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「うわぁっ!?」
俺が家を目指して猛ダッシュをしていたところ、誰かが俺の目の前に急に現れた。
茶色の髪色、
俺より少し年上ぐらいで、兄と同じ年齢…に見えた。
「…見慣れない顔だな」
青年は睨むこと無く俺の顔をじっと見た。
「えっ…と、」
睨まれていないとしても、怪しまれるのは当然だ。
俺はなんとか不審者扱いされないよう、何か言葉を探していた。
パサッ…
「あっ 」
ポケットに入れていたくしゃくしゃの手紙が、落ちた。
俺が拾う前に、青年の手が伸び、手紙は青年のもとへ。
「…お前も、選ばれたんだな」
「……は?」
「紅茶かコーヒー、どっちがいい?」
「こ、紅茶…で、」
なんやかんや立ち話は良くないと青年から家へ入れてもらった。
おとぎ話に出てきそうな室内。
なんだか可愛く思った。
「はい、紅茶」
「ありがとうございます」
「砂糖は?」
「お願いします」
青年は俺の前にスティックシュガーを1本置いた。
俺は苦いのがあまり好きではない。
そんなところが、兄に似たのだろう。
兄は極度の甘党だった。
「…お前も不運だなぁ、手紙が届いちまうなんて」
「やっぱり、何かよくない
ものなんですか」
「…人による」
なんだよ人によるって。
「冒険は好きか?」
手紙をひょいと掴み、そう言った。
「……あまり好まないです」
俺はどちらかと言うとインドア派、自ら外に出歩いたりはあまりしない。
…兄よりは外出する日は多いが。
「……そ、」
青年はどこか悲しそうに手紙を再び机に置いた。
「えっ…と、何か、あるんですか…?」
このままで終わってしまうと良くないと思い、俺は青年に言葉をかけた。
「…魔王を倒してほしい」
青年は声を発した。
「はっ……?」
魔王?
そんなものが居るのか?
まるでこの世界は何かのRPGゲームのようで、俺は少しだけ気持ちが高ぶっていた。
「魔王に全てを乗っ取られたんだ。城も、俺らの住む領域も、全部…」
青年の手は震えていた。
「だから…!!」
急に大きな声を出すものだから、俺は少し身を引いてしまった。
それに気づいたように、青年は申し訳なさそうに体を縮めた。
「…無理だとは、わかってるんだけど、魔王を…倒してほしい」
青年は俺の目をしっかりと捉えていた。
青い、澄んだ目。
綺麗だと思った。
でも、どこかで見たことがあるとも思った。
……誰だったっけ、まぁ、いっか。
「いいよ」
俺がそう言うと、青年は安心したような笑みをこぼした。
「でも、 」
「君にも、手伝ってもらいたい」
こうして、俺のふざけた冒険が始まった。