「ハクリン……?!」
リンシィーが口を開いた。
驚きから、空いた口が塞がっていない。
「不可思議な現象が一度に起こりすぎているから、もしかしたらって思って。もちろんまだ、確信はない。」
真剣な顔で話している。
ロンレイも、決して出鱈目を並べているだけではないようだ。
「なら、鹿もこの耳飾りもハクリンの仕業ってこのになるのか?」
自分に付けた耳飾りを撫でながら聞いた。
「もし本当にハクリンがやったとしても、
鹿もがハクリンの物だとは限らない。 」
リンデェンはてっきり、ロンレイはそうだ と言うと思っていたまでに、驚いた。
まさか、否定するとは思わなかった。
「そうなのか?私は詳しくないから分からないけど、単純に考えたら、ハクリンの使いか何かかと思うんだ。」
自分の考えをロンレイにぶつけてみた。
はっきり言うのは、少し物怖じたが、それでも
最近は仲も深まり、そうこう言えるようひなっていた。
ただ、ロンレイはキッパリ 違う と言った。
「単純に考えたらそうだ。でも、ハクリンは
南の死鬼。その花は、南のような暑い地域には
絶対に咲かない。」
 ̄やはり、知識料理が違う……
ロンレイに関心していると、リンシィーがロンレイに聞く。
「南の死鬼だからと言っても、違う地域からの花を摘むことくらい出来ませんか?
ましてや四恐死鬼なんですから。」
口調からして、やはりどこかロンレイへの当たりが強いような気がした。
それを聞くも、ロンレイはその考えも否定する
「四恐死鬼は、それぞれ東西南北に別れている。その4境を無闇に越えることは、戦争をふっかけているも同然。もし、そんなことをしていたら、今どこかの方位地域一帯は滅んでるだろうね。」
そう説明すると、リンシィーは黙ってしまった。
少し無言の冷たい空気が流れ、リンデェンが思わず口を開く。
「なら、鹿の件については謎のままか。にしても、ハクリンは、こんな私たちに構うほどの暇人なのかな……。 」
場を和ませるつもりで、冗談を言ってみる。
も、誰もピクリともせずなおさらに気まづくなってしまった。
するとリンシィーがロンレイに向かって言う。
「貴方は四恐死鬼について詳しいですね。
と言うよりも、全てにおいて知識が優れていますよね。どうしてそんなに知っているんでしょう?大変尊敬していますが。」
その言い方は、なにかを疑っているような、
気分の良い話し方では決してなかった。
ただ、そんな聞かれ方をしても、ロンレイは
静かに頷き、普段通りに話す。
「そうかな?お兄さん。」
まさか自分に話が飛んでくるとは。
思わず
「嗚呼……君は凄く知識があると思うよ。」
と答える。
それを聞くとロンレイは、ありがとう と否定せずに受け止めた。
なんと言うか……極端な子だ。
実の所、リンデェンもどうして沢山のことを知っているのか気になっていた。
まだ若いのに、相当勉強したのだろうか?
とりあえず、この場の空気を変えようと話を別のことに逸らした。
「私のせいで、お昼を遅らせちゃったかな。
リンシィー、何か手伝うよ。」
そういって立ち上がると、リンシィーも台所へと向かった。
ただ、珍しくロンレイは座ってリンデェンを見つめてなにかを考えているようだ。
不思議に思ったが、気まづいのはもうお腹いっぱいで、話しかけるのはやめて置いた。