夜の街は、昼間の喧騒を残しながらも少しずつ静けさを取り戻していた。
ホテルを出た華は、背筋を伸ばして歩き出す。ヒールに慣れない足は痛みを訴えていたが、不思議と気持ちは軽かった。
思い返せば、失敗ばかりの一日だった。
けれど――律の言葉が頭から離れない。
「覚えようとしているのは分かります。その調子で続けてください」
その一言が、胸の奥に小さな灯をともしていた。
(私、明日も頑張れるかもしれない)
街の灯りを見上げながら、華はそっと唇に笑みを浮かべた。
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