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〖アイビー〗
# 2
〔 成亜視点 〕
朝は、いつも通り。
カーテンの隙間から、淡い光が差し込んでくる。
目を覚ました瞬間、無意識に手がスマホに伸びる。
青空くんからの通知は、まだない。
まぁ、昨日は遅かったもんな……仕方ない。
…でも、なんで昨日は、奏ばっか見とったんやろ。
嫉妬と悔しさで胸が痛む。
…いや、ただの独占欲かもしれん。
でも、それだけじゃ片付けられへんほど
そらくんのこと、成亜は考えとる。
成亜のこと、全然気にせえへんかった。
勝手に恋して、勝手に傷つく自分にも、ちょっと腹が立つ。
…あぁ、成亜、悔しいんや。
こんな気持ち、誰にも見せられへんのに。
胸の奥がチクリと痛む。
手のひらは、知らん間にぎゅっと握りしめてる。
キッチンに向かいながら、テレビをつける。
無音やと落ち着かへんから。
でも、目はテレビじゃなく、自然とスマホ画面に吸い寄せられる。
指先も知らん間に画面の上を行ったり来たりして、心臓がどくどく打つ。
いつもの画面。
青空くんの部屋。
録画しておいた、昨夜の映像。
小さな声が、画面の中から零れる。
『ぁ〜…⸝⸝』
『ぅ〜飲みすぎたぁ⸝⸝』
誰にも聞かせへん、奏にも隠してる声。
成亜だけが知ってる。
……ずるい。
コーヒーが沸く音がして、ふっと画面から目を離す。
香ばしい匂いが鼻をくすぐる。
……今日は、砂糖多めにしよ。
甘い方が、気分えぇやろ?
青空くんは甘いのしか飲めへんし。
もう一度、画面に目を戻す。
寝返りも打たず、まだ夢の中の彼。
あぁ…このまま、時間が止まってほしい。
胸の奥が早鐘みたいに打つ。
指先が震える。
…チャット送ろうか…いや、まだ早いかも。
でも、起きたらすぐに成亜の顔が見たいやろ?
そらくん、絶対喜ぶに決まってる。
震える指で、チャット欄を開く。
迷いながらも、画面をタップする。
「二日酔い大丈夫か〜?」
「スポドリ、家に沢山あるから」
「そらくんが起きたら家行くな」
スマホを握る手に力が入り、胸の奥がぎゅっとなる。
スポドリなんて、家にあるわけないのに。
コンビニで買って行こう。
……勝手に入っても、怒らへんやろな。
…こんなに青空くんを想っとるんやから、絶対答えてくれるはずや。
息を深く吸って、吐く。
軽く伸びをして、コートを羽織る。
今日も、青空くんのために動く。
…いつも通りの、朝や。
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こげ丸