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私は帰ってから、色々と考え事をした。
普通に生活していくには美輝ちゃんのお父さんからのお金を使っていくことが最善だろう。
だけど、美輝ちゃんに何かプレゼントしてあげたいし、お金が多ければ多いほど、将来困らないだろう。
そこで私は、お姉さんに相談してみることにした。
その時はもう夜で、美輝ちゃんは寝ていた。そのため、美輝ちゃんを起こさないようにベッドからそっと降り、お姉さんのいる部屋まで少し移動した。
「お姉さん」
私が扉を開けてお姉さんに話しかけると、お姉さんはびくっと肩を弾ませ、ゆっくりとこっちに振り返った。
「きっ、奇縁ちゃん…?どうしたの?」
驚き、戸惑いつつもそう言い、お姉さんは苦笑いを浮かべた。
「私、何か仕事したい」
私がそう言うと、少しの間を空けてお姉さんは言った。
「…いやいや、まだ小学一年生くらいかそれより年下かもしれない女の子が働くって、無理があるでしょ」
戸惑った様子でそう答えるお姉さんに、私は言った。
「美輝ちゃんにプレゼントとか渡したいし、そのためにお金が必要だから働きたいの」
そんなことを言えばお姉さんは頭を捻った。すると、急に何かを思いついたかのように上をみあげ、笑顔になった。そして私に緩く指を指し、言った。
「なら、パパ活とかどう?」
お姉さんは自信げに笑顔を浮かべて私を見ている。
「年齢制限とかないの?」
「まあ、ないでしょ。パパ活なんだし」
私が聞くとお姉さんは適当に緩く答えた。
「…てかパパ活って聞いたことあるけど、何?」
私がそう聞くとお姉さんはスマホを取り出した。まあ、私もリビングにお母さんのスマホがあるけれど。
すると、お姉さんはスマホを見ながら言った。
「あーえっと…肉体関係なしで祝福な年上の男性と食事をしたり、デートをしたりして、お金を貰う活動…語源はパパのような存在を探す活動から説が濃厚だってさ」
「私みたいな年齢の女の子に肉体関係せがんでくる方がやばいでしょ」
私がそう言うとお姉さんはいや、と付け足した。
「すぐに体の関係求めてくるパパの方が多いらしいよ、八十パーセントだって。で、常識あって気遣いできるパパが十九パーセント、紳士的でお金持ちのパパが一パーセントらしい」
そう付け足した内容は吐き気を催す汚らしい大人の性格の割合だった。正直やりたくもなくなる。
だけど、これも美輝ちゃんとの将来のためだと思えばどうってことない。
「お姉さんもうすぐ隣の部屋使えるんでしょ?だったら、隣の部屋使えるようになったらパパ活っていうの初めてみたい。あ、スマホはお母さんのやつあるからそっちでやるよ」
「ん、分かった。おすすめのアプリ載ってるから教えるね」
私が計画をお姉さんに伝えると、お姉さんはすぐに了承してくれて、優しい笑顔になった。
「ていうかお姉さんってお父さんからどうやってお金貰ってるの?」
私が聞くと、お姉さんは少し考えるように上を向き、言葉を整理してから口を開いた。
「えーっとね、電気代とか家のこと諸々は普通にお父さんが払ってくれて、あっ、スマホ代とかもそうだよ。食事代は手紙にお金入れてもらって、そのまま家のポストって感じ」
流石お金持ちという具合に充実した生活をしているっぽい。普通の暮らしも充分にできるだろう。
「お姉さんの家、本当に凄いんだね」
私は真顔で言った。心では本当に感心しているけれど。すると、お姉さんは困ったような笑顔を浮かべ、リビングまで一緒についてきてくれた。
俺と先輩は前行った家に置いてある紙の中から重要そうなものを持ち帰り、先輩の家で一通り見ていた。
その紙の中にある病院の診察結果を見ると、どうやら死体の二人は夫婦らしく、男の方は社交不安症、女の方は鬱病らしい。
しかも、その二人の夫婦の間には子供が居て、その子供の年齢は資料の年から察するに、現在は五歳だろう。
「…あれ?でもおかしくないですか?」
俺は資料から読み取った疑問を先輩に話した。
「子供いるはずなのに、死体すらありませんでしたよ?」
しばらく沈黙が少しばかり続いたが、先輩が口を開いた。
「……誘拐、とか?」
そうすると警察沙汰になるのは確定だ。でも、これは知り合いの警察から頼まれた警察でもない俺たちの仕事だ。もしこれを二人で解決すれば、警察になれる可能性は大いにある。
「なら手がかりを集めましょう。警察沙汰になると、俺たちが頼まれた仕事なのに二人で解決なんてできませんよ」
俺が自分の意見をそのまま先輩に言うと、先輩は真剣な顔で俺を見つめ、口を開いた。
「いや、警察に頼まないと色んな調べ事はできないだろ。警察に頼んでも頼まなくても俺たちだけで簡単に解決できるわけがねぇよ。警察になれる可能性よりも優先するものあるだろ俺たちには」
どうやら先輩には俺の考え全てが分かるのかもしれない。
でも、先輩にそう言われてすぐ我に返った。確かに警察の手を借りなければ解決できない問題かもしれない。
「…先輩に優先するものあるだろとか言われるのムカつくんですけど」
「…いつまで引っ張ってるんだよ。春香はお前に行ったんだからいいだろ。そんなことよりなんで誘拐されたか考えねぇと」
そう言って先輩と俺は、子供が誘拐された理由を考えた。
ちなみに子供の名前は、”美輝”というそうだ。