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私は自分の仕事道具や私物を隣の部屋へと運んでいた。机などは重くて面倒なため、新しいのを買った。
「奇縁ちゃん、ごめんね?まだ小さいのに手伝ってもらっちゃって…」
「いいよ、別に。お姉さんの部屋だけど、私たちが過ごすために必要な部屋だから」
「生臭いのは勘弁なんだけど」
私たちが会話をしながら物をひとつひとつ運んでいると、案外物は少なかったのか、すぐに終わった。
運ぶのが終わって今日から私が使う部屋のリビングに疲れで倒れ込むと、奇縁ちゃんは対して疲れていなさそうに言った。
「今日からパパ活っていうのやる」
奇縁ちゃんが冷静にそう言うので、私は返事をした。
「もう今日の予定立ててあるんだっけ。じゃあ私、奇縁ちゃんがパパ活行ってる間にマグロとかの魚、適当に買ってくるよ」
今まで過ごしてきた部屋の隣の部屋を使う前、二人でアプリの説明やアプリをどう使うのかなどを確認して、ある一人の男性と奇縁ちゃんが食事などをすることになったのだ。
「じゃあ支度してくる」
そう言って部屋に戻ろうとする奇縁ちゃんを止めた。
「待って、その服じゃ駄目だよ。ダサいしボロボロじゃん」
私が奇縁ちゃんを止めてそう言うと奇縁ちゃんは、しょうがない、というようにため息をついた。
「でも私、この服しか持ってないよ?」
珍しく困ったように顔を歪ませて言う奇縁ちゃんに私は自身気に言った。
「まだ一時間以上、時間あるでしょ?一緒に服買いに行くよ」
私はお姉さんと一緒に、駅に近い店の洋服屋に来ている。お姉さんがスマホで、六歳の女の子、と調べたら、制服姿が多く出てきて、私に似合う制服を探しているらしい。
「やっぱり奇縁ちゃんには赤が似合うよなあ〜…。でもピンク系の色もよき……。だああ!悩むよお!!」
お姉さんはそんなことを言いながら私に似合う制服を探してくれている。すると、決めた!と言って、私に服を見せてきた。
「この青色のセーラー襟の服、胸元にリボンついてるし、奇縁ちゃんに似合うよ!あ、美輝ちゃんとお揃いがいいならピンクバージョンもあるよ?」
そう言ってキラキラな笑顔を見せてきた。私はため息をつきつつ、笑顔でお姉さんに言った。
「…美輝ちゃんとのお揃い欲しいからピンクバージョンもお願い」
そう言って試着室で着替え、そのままその青色とピンク色のセーラー襟の服をレジで買った。ついでにと言い、短いレースつきの靴下も買っている。
「まあ、あとは靴だよね。服と靴下さえ選べば靴選ぶのなんて簡単だよ。」
そう言って靴屋に入り、靴を買った。意外に早く買ったので、さっきのはなんだったんだと言いたくなる。お姉さんから何を買ったのか聞くと、子供用のフラットシューズ、というものらしい。私はよく分からない。
「さっ、靴下と靴履いて行っておいで。男は…新しい私の部屋に連れてきな。肉体関係持ち込めばころっといけるよ。あ、でも計画崩したら駄目だよ」
外に出た時、お姉さんはそう言って帰って行った。多分魚を買っていくんだろう。
待ち合わせは駅近くだったので、ここからも近かった。
「…まあいっか」
そう言って私は小走りで待ち合わせ場所へ向かった。
俺たちはどうして美輝ちゃんという子供が誘拐されたのかを考えた。
「王道でいけば身代金目的だよな…。でも親殺してるんだよなぁ…」
一瞬俺も、先輩と同じ考えに至った。でも、身代金目的で誘拐したのなら、親を殺してはどうにでもならないのでは?と考えてしまう。
「或いはただのロリコンとか?」
「それ以外考えられねぇや俺」
結局俺らはロリコンが美輝ちゃんを誘拐して暮らしているとしか考えられず、それを前提に考えた。どこに居るのかなど、警察に言って調べてもらわなければならない。
そんなことを考えていると、俺のスマホが鳴った。
「はい、もしもし」
俺が電話に出てそう言うと、聞き覚えのある爽やかな声が聞こえた。
「あ、もしもし青也?玖字だよ」
「おー、玖字か。お疲れ様」
「くあざ?」
俺がそう話すと、先輩は名前がよく分からないのか、そう聞いてきた。が、とりあえずは無視した。
玖字は俺の高校からの同級生で、昔からの夢だった警官になれたという。夢が同じなのもあって、意気投合して仲良くなった。そして、俺たちが頼み事をされたのも、玖字からだった。先輩には玖字の名前を出していないし、会ったこともないだろう。
玖字から頼みを聞くまでは、俺は勉強で忙しく、玖字は仕事で忙しく、全然話せていなかった。
「青也もお疲れ様ー。あ、そうそう、電話した理由なんだけどさ」
俺の挨拶に返してくれ、電話した理由も話してくれた。
「もう一軒、腐敗臭が少しして虫も結構いて近所迷惑だって家があるんだけど…」
「あーおっけ。俺と先輩で行くよ」
玖字はきっと、その家の確認もしてくれ、ということを言いたかったんだろう。
俺が玖字の言いたいことを理解すると玖字は感謝の言葉を述べ、電話を切った。
「そうそう!まじで助かるわ。ありがとうな、青也。んじゃまた」
「くあざ?って誰のことだよ」
先輩が質問を俺になげかけてきたので、俺は簡潔に答えた。
「玖字ってのは、今回俺たちに頼み事をしてきた奴です。俺の高校からの友達です」
俺が答えると先輩は、自分が聞いてきたにも関わらず、興味のなさそうな声を出した。
「へー、そーなんだー。あ、そうそう俺とお前でどこ行くって?」
「はあ…。もう一軒言って欲しい家があるらしいですよ。地図と住所は……あ、メッセに送られてきてますね」
電話の後、きっと玖字が地図と住所を送ってくれたのだろう。俺はメッセージで玖字に感謝のメールを送ってから、早速先輩ともう一軒の家へと向かった。