一回データ消えた悲しきお誕生日おめでとう投稿です
どうぞ(
ぼんやり光るライトの下でカタカタと鳴らすパソコン。
そのパソコンと向き合ってにらめっこしている俺の右手に置かれたスマホがブーブーとバイブが鳴る。
忙しくてもやはり明日は俺が主役だからっていうのがあって期待して目を向けてしまう。
明日、俺。いふは誕生日を迎える。
また一歩上への階段を登っていくんだなぁ、と身で体感しながらも中々実感できていないっていうのもまた事実。
「…あー、めっちゃ緊張する。」
なんて言いながら俺の左胸に手を当てるといつもより早くドクン…ドクンと脈打つのが伝わる。
いつもなにか記念配信があると緊張してソワソワした状態になってしまうんだよな。
なんて考えながら立ち上がりコーヒーを淹れて1口運ぶ。
ごくりと喉仏を通り、コーヒーの苦味が口内に広がる。
そしてxを開きリスナーがわちゃわちゃしているポストを見て微笑ましくなるまでがこの誕生日にやること。
なんてしていたら時間はあっという間に過ぎ去っていき、カウントダウン配信。
配信開始ボタンを押してリスナーに声を届ける。
「…ふふっ」
なんて最初に笑みがこぼれてしまったのは聞かれてないといいけどなぁ。
カウントダウン配信が終わり、時間は3時頃。
0時をまわった辺りにはいふ民が投稿してくれたお祝いが専用のタグでたくさん投稿されている。
イラストにグッズにケーキに祭壇…どれもすべてが素敵で青色に染まっている。
…でも1つだけおかしいことがある。
そう、それはあいつからお誕生日おめでとうの言葉が1つもないことだ。
例年「おめでと」の1言ぐらいかけてくれていた。のに…!
今年はまるでタヒんだ屍のようになってしまっている!!!!!
「………」
少し、すこーーーーしだけもやつく気持ちを誤魔化すために布団に潜り込み目を閉じる。
3…2…1、ぷつんと意識が遠のいていくのがわかる。
心の中で「おやすみなさい」と唱えて俺は完全に意識を手放した。
次に意識を取り戻した時、俺しか居ないはずの部屋に人影が通るのを横目で捉えられる。
生憎にもホラーに耐性のない俺は思わず飛び起きてしまうと、そこに居たのは見覚えのある紛れもないあいつだった。
「あれ、まろ。おはよ」
「ん」
寝ても、もやつく気持ちは収まりきらなかったようでどうも彼と話す気になれない。
手短にそう返事をすると彼は言葉を続ける。
「なんか俺休みもらっちゃったしまろん家来ちゃった〜」
がははなんて汚く笑い声を上げるないこ。
…いや絶対にほとけか初兎が「休め!」なんて要らんこと言ったやろ。そうでもしないとこいつ休まへんって。
なんて思いながらも彼のことを見つめていると視線に気づいた彼は俺の方へ歩み寄ってくる。
「朝ごはん買ってきたんだけどどれがいいー?」
そう言って布団に座っていた俺の足の間に座り込む。
…全く、俺は椅子じゃないんですが?
なんて思いながらも買ってきてくれた袋の中身を覗くとパンとおにぎりに…自分用に買ってきたのだろう盛りだくさんの弁当が入っていた。
「おにぎりで」
「りょーかい、俺は弁当〜!」
にこにこ嬉しそうに手にとって俺の足の間に座ったまま食べようとするから止めると彼は不機嫌な表情を見せる。
…いやなんでやねん。俺が不機嫌になるべきやろ。
「ここ、布団。 汚されたら困るからリビングで食お」
「えー、めんどくさーい」
にひひ笑いながらそう言う彼に一発軽く殴ってやると「痛い痛い」なんて言いながら立ち上がってリビングの方へと歩いてくれるから簡単に布団を畳んで彼のあとをついていく。
そしてなんやかんやあって結局、俺が欲しい言葉はもらえないまま誕生日配信が終わった。
「……え、終わったんやけど」
18時くらいに彼は自宅へと帰り、静かな家に戻ったまま配信へ。
そうして今配信を終えたところだが………え、配信で「おめでとう」しか言ってもらえてないんやけど。
それにあいつなにも言わずに帰っていったぞ??は???
「……はぁ、もうやけ酒するか。」
なんて言って冷蔵庫へと足を動かした時、がちゃりと玄関の扉が開かれる音が聞こえる。
「ただいまー!」
「ここお前ん家ちゃうやろ」
ナチュラルにツッコミを入れると「いいねぇ、面白い」なんて上から目線に指摘される。
それを無視して彼のもとへ駆け寄ると「あ」なんて言うから言おうとした言葉がかき消されてしまう。
「まろ、お誕生日おめでと」
「…今は23時、もう祝う人なんて居ないよね?笑」
そう言って俺に抱きついてくる。
急にデレ期来るやん。いつもツンデレで甘えてきてくれないくせに。
「鍵閉め、ちゃんと出来た…っ」
「…は?」
なるほど、理解した。
理解したとともに体は正直で脳の処理が追いつく前に彼を押し倒していた。
そこから先は俺とないこだけの秘密の時間だよ。
end
コメント
5件
1回めっちゃ書いたのに消えると萎えますよね🥹 今回も青桃が尊くて、桃さんは普段甘えられないからあえて他メンが来ない時間帯を選んでるのがメロいです🥹💓 青桃だからこその関係性が良き、、
どわーーーっ!!!!!!!!!!!!!!!!! カギ閉めは絶対にっっっ!!!!!!! 青さんハピバ投稿私もしてきます…{{{?