テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
佐久間がゆっくり抜くと、深澤の白濁が溢れてきた。
「お先!シャワー借りるね!」
さっきまでとは全く違う、元のテンションのまま、シャワーに消えた。
前も後ろも攻められた深澤は、汗と涙と涎と精液でぐちゃぐちゃだ。
「ふっか、大丈夫?こっち向いて」
阿部が今までにないくらい優しい声で言う。
その言葉に深澤は涙が止まらない。
「あ、あ、阿部ちゃん……」
阿部が深澤の体をゆっくりと動かし、2人は向き合う。
優しいキスをして深澤を抱きしめる阿部。
「ふっか気持ちよかったね?」
(阿部ちゃん、気持ちよかったよ……でも、 俺、気持ちよくなるためだけにここに来たんじゃないんだよ)
そんな気持ちを押し殺して
頑張って笑顔を作り頷く深澤。
「すっごく良かった」
「ふふっ、それにしてもふっか何回イッたの?」
甘い時間はもう終わり!とでも言うように、声がいつものメンバーとしてのトーンに戻り、軽く笑いながら聞いてくる。
「……そんなの、数えてなかったよ」
乾いた声が漏れる。阿部ちゃんは笑ってたけど、深澤の心は凍っていた。
「うわー、気持ちよかった〜。あ、ふっか、前前と後ろ後ろどっちが気持ちよかった~?」
軽口を叩きながら戻ってくる佐久間の声に、深澤の胸がギュッと締め付けられる。
(この人たち、本当に……俺の心なんて、最初から見てなかった)
そんな気持ちを隠すように、務めて明るく
「うるせーよ。阿部、シャワー貸せ!」
そう言って風呂場に逃げた。
シャワーの音だけが、空間を支配している。
あれだけ身体を重ねたはずなのに、湯を浴びるたび、何かが剥がれていく気がした。
抱きしめられていたはずの阿部の手の感覚は、もう残っていない。
痛いくらいの快楽も、熱も、声も。
なのに、心の中にこびりついた空虚感だけは、どれだけ流しても消えてくれなかった。
鏡の中、自分の顔が映る。
濡れた髪、赤くなった目、唇の端に残る痕。
それが“今の自分”だという事実に、吐き気がした。
(俺、なにやってんだろ……)
そう思った瞬間、涙が止まらなくなった。
誰にも見られていないのに、声を殺して泣く癖が染み付いてる。
湯気で曇った鏡の前で、深澤はタイルに手をつき、肩を震わせた。