テラーノベル
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スケルトンを合計10体倒し、第12採掘坑との分岐まで来た。
「エイダンさん、今現在、先はどのように見えているでしょうか」
俺の透視魔法と魔力探知で見える状況は、今までとそう変わらない。
「この先60mで坑道が終わるところまでは、敵はいません。その先、そこにある穴の先は、やはり見えません。穴の大きさは高さ2m、幅1m程。強大な魔力を感じるところは、先程と同じです」
この坑道にいたスケルトンは全て、こちらに寄ってきたため倒した。
だから、もうスケルトンはいない。
しかし問題は、まだ見えない穴の向こう側だ。
見えないのは距離的な問題ではない。
俺の魔法を阻む何かがあるようだ。
一方、こちらの方は単純だ。
「第12採掘坑は、ここから60m続いています。ここから20m先からは、天井にゾンビバットが合計32匹張り付いています。それ以外には、特に変わったところは見当たりません」
「わかりました。それでは第12採掘坑の方を片付けてしまいましょう。この後にそれなりの活動が待っているようなので、時間と体力を節約します。第12採掘坑には全員で入り、さっさと片づけましょう。私が強制冷却魔法をかけますので、動きが鈍ったバットをミーニャさんとジョンさんで片づけてください」
「わかりました」
今度は俺の出番は無さそうだ。
「それでは行くニャ」
今までと同じ隊列で先へ進む。
第12採掘坑はやや上り坂でまっすぐだ。
そして少し先の天井に、黒いものがくっついているのが見える。
「では、ゾンビバットに強制冷却魔法をかけます」
すっ、と魔力が流れたのを感じた。
ゾンビバットの魔力反応が一気に低下する。
「まずは私が連続攻撃をかけるニャ。漏れたのの始末を頼むニャ」
「わかりました」
無手のミーニャさんと、槍を持ったジョンが前に出る。
「衝撃拳連打ニャ」
ダダダダダダッ!
そんな感じの連続音が響き渡った。
天井に張り付いていた蝙蝠が次々と落ちていく。
どうやら拳で衝撃波を放つ技のようだ。
魔法無しの拳で衝撃波を放つとか、それで30m位先のバットを叩き落とせるなんて、冗談としか思えない。
やっぱりミーニャさんはチートだ。
バットの大部分は床に落ちた後、そのまま動かなくなった。
しかし一部は弱々しくも羽ばたき、こちらに飛んで来ようとする。
「あとは任せたニャ」
「はい」
ジョンの槍が、飛んでくるバットを的確に突く。
6匹ほどのバットが槍を受けて床に落ちた。
更にジョンはゆっくり歩き、まだ動いているバットにとどめを刺していく。
魔力反応を見て、俺はジョンに声をかけた。
「それで終わりだ。生きている反応は無くなった」
「わかった。ありがとう」
「それでは回収します」
クリスタさんの声とともに、ゾンビバットの死骸が消えた。
転送魔法で魔法収納に収納したのだろう。
「エイダンさん、これで第12採掘坑の方は終わりでしょうか」
俺に聞かなくても、クリスタさんにはわかっているだろう。
しかしこの討伐は訓練を兼ねている。
それがわかっているから、俺は素直に答える。
「ええ、もう残っていません」
「それでは分岐に戻って休憩しましょう」
時間確認魔法によると、今の時間は午前9時35分。
6時に起きて、6時30分には探索を開始したから、確かにそろそろ休憩にはいい時間だろう。
分岐の場所には、外に繋がる通風口も開いている。
だからか何となく空気がいい感じだ。
例によってテーブルと椅子を出し、今度は間食用のおにぎりを出す。
「こっちは塩味の魚、こっちは甘く焼いた魚が入っています」
食べる前に、おにぎりの中身の説明をしておく。
なお、この説明はジョン用だ。
クリスタさんは自分で中身を見る事が出来るだろうし、ミーニャさんは両方とも食べるだろうから。
なお本当は、海苔と呼ばれる海藻加工物で飯の周りを巻いてあるのが、正しいおにぎりらしい。
しかし海苔はドーソンの店で売っていなかった。
だからこのおにぎりは、中におかずを入れ、御飯を握っただけのものだ。
それでも普通の御飯より食べやすいだろう。
だから間食用には、以降これを使う予定だ。
「いただくのニャ」
ミーニャさんが真っ先に口に運ぶのは予想通り。
それはそれとして、俺はここで聞きたい事がある。
「クリスタさん、この洞窟の終点より先に何があるかわかったでしょうか?」
俺には見えていなくとも、クリスタさんには見えている可能性がある。
案の定、クリスタさんから返答があった。
「水の気配がします。おそらくは地中湖です」
えっ!?
予想外の言葉に、思わず確認してしまう。
「地中湖ですか?」
クリスタさんは頷いた。
「その通りです。地下水が溜まった湖があり、そこに魔物がいるようです。ですので、スケルトンの他、水中の魔物とも戦う可能性があると思って下さい」
「スケルトンもいるんですか」
これはジョンだ。
「ええ。スケルトン類が主でしょう。この坑道に出てきているスケルトンは、穴の向こう側から出てきたと考えるのが自然です」
なるほど。
「つまり穴の向こう側はスケルトンがわんさかいて、それがこっちに出てきたという事かニャ」
ミーニャさん、わんさかなんて表現を使わないでくれ。
おにぎり3個目を食べながらで、緊張感はないのだけれど。
「ええ。それなりの数がいると思われます。透視魔法で見えないのは、魔法陣や魔術式、儀式魔術などで内部を特殊空間にしているからでしょう。ここから観察すると、僅かながらそういった魔力を感じますので」
「ニャらそれを倒して仕掛けを消せば、この件は終わりかニャ。あとエイダン、お代わりニャ」
おにぎりを追加で2個出しつつ、クリスタさんに尋ねる。
「終わりといっても、敵を全部倒してからでないと、そういった処理はしにくいですよね」
「ええ。まずはあの穴の奥、地底湖がある空間にいる敵を全滅させる必要があります。ただ、この調子でいけば、今日中には解決まで持って行けるかもしれません」
いや、下手に焦らない方がいい。
焦ると事故の元だ。
前世で何度もヤバい事態に遭遇した俺は、そう思うのだが……
「そうなってくれれば、正直なところ嬉しいです。これでもエルフなので、緑も太陽の光もない場所にいるのは、少々辛いのですよ。ですから、さっさと終わってくれると助かります。初心者講習生のピックアップ作業にも、1日早く戻れますから」
確かに、エルフの特性としてはそんな事があるかもしれない。
ただ、だからと言って、ここで作業を急ぐのは危険だと思うのだ。
「ですが、いきなり穴の向こうへ向かうのは、流石に危険です。ですから、偵察用に妖精を飛ばそうと思います。そうすれば、穴の向こう側について具体的にわかりますから」
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