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長年お世話になったファストを後にして、俺とは無縁と思われた冒険者なら一度は訪れたい街『ハルアット』に向けて旅をする。

実は、ファストとハルアットはさほど離れておらず、すぐ向かおうと思えば馬車で丸一日程度で着いてしまう。が、今回は道中を楽しみたいという理由で徒歩で向かうこととなる。

歳で言えば確かに俺は若いかもしれないが、やってたクエストが薬草集めとかばっかりだった俺では体力面の強化がほとんどされておらず結構苦しい。俺以上にマリンはまだ歳的にも厳しい。

だから、マリンの事を思って休憩をこまめにとか言おうと思ったんだが……。(決してマリンちゃんのためという建前で本音は俺がキツイからとかじゃないよ?)侮っていた…。子供の好奇心とその無尽蔵の体力を………。

マリンはグイグイ進んでいく。本来は危険だらけだが、恐ろしい程に過保護なルナベルが居るためか安心してマリンは進んでいき、興味を示したものにはすぐ駆け寄り俺達を呼ぶ。うん。可愛い。可愛いけど、俺はそんな体力ないからずっとゼーハーしてる。

「あんたホント体力ないのね…」

「ほら?俺は実力故に体力付けなくても良かったからさ!」

「実力がないを盾にしてやらない言い訳をしない!」

「はい…。それはそうです。」

「ねーねー?」

「ん?どうしたのマリンちゃん?」

「ここから次の街までどれくらいかかるの?」

「徒歩だとそうね……。2日3日かかるかな?」

「てことは野宿ってやつ?」

「そうねぇ…。」

「俺は嫌だわぁ……。」

「野宿!初めての野宿!!ワクワクする!」

「わぁ…。俺もそんな子に生まれたかった」

「ほんと、マリンちゃん見習いなさいアンタは…。」

子供の好奇心はこうも無尽蔵の力とワクワクを溢れさせるんだなぁ…。歳食ったら(22歳)ワクワクも無尽蔵の力とか出せないって…。そんなことを思うも口に出すとまたアレコレ言われるのでそっと胸の奥にしまいこんで、のんびりとハルアットに向けて歩き出す。

これから向かう『ハルアット』という国について軽くおさらいをしていこう。まずひとつこの国が有名な理由は【勇者】という存在が初めて誕生した国であり、その勇者によって世界が平穏を取り戻した伝説がいくつもあるからだ。魔王退治はもちろんのこと、朽ちる運命にあった村を救い、予言の噴火を阻止して近辺の街や村を救うなどその残した功績は語り出すと終わらないほどだ。そんな偉業を成し遂げた人物を初出した国だから有名であるし、この一件で各国が兵力の見直しを行ったり、ギルドとの連携も視野に入れたりと勇者という存在だけに頼らず、各個人でも何とかできるような政策のきっかけになったのも事実である。

そんな影響力がある勇者誕生の地であるハルアットは今は観光地として有名にもなっている。まぁ、勇者が生まれ育った国とか言われれば来たくなるのは当然と言えば当然。特に現代の人間は、そんな勇者に憧れて冒険者や国のお抱え兵士や騎士様になろうとか考えて行動したやつが大半だろうし…。恥ずかしながら俺も一攫千金とか名を残したいという下心丸出しの理由で冒険者なろうとしてたからそういう奴らと同格なのは認めざるを得ないんだけどね……。

さて、この国を話す上でもう一つ忘れてはならないのがルナベルが求める『妖精族』という存在についてだ。彼女らの特徴はサイズがバラバラであることにある。全長15センチ程度やつもいれば、人と同じサイズの奴までと結構幅広い。また、この種族は基本的に女性しか生まれず男性が生まれることは数百年に一度とかのレベルらしい。どうやって種を残してるのかは不明だが多分妖精族自体が長寿生命体だからそこまでして種の保存に固執はしないような進化を遂げたのだろうな。

で、この妖精族なんだが似た種族を思い浮かべるものもいるだろう。そう、エルフやドリアード等の種族だ。実は彼女らも大きな分類で言えば妖精族なのだ。派生した先がその二種になったのであり元を辿ると妖精族にと行きつく。要は始祖であるということで、魔法なんかも得意だったりするし、長寿という特徴を活かした知恵の多さも目立つ。その知識量が買われて勇者のナビゲーターとして雇われたという経緯を持つ。

さて、ではそんな妖精族だが実は近年では人間嫌いの種族として名の上がることが多い。その理由はとある噂にある。噂ではいつの時代かの勇者との意見の食い違いによる衝突があったとかなんとか…。その結果妖精の森に甚大な被害がありそれから妖精族は鎖国を行い、人との関わりを絶つこととなる。結果、妖精の森に近づく人間は容赦なく襲われて人の世では禁足地として語られることが多い。故に今では誰もその森に近づこうとも思わないし、そんな話が出た頃にはもう妖精族という存在自体が『おとぎ話に出る架空の生物』という認識にまで落ちており、妖精の森が何処に位置するかは不明なのだ。

そんな手がかりがゼロに近しい妖精族を探して会いたいというのだからまぁ、頭のネジは数本取れてるんだろうなと勝手ながらに思ってたりする。もちろん思うだけで、言葉にすれば首が飛ぶのでお口チャックしますけど。

「そろそろ日が暮れるわね。」

「じゃあ今日はここで野宿!?」

「いえ、もう少し進んだところにしましょう。ここは見晴らしが良すぎる。」

「四方八方から狙われる率を下げるためか」

「ちょっと頑張るだけで安全性が上がるなら安いもんでしょ?」

「そりゃね?」

「てことだからもう少し進むよ」

「……ねぇ?」

「ん?どうかしたマリンちゃん?」

「なんか良くない気配がする」

「良くない気配?」

「うん。なんかね、伝え方がわかんないけど、こう…ベタっとしたような……。」

「この時間帯でそんな感じの気配を放つヤツって……」

「ファスト周辺にそんな魔物はいないから、多分『外』からの魔物か、あるいは………」

「あるいは何!?その続きが気になりすぎるんだが?」

「ま、向かえば分かるわよ。」

「嫌な気配がするけど、ルナベルおねーちゃんが居るから安心!」

「そう?俺はルナベルがいようといまいと関係なしに、確実に面倒事に巻き込まれる予感しかしないけどね?」

「ハルアットに向かう時点でそれは諦めなさいな」

「えぇ……。」

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