「俺達、一緒に居ない方がいい。」 クリスマスが段々と近づいて、外の空気が澄んできた12月中旬。キヨとのデートの日も近づいてきて、毎日幸せでいっぱいだった。
…あの時までは。
俺の名前はフジ。普段はゲーム実況をしていて、個人チャンネルとは別に「最終兵器俺達」略して「最俺」として活動している。
12月のはじめ、そのメンバーである「キヨ」と付き合うことになり、俺の毎日は幸せに溢れていた。
数日前のこと。俺とキヨは、初めてのデートに行く約束をした。しかも……その日がクリスマスだなんて…!!なんて祝福的な日なんだろう。と俺は毎日のように心躍らせていた。
クリスマスかぁ。クリスマスのデートって言ったらやっぱりイルミネーションかな?遊園地に、水族館なんてのもいいよね。でも、どこに行くにしてもキヨと行けるなら、楽しいだろうな。なんて呑気なことを考えて、「えへへ」と、自分でも気持ち悪いと思うような笑みを浮かべていた。そんな俺を見るなり「最俺」こと、「最終兵器俺達」に属するメンバーのヒラが「フジー?フジさぁーん??聞こえてる〜?ねぇねぇ〜そんなにこにこしてどうしたんだよぉ〜???」と、俺をおちょくるようにそう言ってきた。
完全に頭お花畑モードに入っていた俺は、すっかりヒラがこの空間にいることを忘れていた。今は、一緒に実況を撮っていたんだっけ……。ヒラには申し訳ないことをしたな、と思った俺は咄嗟に「ごめんヒラ!ちょっとした考え事してただけ!」と言った。すると俺の心の内が見えているかのように「まぁ、キヨのことなんだろうな〜っていうのは想像つくけどね。」と言った。続けて「好きな人のこと考えちゃうのわかるけど、実況中くらいはこっちに集中してよ〜?視聴者さんにバレちゃうしね。」そう俺に伝えてきた。
そうだよなぁ、実況中にキヨのことを考えて、本業に集中出来ないのは困るよな。という考えと同時に、ヒラの言った「視聴者さんにバレる」という言葉がどこか心に引っかかった。
……俺とキヨのこと、みんな(視聴者さん)は知らないんだよなぁ…。別に、めちゃくちゃ必死に隠しているわけでは無いけど、多様性を認めてもらえるかもわかんないし…。あんまり大っぴらに発表するべきことでは無いんだろうな 。と俺自身は思っているが、この事をいつか伝えるべきなのか、伝えないべきなのかは、後にしっかりキヨと相談しなければいけないな。と思った。
「よし、キヨのことは一旦忘れて実況に集中!!」気持ちを入れ替えた俺はヒラとの実況を精一杯頑張った。
実況すること2時間半。今日の実況は、割と長めの撮影だった。ようやくヒラとの実況を撮り終えた俺は、「疲れたぁ……」と椅子に思いっきり持たれかかり、小言を漏らしていると、頬になにか冷たい感触が降ってくる。咄嗟の事だったから、「ひゃ、っ」と素っ頓狂な声を上げてしまった。すると、上から「フジ笑笑 またビビってやんの〜 笑」と聞き覚えのある声が聞こえてくる。この声は……俺の恋人、キヨの声だ。声の主を特定するなり俺は「キヨ!!!!!冷たいから!!今冬!!冬おーけー!?だから冷えた飲み物くっつけて来るのやめて!!」と勢いよく伝えた。するとキヨは「なんだよ冬おーけー!?って笑笑 お前は外国人かっ!!笑」といつも通りのおふざけテンションでそう言ってきた。
こんなこと、前にもあったよな?本当に、いつもこんな調子なんだからぁ。
「そんなことは置いといて……。てかキヨ来てたんだ?」と何事も無かったかのようにキヨに問いかけると「まぁな。」と少し素っ気ない返事が返ってきた。そのやり取りを密かに見ていたヒラが俺達を見てニヤニヤしていた。それに気づいたキヨが「なんだよラーヒー!なんかニヤニヤしてんじゃねぇか!!笑」と言うと、ヒラは「こほん。」と咳払いするような素振りを見せるなり「そんなこと言って〜、俺とフジが最俺ハウスに2人きりだったのが心配だったんじゃないの〜?」と言い放った。それを聞くなりキヨの顔が少しづつ赤くなっていく。ヒラの言葉を聞いて、さすがにそんなことないでしょ?実況とるだけだしね。と俺は思っていたが、キヨが珍しく否定しないので、どうやら事実のようだ。
キヨ、俺のこと心配で会いに来てくれたんだ……。
その事実だけで、嬉しさがどんどん込み上げてきた。
本当に、キヨは素直じゃないんだから〜。なんて、思ったけど、こんなことを言ったらさすがのキヨも恥ずかしさでどうにかなっちゃうよね。と思い、静かに心に留めておくことにした。その代わりに「キヨ、ありがとね。」と素直に心配して来てくれたキヨに向けて感謝を伝えた。
するとキヨは「おぅ」と小さな声で言った。心做しか、さっきより顔が赤くなってる……気がするけど、多分気のせいだよね。と思った俺は、今日の分の個人チャンネルの方の撮影がまだ終わっていなかったので、「じゃ!2人とも!俺今日の分の実況まだ撮り終わってないから帰るわ!」と言ってこの場を後にした。
せっかくキヨが来てくれたのに、すぐ帰らなきゃって……、ぁぁ、なんてタイミングが悪いんだろう。キヨが来るって知っていれば、実況だって昨日録り溜めといたのに!なんてことを1人で考えている間に、俺は家の方面行きの電車のホームまでたどり着いていた。
次の電車は3分後かぁ。結構いいタイミングで来れたから、「すぐ来る!ラッキー!」と心の中で小さくガッツポーズをした。
待つ時間は3分とは言え、現在人は少しの空き時間でも有効活用したがるものだ。俺もそれは例外ではなく、ポケットの中からスマートフォンを取り出した。
スマホを開くなり、通知が俺の目に入ってきた。それはどうやらメールの通知らしい。仕事のメールは、専用のパソコンに来るよう設定してあるので、一体誰だろう?と思い俺はその通知をポチっと押した。
すると、そこには信じ難い内容が書いてあった。
12月×日 22:25
宛先 ×××@××××f
件名 宣戦布告
お前がキヨと付き合っているの知ってるからキヨと幸せになるなんて許さないキヨの隣は私なの今でもずっとそうでこの先だってずっとそう
私のキヨを奪わないで今すぐ別れろ
今すぐ別れないなら
___からね。
このメッセージに返信する⤴
このメッセージを開くなり、急に寒気を感じて、指先まで一気に冷たくなった。焦りすぎて、瞬時に内容を理解することは出来なかったが、本能的にこれが「やばいもの」であることは理解出来た。
誰が、どんな意図でこんなものを送ってきたんだ……。と心当たりがある人物が居ないか、頭の中でぐるぐると考えを巡らす。すると、1人の人物が俺の脳内に浮上した。
「キヨの元カノ」
この子しかいない……よね。キヨの隣って書いてあるし、キヨの元カノは相当なメンヘラだったとキヨから聞いている。最俺メンバー以外の視聴者さん達に、もしキヨガチ恋の人がいたとしても、そもそも視聴者さんは俺たちの関係を知らない。であればやっぱり、キヨの元カノで間違いないだろう。
さて、これはどうしたものかねぇ……。これ、 普通に脅迫……だから、警察に行く、?でもそんなことをしたら絶対どこかから情報が漏れてニュースになって、俺とキヨの関係が世間にバレてしまう。そんな形で、世間にバレるのだけは御免だな。
数分間考えを巡らせていると、「まずはキヨに相談する。」という判断にたどりついた。ほぼほぼ殺害予告をされてしまった今、俺はキヨに早く、早く伝えなきゃ。と思い、慌てて最俺ハウスに戻ろうとホームの階段を駆け下りたその時だった。すれ違いざまに、誰かが俺に向かって「君がフジくんだよねぇ。早く、……早く消えてくれるかなぁ 。 。?」と囁き、それと同時に俺の下腹部に、鋭い衝撃が走る。
なに、が、起きたんだ、?、
俺は、階段を、下ってて、
はや、く、キヨに、つた、えた、く、て……
段々と意識が遠のいていく。
俺の身に何があったんだろう。、
今は、何も、わからないや、
状況を把握しようとしている間に俺は、大量出血によって意識を失ってしまった。
目が覚めると、そこは白い壁に囲まれた一室。
ここは、病院…?
天井に着いたライトの光が異常に眩しく感じて、無意識に「……まぶし、」と少し声を漏らした。すると、隣にいた看護師らしき人が慌てた様子で、「先生!!起きました!!」と医者らしき人に向かって言った。
するとすぐに医者らしき人が出てきて、心底安心したような声で「お目覚めになられたのですね。あなた、だいぶ深めに下腹部を刺されて、出血性ショックで亡くなるとこだったんですよ。」と言った。それを聞くなり、俺は状況をやっと理解することができた。
俺は、あの時、すれ違いざまに誰かに凶器で刺されてしまったんだ。……まさか、生きている中で、自分が誰かに刺される日が来るなんて思ってもみなかったので、驚きと恐怖から、さぁーと血の気が引いていく。
医者から、詳しい内容や何があったかなどを聞かれ、俺は曖昧な記憶を思い出しながらしっかりと医者の話に応答した。その中で、「誰にやられたのか、心当たりありますか?もしあるなら、警察に行って逮捕してもらうべきだと思いますよ。」と言われた時、俺の頭には1人の思い当たる人物がいたが、それをこの人に言って、通報されて、ニュースになるのは避けたかった。何より、この事実を知って、1番「自分のせいだ」って苦しむことになるのはキヨだって、俺はわかっていたから「誰でしょうねぇ、わからないです。心当たりが見つかれば、その時は自分で警察へ通報したいと思っています。」と医者に伝えた。
俺はあの日、駅から救急車に運ばれ、血の量が足りなくなり輸血。そして傷口を針で縫う手術をされたそうだ。なのでその後の3日間程度は病院で様子を見てもらっていたが、やっと今日俺は退院した。
少しづつよくなってるものの、この真実をキヨには気づかれないようにしなければいけない。そのためにはどうしたらいいんだろう……なんて考えていると、突然LINEの通知がピコンと鳴った。その通知はキヨからのものだった。内容は、「最近、全然会ってねぇじゃん。今日の午後にでも会おうぜ。」というものだった。
最俺ハウスで会って以来、4日間くらい会ってないもんね。俺も会いたい。……けど、今会ってしまっていいのだろうか。
「刺された」なんて事実がある以上、キヨはきっと元カノを止められなかった自分を責めるのだろう。だからこそ、メッセージのこと、そして怪我のことがバレないかな……という心配もあるが、俺がキヨと一緒にいることによって、キヨにまで被害が行くのではないか。と思うとキヨと会うことが怖かった。
どうしたらいいんだろう、わからない。考えれば考えるほどわからなくなる。
そんなふうに頭の中をぐるぐるしているうちに、あっという間にあたりは暗くなっていった。
結局、事実上キヨからのLINEを既読無視する形になってしまったことに、罪悪感を覚えながらも、どうしていいかわからず、俺は結局返信すら出来ず、眠りに落ちた。
「……お前がキヨと別れないから悪いんだ私のキヨを取ったから悪いんだ、全部全部、お前のせいだ!!!!!!!!」
誰かが発狂しながら俺の元へ近づく。
そして、鋭い凶器で俺を___。
こんなことになってしまって、キヨはきっと悲しみ、絶望しているだろうな 。
だけど、息絶えた俺の横でキヨは泣いて…
いない……、?
「キヨ、こんな子放っておいてあっちいこ?」
女の子がキヨに近づく。
…あぁあ、キヨ、行かないで。行かないでお願いだから。俺を、置いていかないで、。
キ、ヨ、キヨは、俺の恋人だ、絶対に俺を置いていったりしない。そう、信じて俺はキヨの顔をじっと見つめた。
なのに、どうして…、
「…。いこう。」
ぼんやりと残った意識で最後に見た景色は、どんどん俺から遠ざかっていく、キヨと、誰かの背中だった。
「、っは、!!!、」
俺はどうやら悪夢を見ていたようで、額にはだらだらと冷や汗が流れていた。
さっきのは夢だという事実を瞬時に理解した時、夢でよかった……。という思いと同時に、本当に現実で起こってしまったらどうしようという、とてつもない恐怖に襲われた。
怖 い。
もし、俺達が一緒にいることによって、あんな未来が起こることになるならば、__________いっそ俺は、キヨと一緒にいない方がいいのだろうか。
俺は殺され、目の前で大切な人を奪われるなんてことになるのならば。
そんなの嫌だ、ずっとずっと大好きで、大切で、いつまでも一緒に居たい人なのに。
俺だけを見てて欲しいのに、
……キヨが、あの子と結ばれるなんて、嫌だ…
「ど、うしたら、いい、んだよ、ぉ、」
気づいた時には、泣いていた。
頭の中がぐちゃぐちゃで、俺がどんな行動を起こそうが、あの子の手によって、俺達の仲はギザギザに引き裂かれてしまう気がした。
今起こった「事実」だけでもやっぱりちゃんとキヨに伝えるべきかとも思ったが、夢の中のキヨとは違い、ちゃんと「現実」にいるキヨは優しいから、自分を責め、俺以上に責任も、苦しみも、絶望も感じるだろう。
__________でも、でももし、ここ最近であったことを話せて、一緒に立ち向かうという選択ができたなら。今ここに、キヨがいて、「大丈夫だよ」って言ってくれたなら、どれだけ安心できただろう。
会いたい、会いたい。そばにいて欲しいよ、そして
___やっぱり、ちゃんと伝えなきゃ、
そう思った俺は、キヨに「今会いたい」とLINEを送ってしまった。
結局、どんな結末になるか、不安で不安で仕方ないのに、「大切な人に会いたい」と思ってしまうなんて。本当に俺は我儘なやつだなと思った。でも、今は真夜中だからキヨも寝ているだろうし、朝までに返事が来なかったら、送信を取り消せばいい、よね。
そんなことを考えてるほんの30秒ほどたったその時だった。
ピコン
キヨからの通知だ。
俺は急いでLINEを確認する。
すると「フジから返信ねぇから、今ちょうど向かってたとこ。もうすぐフジん家つくから暖かくして待ってて。」という、暖かい言葉が返ってきていた。
……こんなにも寒いのに、…こんなにも夜遅いのに。俺のために、もう既にこっちに来てくれていた、なんて……。キヨの優しさを改めて噛み締め、俺はキヨとのトーク画面が開かれたままのスマホをぎゅっとした。
待つこと4分。「ピンポーン」とインターホンが鳴り、急いで鍵を開けに行くとそこにいたのは紛れもなく、キヨだった。
キヨを見るなり、色々な感情が溢れ出し「キヨ、キヨぉ、」と俺は情けない涙まじりの声しか出なくなってしまった。そんな中で、大切な人が「俺の隣に居ること」を強く確かめるようにキヨの服を両手でぎゅっと掴んだ。
大好きな人の香りがして、大好きな人の体温を感じて、俺は今この上ない「安心感」に包まれている。そんな俺を見るなり、「フジ、きっとなんかあったんだよな。……とりあえずいっぱい泣け!!なんかあった時は泣きたいだけ泣け!!俺がそばに居るから。」と言ってくれた。
そんな優しい言葉をかけてくるもんだから、余計涙が止めどなく溢れてくる。
泣いてる顔なんて、あんまり見られたくないけど、今はそんな変なプライドは放っておいて、キヨの言葉に甘えることにした。
どれほどの時間が経っただろう。キヨの胸で泣きはじめてから、結構な時間が経った気がする。そんな中、ずっと俺が落ち着くように背中をさすってくれていたキヨには本当に感謝だなぁ、と思う。
すっかり泣ききった俺は、「キヨ、俺話したいことがあるんだ。」と真剣な声でそう伝えた。すると、俺の真剣さを感じ取ったキヨも、真剣な顔で俺をまっすぐと見つめ「わかった。」と言った。
俺は、ここ最近であったことを全て話した。
脅迫のことも、刺されてしまったことも、俺が返信しなかった理由も、俺が恐れていることも。
全部全部話した。俺が話し終わったのを確認するなりキヨはさっきまで真剣で、閉ざしていた口を開き、「ごめん。本当に、ごめん。俺全く気づけなかった。守れなれなかった。フジを傷つけた。ごめん、俺本当最悪だわ、ごめん。」と今にも泣きそうな声でそう伝えてきた。それを聞くなりすかさず「キヨが悪かったことはひとつもないよ、刺したのだって、相手が悪いわけで、気づけなかったのは俺が隠してたんだからね、今、俺が会いたいって言って、こんな時間に会いに来てくれただけで俺、めちゃくちゃ嬉しい。」そうキヨに伝えると、俺は弱々しい笑みを浮かべて見せた。
キヨは何も悪くない。
キヨ自身を責めないで欲しかった。
なのに、
「フジは優しいから、そうやって俺を責めないでくれるけど、俺は、俺自身のことを許せない。……この先も、フジの身に何かあったら、もしも、アイツの手によってフジがこの世からいなくなってしまったら、俺は耐えられない。フジには、幸せでいて欲しいんだ。
________だから、フジ、俺達、一緒に居ない方がいい。」
キヨから放たれた衝撃的な言葉に俺の頭の中は真っ白になった。
「そ、れって、つまり、わか、れ、るってこと、?」驚きのあまり、カスカスな声でキヨにそう問いかけると、「あぁ、」と素っ気ない返事が帰ってきた。
あまりに、自分が想像していた最悪な展開とも、最高の展開とも違う結末が訪れようとしている。
正直、俺は「別れたくない」という気持ちでいっぱいだった。だけど、この言葉がキヨの優しさであり、真っ直ぐに俺のためを考えて出した答えなんだということが、俺には痛いほど伝わっているし、俺も内心お互いの安全を考えると「一緒に居ない方がいい」というのは薄々感じていた。なのに、それをわかっている上で、「別れたくない」なんて言うのは、俺の我儘になってしまうのかな。…
ならば、俺はキヨの考えに賛成するべきなんだろう。
大丈夫、ただの友達に戻るだけ。別に、永遠にお別れって訳じゃないんだ。
そう、思ってるのに________
やっぱり、嫌だ、
嫌だという気持ちが邪魔をして、別れることに対しての了承の言葉が出てこない。
そして、本来言いたかったこととは反対に「嫌だ、」なんて、子供みたいな返答をしてしまった。
嫌だと伝えてしまった途端、言わないように心に留めていた本音が次々と溢れだしてくる。
「俺、キヨと一緒にいられなくなるのが1番苦しい。キヨが俺の幸せを思ってこう言ってくれたんだっていうのも全部、全部わかってる。
だけどさぁ、!!俺の幸せはキヨと別れて、身の危険を取り払って他の誰かと幸せになることなんかじゃないんだよ、!!!
俺は、俺自信の幸せのためにも、キヨとずっと一緒にいたいんだ。
__________俺は、キヨと一緒にいられるなら、死んだっていい。キヨが感じる苦しさは一緒に背負いたいし、別れることがキヨの本当の思いじゃないって、俺にはわかる。
だから、キヨ。
俺と、この先も、ずっとずっと、一緒にいようよ。」
俺はキヨに向けて、本当の気持ちを伝えた。
こんなに本音をぶつけたのはあの時以来だなぁ、なんて、言いきった後に俺とキヨが付き合ったあの日のことをふと思い出した。
あの時、キヨが俺の傍にいることを選んでくれたから、俺は今ここにいる。
次は、俺がキヨといることを選びたい。この関係を、キヨの、自分自身を責めてボロボロになった心を、繋ぎ止めたい。
俺の言葉を聞くなりキヨは止まらない涙で言葉が上手く出せない様子だった。ただひたすらに、俺のことを強く、強く、抱きしてめていた。それに答えるように俺も強く、強く抱き返す。そうすると、キヨの気持ちが痛いほど伝わってきた。その気持ちに答えるように、「俺のために、ありがとうね。」とキヨに伝えた。
少しして、涙が治まってきたキヨは「フジ、ありがとう。」とぼそっと言った。
「ん、?なに?何か言った?」と、俺はからかったつもりで言った訳ではなく、本当に小さな声で聞こえなくて、そう問い返すとキヨは「……っざけん、なっ!!ちゃんと聞いとけよ、っ!笑」と、いつものテンションで、涙ながらにくしゃっと笑った。
いつものキヨだ……。俺たち、この先も一緒にいられるんだね。
先程までの冷たい空気感はなくなり、暖かくて、居心地のよい「いつもの空気感」に戻り、とてつもない安堵感に包まれる。
キヨも同じ気持ちなのかなぁ。なんて、そんなことを考えていると、キヨがはっとした様子で、
「そういえば、フジ自身の幸せの為にも一緒にいたいって言ってたけど、フジの幸せってなんなんだ、?」と問いかけてきた。
俺の幸せかぁ。なんとなくわかってそうな様子だから、もしかしたら俺をからかってるのかな?なんて思った。
まぁでも、そんなに知りたいなら教えてあげちゃおっかなぁ。
「俺の幸せはね__________
キヨと一緒にいられこと!」
俺にとっての幸せは、キヨを好きになったあの日からずっと変わっていないんだよ。
色々な感情や思い出をこれから先も分かちあって生きたいんだ。
それは、暖かくて、幸せなことだけでなく、冷たくて、残酷で、辛いことも。
自分自身が、害悪のせいでボロボロにされても後悔はない。俺が、一緒にいることを選んだんだ。
他の誰でもなく、世界で1番大切な君と__________
コメント
2件
グゥ……いつまでもお幸せに…な……。。。(lll __ __)バタッ (感動して泣きすぎで死亡😇)