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「すみません。私の生徒さんはもういっぱいで、他のインストラクターをご紹介します」
「そんなぁ~。理仁さんが専属でインストラクターしてくれないんですか? だったら辞めようかなぁ」
「あ、直江先生。ちょっと」
「はい、常磐先生」
「もみじさん。こちらインストラクターの直江です。彼は素晴らしい指導者です。良ければ彼の元で頑張ってみて下さい」
「……ま、まあ、いいですけど」
うわ、この人もイケメン!
このスクール、レベル高っ。
ヒロインを奪うサブキャラにできそうだ。
どんな設定がいいかな~。
「一緒に頑張りましょう」
「はあ~い」
「じゃあ、頼んだよ」
「わかりました、常磐先生。もみじさん、まずは受付に案内しますね」
「いきなり名前呼びですかぁ? びっくりです~」
「生徒さんは皆さん名前で呼ばせてもらってるんです。さあ、行きましょう」
私は入会を済ませ、直江先生のクラスに入ってレッスンを受けた。
まあまあかな。
直江先生が爽やかで素敵だから良しとしよう。
この肉体美、どう表現したら読者に伝わるだろう。こんな男性と絡みあうシーンとか、想像するだけでワクワクする。
一通り、レッスンが終わり、私はロッカーに向かった。
中に入ると、同じクラスのおばさん達がワイワイ騒いでいた。こういうの苦手、さっさと着替えて帰ろ。
「それにしてもいっこうに涼平先生に彼女できないわよね~」
「私達が推せる女の子もいないし、本当に双葉ちゃん、何で急に辞めちゃったのかしらね」
双葉?
今、双葉って言った?
「あの……すみません。双葉さんって誰ですか?」
「ああ、もみじちゃん。もう3年になるかしら。ここに来てた双葉ちゃんっていう子がいてね。涼平先生の目がいつもよりキラキラしてたから、つい私達も応援したくなって、双葉ちゃんに涼平先生と仲良くしてほしいってお願いしたの」
「双葉さんって、苗字は?」
まさか……嘘でしょ?
別人だよね?
「確か、松雪さんだったわね。綺麗な名前だから覚えてたの。でも、1回きりで連絡がないまま辞めちゃって。あんな可愛くて良い子なかなかいないのにね」
「そんなんですか……へえ、松雪ね……」
双葉もこのスイミングスクールに来てたなんて。
理仁さんや涼平先生とも知り合いだったんだね。
「灯り」で出会ったただの知り合いみたいに言ってたけど。しかも、こんなおばさん達にまで気に入られて。
「そうね、松雪 双葉ちゃんだったわね。ほんとにどうしちゃったのかしらね。私、2人が恋人同士になったら、涼平先生を諦めてもいいと思ってたのに」
「いやだ、諦める前に相手にもされてないわよ~」
「あらやだ、そりゃそうね」
ああ、最低。
おばさん達のバカな笑い声、嫌いだわ~。
涼平先生の目がキラキラしてたって?
そんなのただの気のせいでしょ?
でも、何だかすごく腹立たしい。
私は、この嫌なおばさん達から早く逃げ出したくて、急いで着替えを済ませ、さっさとスクールをあとにした。