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#あべさく
めかぶぷりん
8,213
29
雪月❄️
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🧡「……というわけや、阿部ちゃん。うちのボス、完全に脳みそがピンク色のプロテインみたいになってもうてん」
「Snow」の縄張りにある、怪しげな純喫茶のカウンター。「岩本組」の右腕である向井康二は、メロンソーダのストローを咥えながら、目の前に座る「Snow」の右腕・阿部亮平に深い溜息を漏らした。
長年のしきたりでライバル関係にある両組織だが、実務を担う右腕同士、裏でこっそり情報交換(というか愚痴の言い合い)をする程度の不文律の繋がりはあった。
💚「はぁ? 脳みそがピンク色?」
阿部が珈琲カップを置き、眼鏡の位置を直す。
🧡「せや。昨日、境界線でそっちの深澤の若頭とすれ違ったやろ? あの瞬間から、ボスの様子がおかしいねん。ずっと般若みたいな顔で『深澤の好きな食べ物はなんだ』『何時に寝るんだ』って俺に詰め寄ってきてさぁ……。完全に一目惚れや。長年の宿敵のトップに恋してもうたんや、うちのゴリラ組長」
💚「……ちょっと待って。うちのふっかに、岩本組長が?」
阿部は一瞬、マフィアの脳として「暗殺の罠か?」と警戒したが、康二のガチで死んだ魚のような目を見て察した。本気(ガチ)のやつだ、と。
💚「悪いけど、うちの若はそんなこと微塵も気にしてないよ。今日も『これ以上誰も傷つけたくないからさ〜』って言って、甘々な取引書類作ってたし」
🧡「そこがボスのハートにクリティカルヒットしたらしいわ……。ライバルはとことん潰す理論のボスが、ライバルにハートを潰されるなんて、俺、もうどうしたらええか分からん!」
康二が頭を抱えてカウンターに突っ伏した、まさにその時。
阿部のスマートフォンが、けたたましく振動した。
画面に表示されたのは「若」の1文字。
💚「はい、阿部です」
💜『あ、阿部ちゃん? 助けてぇ〜! なんか今さ、Manの翔太のところに遊びに行こうと思って大通り歩いてたらさ、岩本組の高級車が3台くらい、俺の歩調に合わせて超徐行でついてくるんだけど! ナンパ!? これ新手のナンパなの!?』
スピーカー越しに聞こえる深澤の悲鳴に、阿部は静かに額を押さえた。対面にいる康二を見遣ると、康二はマッハの速度で自分のスマホを確認し、
🧡「ひぇっ、ボスから『今、深澤の後ろをストーキング(エスコート)中』ってLINEきてる……!」
と顔を青くしている。
💚「若。そのまま『Man』のシマへ逃げ込んでください。さすがに岩本組も、Manのシマまで追ってはこないはずです」
💜『分かった! 翔太ぁぁぁ!!』
ブツッと切れる通話。阿部は冷徹な目で康二を睨みつけた。
💚「康二。今すぐ、君のところの野生のゴリラを回収して」
🧡「すんまへん!! 今すぐ麻酔銃持って走ります!!」
一方、深澤が涙目で逃げ込もうとしている「Man」のシマ。
そこは「Man」の組長・渡辺翔太と、その右腕・佐久間大介が支配するエリアだった。
しかし、その境界線のすぐ向こう側には、岩本組と友好関係にある「宮舘組」の影が、静かに、しかし確実に忍び寄っていた。
古いコンクリートの建物の影。仕立ての良いロイヤルなスーツを纏った宮舘涼太は、まだ見ぬ初恋の相手『わたなべしょうた』の行方を思い、静かに瞳を閉じていた。
🖤「組長。お求めの『わたなべしょうた』という名の男ですが……」
背後から、右腕の目黒蓮がタブレットを手に声をかける。
❤️「見つかったのかい、目黒」
🖤「はい。……信じ難いことですが、我々の最大のライバルである組織『Man』の現組長の名前が、渡辺翔太です」
ピキ、と。宮舘の手の中で、愛用していた高級万年筆が真っ二つに折れた。インクが滴るのも構わず、宮舘の口元に、見たこともないほど深く、そして歪んだ歓喜の笑みが浮かび上がる。
❤️「……そうか。私の翔太は、裏社会の王になっていたんだね」
🖤「あの、ボス、顔がだいぶ怖いことになってます。ラウールも怯えてます」
目黒が引き気味に指摘するが、宮舘の耳には届かない。
❤️「目黒、ラウール。今すぐ『Man』に公式の会合を申し入れなさい。拒否は許さない。……ようやく、迎えに行ける」
岩本の「一目惚れ暴走」と、宮舘の「初恋執着の確定」。
友好関係にあるはずの組織のトップ二人が、それぞれ別のベクトルで限界突破し始めた。
「Snow」の若頭を般若の顔でエスコート(尾行)する岩本。
「Man」の組長をロイヤルな包囲網で捕らえようとする宮舘。
裏社会の友好と敵対のバランスが、二人のリーダーの個人的な欲望(恋心)によって、音を立てて回りはじめようとしていた。
コメント
7件
一目惚れって怖いね

やっぱさいこー
この話ちょ〜おもしろです!