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嗚呼、あの日終わった日が、夢の中だけであれば良かったのに。
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今、あの人の友達であることに満足はすれど不満なぞあるはずもございません。むしろ現状に感謝するばかりです。不本意とはいえど、私はあの人を裏切り別れたようなもの。直接やりあった訳では無いにせよ、あの人の敵になった私が、今こうして友達であれる、なんて期待をしても叶うとは思ってもいませんでしたから。 それでも、隣にしかいられない今が、どうしようもなくもどかしい。…そう思うのは可笑しいのでしょうか。
えぇ、えぇ、理解はしているのです。相棒といえど、所詮は紙切れで繋がったからそうなっただけの事。紙切れで始まっただけのあの時より、友達である今の方がきっととてもとても近い位置にいる。それでも、あの人の横というただ唯一の、私だけであった私だけの場所がいつか奪われてしまうかもしれない、そしてそれに何も言えない今、ふとした時にとてつもなく過去に恋焦がれるのです。
全てが凍てつくような白い日も、花が咲き誇り緑が蘇る日も、全てが舞い落ち実りと郷愁だけが残った日も、…陽の光が全てを照らし、遠くも近くも全てが揺らいだ燃え盛るような暑いあの日も。 全てが宝物なのです。そして、あの日々をまた過ごしたいと思ってしまう。
わかっています、わかっているからこそずっと苦しんでいるのですから。きっと今、昔に戻ったところで望むようにはならないし、なれないのでしょう。あの人の横にいたい、それは紛れもない本音です。ですがそれは自分の意思以上に、あの人の意思でならなければ何も意味が無い。同情だけでできた居場所など、何よりも居心地が悪いとでしょう。
それでも。 蝉時雨が降リそぞく、あの暑い夏の日に終わってしまった関係がまた続くというのなら。それをずっと夢見るばかりの私にとってそれはきっと、とても幸せな事でしょう。それでも過去の夢には適わないのでしょうけれど。
だって、 ずっと夢を見ているから。どうしようもないほど脳裏に焼き付いた、 相棒と呼ばれた日々の記憶を。あぁ、私がこうなってしまったのはきっとあの人のせい。でも、私のせいでもあったのでしょう。別れたあの日あの時、終わってなお相棒と、それだけ言われたのなら私はきっと振り向いていたのに。もう何も要らなかったのに。
未だ過去を忘れず、未練がましくまた相棒であることを夢見ている。それは私だけの自惚れですか。