テラーノベル
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あの後私は司波さんに支えられたまま、《ホークアイズ》の事務所に向かいました。
「ソファに座っててください。今冷やすものを持ってきますから」
枯柳さんが、優しい声で私に言う。
「ありがとうございます」
私は礼を言い、案内されたソファーに腰を下ろす。
「………ッッ」
私の足は、事務所に向かっている間も熱をもって大きく腫れ始めていた。
あのときは、ひったくられたことに必死で足を捻ったことには気づいていなかったが、座ったせいか気が緩み、ジンジンと痛くなってきている。
「大丈夫か、足?」
そう言って物怪さんが心配そうに話しかけてくる。
…みなさん、優しすぎますよ。
私は彼らが私を忘れてもなお、私に優しくしてくれることに少し目が潤んでしまったのを隠しつつ、物怪さんの質問に答える。
「ええ、見た目ほど痛くないので」
「ならいいけどさー、お前も災難だったな。ひったくりにあった挙句、足も捻っちまって」
「…そうですね。運が悪いとしかいえないですが」
…本当に運が悪い。せっかく廃墟を見ようと足を運んできたのに。
「取られたもののことは気にすんなよー。俺らが絶対犯人捕まえて取り返してやるから!」
「…ふふ。ありがとうございます」
…物怪さんは、どことなくあの『超絶お人好しバカ』に似ている。
物怪さんの明るさが、私には、勿体無いくらいに眩しい。
それでも、彼の優しくて力強い声は、私の沈んだ心を確かに救ってくれた。
そうこう話していると、枯柳さんがタオルを巻いた保冷剤を持ってきてくれた。
「どうぞ。とりあえず冷やしましょう」
「ありがとうございます」
私は礼を言い、枯柳さんから受け取った保冷剤を足に押し当てる。
ー冷たいものが、私の足の熱を冷ましていくー
「………フー」
私は聞こえないようにため息をする。
…今日は、色々あって疲れましたね。
少しまどろんでしまっていると、前に置かれたソファーに座った司波さんが話しかけてきた。
あんこ 🌠🤍💜@腐女子
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百合愛
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#ナイトアウル多め
#オリハウス
炭酸@サイダー🌠💙🎧️
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「…では休んでいるとこ悪いが、ひったくり犯について、話を聞かせてもらいたい」
「…わかりました」
「まず、俺らの現状について伝える。俺たちは今、斜目町で発生してる連続ひったくり事件について調査している。
今の所発生件数は未遂も含めて4件、さっきの神柴ので5件目だ。
俺たちがひったくりを追いかけていた経緯は、町で調査中に、偶然ひったくりに遭っている人を見かけたからだ。
幸いその人に怪我はなく、物も取られなかったが、犯人が逃走したため、俺たちが追っていた。
そこで神柴がひったくられてる現場に遭遇したわけだ。
俺は初めて犯人を見たが、顔はヘルメットをしてる上、全身は黒で覆われていた。それに、ひったくりが発生した現場に行っても犯人の痕跡はおろか、髪の毛1本すら見つけられなかった」
説明を聞いていると、物怪さんが補足した。
「ちなみにこいつ、《千里眼》って呼ばれる異能を持ってて、常人には見れない犯人の痕跡とか、指紋の跡とかを見るんだ」
ー既知の事実である。だが表向きは彼らと初対面なため、知らないふりをする。
「…そうなんですか。すごいですね」
すると司波さんが、少し驚いたように私を見つめる。
「…意外だな」
「何がですか?」
まさか、なにか勘付かれたでしょうか?決定的なボロは出していないはずですが…。
「お前の反応が、だ。大抵の人は、この話を聞いたら多くは疑うもんだ。『そんな人がいるんですか?信じられない』ってな」
「…ああ、なるほど」
「…ひょっとしてお前の知り合いにはそう言う人がいるのか?」
ーあの人の顔が、脳裏をよぎる。
そう人が“いる”ではなく、“いた”と言う表現になってしまうことに、少しの悲しさを覚える。
…ダメだな、忘れよう。
私の思い出はあの人とは違い、灰色だからー。
私は努めて平静を装いながら答える。
「…いえ、いませんよ。ただ、ネストの探偵さんは、異能を持つ方が多いと聞いたことがありましたから」
司波さんは信じていないが、とりあえず納得したような、複雑な表情をしていた。
「…そうか」
「すまない。関係ない話をしたな」
「いえ、構いません」
「で、最新の被害者である神柴に問うが、犯人の顔や手がかりになる特徴とかは見たか?」
「…ええ。顔は見ました」
「…本当か!なら特徴を教えて欲しいんだが」
そう言いながら司波さんは枯柳さんに目配せをする。
枯柳さんは無言で頷き、端末を表示させながら、メモを取る準備をする。 物怪さんも同様だ。
…さすが、お互いに連携が取れている。
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ーーーうちのハウスは、『バランスがいい』
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あのときのあの人の声。表情。
…全てを、鮮明に思い出せる。
忘れたい。心ではそう思っているのに、忘れられない。
忘れたくない。と言うのも、私の本心だから。
…少し寂しい気持ちになり、視線を下げる。
「…神柴?」
「…ああ、すみません。犯人の特徴、でしたよね」
余計な感情は振り払い、今は目の前にある事件の解決のために微力を尽くさなければ。
ー私の、大切なものを取り返すためにもー
そう言って私は、あのときの記憶を掘り起こす。
コメント
1件
うわあ、今回もじんわりくる回でした…。足を捻ってひったくられるところから、事務所で優しくしてもらう流れ、すごく自然で温かかったです。特に物怪さんの明るさが「超絶お人好しバカ」に似てるって思うシーン、あの一瞬で主人公の内面の寂しさとか過去がチラッと見える感じが好きです。司波さんに異能のことを聞かれて「知り合いにはそういう人がいるんですか?」って聞かれたときの、脳裏にあの人がよぎる描写…ああ、もう、切なすぎる。忘れたいけど忘れたくない、って本音が響きました。続き、めっちゃ気になります!