テラーノベル
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レイブの思惑通り盛り上がる酒宴を後押しすべく、レイブの舌は更に滑らかさを増す。
「それにしても今日は驚きましたよ太師匠、最長老様ですか、随分お年を召したラタトスクですね~」
生き返ってから始めての酒精に端正な顔を赤らめたグフトマもご機嫌で返す。
「ああ驚いただろう? 最長老の種族はヤマネ、通常なら二年から八年、魔獣でも数十年生きれば長命と言われる所なんだ! ところがっ、あの最長老は驚く事に数千年もの間生き続けている、そう言われているそうだ」
「へー凄いっすね」
「ここ数百年はあまり多くを話してはいない様だがな、それ以前の話はホブゴブリンやラタトスク達に語り継がれているんだぞ、私も彼等に聞いたのだ! 良い機会だ、レイブ、ペトラ、ギレスラっ! お前達も聞かせて貰うが良い!」
「えへへ、そうでげすね、えへへ、ささっ、もう一杯、えへへ」
調子良く答えるレイブと違い、ペトラとギレスラは真剣な顔でホブゴブリンを見つめている。
テューポーンは寝ている訳では無さそうだが、ギレスラの頭上でジッとしたまま動く素振りは無かった。
沈黙に促される形で、ホブゴブリン達は自分たちに伝わる伝承、健やかなりし頃の最長老から聞いた話を語り始めた。
話の端緒はここ、『小人の隠し穴』の誕生まで遡った。
時代は令和、コユキと善悪が結婚し、後を追ってゴールインを果たした結城・吹木両氏の結婚披露宴の直後であった。
シェムハザ率いる天使達、見張りの天使が彼等に邂逅した事が理由に関わっていた。
見張りの天使はユダヤ教によれば欲に溺れ堕落した存在、神に徒為す存在である。
彼等はニンゲンの伴侶を得る為に純朴だったニンゲンに様々な知識や技術を与えたと言われている。
前段は無論創作である。
彼等は本観察で度々言及されてきた他の神々、天使と同様に宇宙から飛来した天体に他ならず、格段の意思や目的、当然欲望の類など持ってはいなかった。
反して後段は的を射ていると言えるだろう。
二百一柱の天使達は悪魔として、人々に様々な事物を与えたのだ。
恩恵は言語、技術、知識に留まらず、武器、魔法、呪法、貧富、貴賎の違いまで多岐に及んだ。
齎されたそれらは、ニンゲンに家を与え、安定した食を実現させ、徐々に文化を、やがて独善的な信仰を産み出させた。
程無く、信仰は権力と結びつき社稷を祀る者は王、又は巫として権勢を欲しいままにしたのである。
良く言えば文化、文明、悪く言えば彼我の差異による優越と選民、つまり醜い勘違いを誕生させたのだ。
先んじる要素、資源に優れた群れは他を圧倒した。
集落を守る塀は高く強固に築かれ、程無く城砦と化していった。
権威と結びついた王者を守護する戦士達は、習俗の違う人々を蔑む事に疑問すら抱かずに、その殺人術の優劣を争ったのである。
以来、ニンゲンの歴史は常に先発者の勝利、既得者優位で運営され続け、例の滅び直前まで一度たりとも見直される事無く繰り返されていたのである。
令和に生きるオーディエンスの皆さんなら理解しやすい事だろう。
先んじて大量破壊兵器を持つ事が出来た国家には他国を隷属させたり、ましてや滅亡させる権利があるのだろうか?
答えは当然、否、であろう。
しかし、人類が見張りの天使から技術や知恵を与えられて以来、脈々と続けられてきた事象は、正にそれと同じなのである。
浅ましく悲しい事だが事実なのだ……
それもこれも堕天した悪い、悪っい悪魔たちの仕業、企みなのだろうか?
無論違う、言い掛かりも良い所だ。
無数の天体衝突が齎した変化に作為的な意図など存在しない。
それらが齎した物は地球の環境に対する少なく無い変化と、放射線被爆による原生体へ及ぼした急激な変化である。
激変する環境に適した変化が可能だった生物が生き残る、至極当然の事を経た結果、ニンゲンは生き残り文明を発展させ、事も有ろうか自らを神に選ばれた存在だと…… 神の後継者などと訳が判らぬ妄言を吐くまで発展させてしまったのである。
真実は『適者生存』ただそれだけだと言うのに……
コメント
1件
うわあ、今回のエピソードめちゃくちゃ深かったですね。見張りの天使の話から「適者生存」への着地のさせ方が鮮やかで、特に「先んじた者が勝つ」という歴史の法則を、人間の傲慢さと結びつけて描いているところが印象的でした。神話の外側に理屈を置く視点、好きです。設定の重層的な作り込みに、また唸らされました。
羽海汐遠
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シュメール
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たつ
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