺を自由にさせロ」
その言葉には弱かった
今の彼女の姿が100年前の俺と重なってしまったから
助けてあげたいと思ってしまった
そうだよな
お前も自由に生きたいよな
「わかったよ」
それなら一緒に行こう
「ちょーっと2人で何コソコソしてるんだー?」
後ろから大声で話しかけられる
「なるせ?!」
予想外の声に思わず声を上げてしまう
マンゴーも同じだったようですりすり顔を擦り付ける動作をやめ彼の顔を見る
とは言ってもいつも通りペンギンのマスク、いわゆる犯罪者マスクで顔は見えない
「俺警察ヤメル!」
元気よくそう宣言する彼に呆れたようにはぁとため息をついた
「何ダヨ」
「警察のバランス考えてるか?お前と俺が居なくなったら成り立たねーじゃん」
まさにその通りだ
マンゴーと成瀬がいなくなったらロスサントスの警察は一気に弱くなっていくだろう
そうなれ、ば?
「待ってなんか成瀬混じってね?」
「当たり前だろ!青井パイセンがギャンなるなら俺もなるよ」
「ダメ、成瀬は警察しといて!俺がらだオのギャングはいるの!」
「なわけねーだろ!俺が初めに約束してたんだよ!」
そう睨み合いながら喧嘩する彼らを見て思わず笑いが込み上げてしまう
突然笑い出した俺に対して頭がいかれたのかとかヤバい人だというような声をなげかけてきた
ひでぇな
「いや、みんなでやろっか!」
笑いながら告げると彼らはとても嬉しそうに笑って喜びの声を上げる
きっとこのギャングならどんなギャングよりも楽しめる
この二人を見てると確証は無いけどそう思ってしまった
あぁ、今日はいい日だな
俺の重荷が落ちたような気がした
[END]
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