探偵社に入る前、私は妖怪どもの組織にいた
そこには、私の他に人間がもう一人居た
名前は舞香
齢は分からない
多分近かったと思う
私たちは同じ境遇同士直ぐに仲良くなった
でも___
舞香は、百鬼戦争中に死んだ
前線に出ていて、私が結界を張り終わったころに報が入った
前線が全滅、と
私は急いで前線に向かった
駆けつけた時にはもう__
舞香に息は無かった
『舞香!…舞香!』
私が必死に呼びかけても舞香は起きなかった
「何をしている!早く戦え!そんな奴、如何でもいいだろ!」
『そんな奴…?如何でも…いい?』
その男の言葉が引き金になったんだろう
私は迫ってくる奴らを殺しながら、舞香の死体をもって走った
「ッ!上官!下獣が一人謀反を起こしました!無差別に殺しているようで…ヒッ!」
『舞香を如何でもいいなんて、余程死にたいようね。』
後に、この戦争は、百鬼戦争という名と共に、
と呼ばれるようになったらしい
その後、私は何処をどう彷徨ったか分からないが、
社長に拾われ恩返しも兼ねて探偵社に入社した
勿論、舞香の葬儀もした
その数か月後、私の兄である太宰が入社した
それから二年後、敦君が入社し、今に至ると云う訳だ
「……..何か、済みません。無神経にこんな事…。」
『良いよ、良いよ。気にしないで。それに、今はもう大丈夫だから。』
「紗雪…寂しくないの?」
『大丈夫だよ。ほら、これ。』
「?これは….」
『これ、舞香の遺品なの。何時もつけてたペンダント。』
「素敵な方だったんですね…って太宰さんは?」
『ん?気づかなかった?彼奴、10分位前に帰ったよ?』
「えぇ!?ぼ、僕達も帰ろうか。鏡花ちゃん。」
『気を付けなよ。また、出るかも。』
「ありがとう。」
空は晴れていたが、東の方角から雨雲が来ているようだ
少女は空を見上げた
『…長期戦になりそうだ。』
少女の呟きは 誰も居なくなった境内に消えて行った
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!