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推しの隣で、裸のまま。

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推しの隣で、裸のまま。

9 - 第9話 「“前にもここにいた気がする”場所で、記憶の鍵が揺れる」

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2025年08月09日

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翌日。待ち合わせの公園で誠也くんと再会した瞬間、胸がじんわり温かくなった。

まるで何日も会ってなかったような、恋しさすらある。

『今日はちょっと行きたいとこあってん。ついてきてくれる?』

「もちろん。」


誠也に手を引かれ、街を歩く。

人の流れ、店のざわめき、交差点の信号音。

全部が“今”のはずなのに、不意に胸の奥がざわついた。

やがてたどり着いたのは、少し古びた展望台。

丘の上にあって、街が一望できる。

「あれ……ここ……」

私の口から、自然と言葉が漏れる。

『来たことある気ぃする?』

「うん。分からないけど、すごく懐かしい……。ここで、誰かと並んで夜景を見た気がするの。笑ってて、でも……少し泣いてた。」

自分でも意味が分からない。

でも胸の奥が、確かにそうだと言っていた。


誠也くんも黙って景色を見つめていた。

しばらくして、ぽつりとこぼす。

『俺もな……この場所、来たことある。夢で、何回も見たことあんねん。暗い夜で、雨降ってて、誰かの手ぇ握ってて……でも、その顔は思い出されへん。』

ふたり、黙って風に吹かれた。


ほんの一瞬だけ、時間がゆがんだような感覚。


今が“初めて”じゃないなら、いつ私たちはここに来たんだろう。

『記憶、ホンマはどこかに埋まってるんかもしれへんな』

誠也くんの声が、風に乗ってやさしく響いた。

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