瞬と俺は走って学校に向かった。
零「はぁはぁ、、なんで走るんだよ、、」
瞬「ギリギリは嫌いなんだって。」
零「でも時計見ろよ。始業のチャイムまであと7分もあるんだから、走らなくても間に合っただろ。」
瞬は深いため息を吐いて、呆れたように言った。
瞬「あのな、歩いて来てたら2分前だ。さっき言っただろ、5分前行動って。だから、
明日からちゃんと5分前に来いよ?」
零「朝の5分は貴重だぞ?無理だ。」
瞬「おまえな…もう、いいよ。好きにしろ。」
零「あと、陸上部と同じスピードで走れると思うな。めっちゃ疲れた。」
瞬「サッカーだって走るでしょ。そんな変わらないよ。朝練だよ。」
ーーーチャイムがなるーーー
チャイム「キーンコーンカーン…」
騒がしかった教室が静かになる。
生徒たちがみんな自分の席に着く。
先生。「よーし、朝のホームルーム始めるぞ。
出欠取るぞー、青野、稲垣、上田、…
如月 零。」
零「はい。」
先生。「如月、あとでみんなのノート集めて持ってくるんだぞ。」
零「えっ?なんで俺なんですか。」
先生。「なんでって、今日お前が日直だろ。」
零「あ、そうだった。はーい。」
先生。「よし。それじゃ次は早川 瞬。」
瞬「はい。」
先生。「早川は昨日の補習来なかったから、放課後残れよ。」
瞬「えっ?俺補習だったんですか。」
先生。「数学、赤点だっただろ。」
瞬「あー、はい、分かりました。」
先生。「よーし、それじゃ朝のホームルーム終わります。月曜日だから元気になー。」
ーーーHRが終わるーーー
零「えー、ノート回収します。」
ノートを集めて職員室に向かう。
零「あー重い。なんでよりによって1人なんだよ」
廊下を歩いていると女子達が話しているのが聞こえて来た。
女子生徒A「いやいや、瞬くんはないよー。
確かにイケメンだけど勉強できないし。
私頭良くない人と付き合いたく無いー。
バカが移っちゃう笑」
女子生徒B「え、ひどww でも確かにチャラいし、あ、中学の時は喧嘩して何人も病院送りにしたとか」
女子生徒C「えー不良じゃん。親もきっと暴力でしか解決できないばかなんだよww 」
女子生徒A・B「うけるww 」
こいつら、瞬の中学時代なんて知らないだろ。
こーゆー奴らが1番腹が立つ。
零「お前ら、黙れ。お前らの親もくそだろ。」
女子生徒A「は?なに?親は関係ないでしょ?」
女子生徒B「それに、親を悪く言うのは違う。」
女子生徒C「あんた頭おかしいんじゃないの?
あ、そっか親いないもんね。可哀想に。
親の愛情も知らずに来たんだね。」
こいつら、まじで、殴ってやる。
殴りかかる寸前に瞬が影から出て来た。
瞬「零、やりすぎだよ。落ち着いて。」
女子生徒たち「瞬くん、怖かったよー泣
零くんがいきなり殴りかかってきて、」
瞬もかなり苛立っている様子だった。
瞬「へぇー、俺の悪口で盛り上がってたのに。
全部零のせいなんだね。」
女子生徒たちは焦って、逃げていった。
瞬「零、一度頭冷やしてきな。ノートは俺が持って行くから。」
零「…うん、ありがと……」
俺は瞬に言われた通り屋上に行った。
ドアを開けた瞬間温かい風が吹き抜けた。
この風の匂い懐かしいな。
ーーー9年前ーーー
〇〇小学校 入学式
周りのみんなは両親、もしくはお父さん、お母さんのどちらかと一緒に真新しいランドセルを背負い。キラキラの笑顔で登校していた。
こども「お父さん!これかっこいい?
俺、もう立派な小学生だよ!」
父親「そーだな!お前ももう小学生だ!
これから、頑張るんだぞ!」
こども「うん!僕お父さんみたいになるんだ!」
親子が喜び合う声、新しい環境に胸を弾ませる声、たくさんの歓喜の声が聞こえる。
そんな歓喜の中に俺の居場所無かった。
零(幼少期)「……(僕もパパと手繋ぎたい…)
ママ、、、(僕もママに抱きしめてもらいたい)」
先生「ん?あの子は…」
先生が1人でいる僕を見て声をかけた。
先生「零くん。先生と一緒に行こうか。」
零(幼少期)「せんせ、、ママは、パパは。」
先生「えっ?」
零(幼少期)「なんで僕だけ1人なの。僕もみんなみたいにパパと手繋ぎたいよぉ。」
僕は初めてパパとママがもうこの世に居ないと実感した。そう、わかった途端に涙が止まらなかった。
零(幼少期)「なんで…なんで…来てくれないの。
ぱぱぁぁ…っ、なんで僕にはままぁがいないの。
なんで、、会いたいよ。会いたいよママ。
戻って来てよパパ。なんで、パパとママはずっと
地面のしたで寝てるの?」
先生は涙ぐんでいた。
先生「零くん。大丈夫…大丈夫だよ。先生がいるよ。ずっといるからね。」
そのまま先生は僕を抱きしめた。
零(幼少期)「ねぇ、なんでっ、なんでいないの。
せんせ、なんでっ…っ…教えてよぉ。
会いたいよっ。うわぁぁぁぁぁん!!!」
先生「零くん。落ち着いて。大丈夫だよ。」
僕は先生に抱きしめられながら号泣した。
ーーー次の日ーーー
僕はみんなの注目を浴びながら登校した。
僕が準備をしていると、3人の男の子たちが話しかけてきた。
男の子A「ねえねえ、おまえ、父ちゃんも母ちゃんもいないのか?」
零(幼少期)「えっ…う、うん。」
男の子B「ええぇーっ!それって、父ちゃん
母ちゃんに捨てられたって事だ!」
零(幼少期)「ち、違うよ!」
男の子C「えー、じゃあなんでお前には親がいないんだよ。」
零(幼少期)「そ…それは…」
男の子A「やっぱり、捨てられたんだぁー!
みてみて、昨日のまねーうぁーん!うぁーん!」
男の子B・C「そっくりだぁw」
そんな僕を見ていた少年が3人に向かって言った
少年「違うよ!零くんのぱぱとままはお空にいるんだよ!零くんのぱぱとままはすごい人だから、
お空で神様のお手伝いをしているんだよ!
ねっ!零くん!そうだよねっ!」
僕はこの言葉に何度も助けてもらった。
零(幼少期)「う、うん!そうだよ!パパとママはお空で大切なお仕事してるんだよ!」
その後僕は少年と遊んだ。
少年「今日、おれの家おいでよ!」
零(幼少期)「えっ?いいの?」
少年「うん!おれ、れいくんと遊びたい!」
零(幼少期)「ぼ、ぼくも!遊びたい、えーっと」
瞬(幼少期)「しゅんだよ!はやかわ しゅん!」
零(幼少期)「う、うん!遊ぼ!しゅんくん!」
それが俺と瞬が初めて出会った日のことだった。
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