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#ROBLOX
ゆゆゆゆ
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ゆゆゆゆ
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「……侵入完了」
セブンが呟く。
画面の向こうには、とある海外の行政管理システム。
本来なら絶対に触れてはいけない場所。
けれど二人にとって、それはいつもの仕事場と大差なかった。
「思ったより簡単だったね」
Noliは退屈そうに椅子を揺らす。
「セキュリティが甘い」
「君が言うと説得力あるな」
「事実だ」
淡々と返す。
目的の検証は終わった。
脆弱性も確認できた。
本来ならここで痕跡を消し、立ち去るだけ。
だが。
セブンは隣から聞こえてくる不穏な笑い声に気付いた。
「……何してる」
「んー?」
Noliは振り向かない。
キーボードを叩き続けている。
その声は明らかに何か企んでいる時のものだった。
「Noli」
「ちょっと遊んでるだけ」
「やめろ」
「まだ何も言ってないのに」
「だからだ」
Noliはくすくす笑う。
嫌な予感しかしない。
数秒後。
彼は満足そうにエンターキーを押した。
「よし」
「何をした」
「見て」
セブンは画面を見る。
そして数秒固まった。
「……は?」
そこには戸籍データが表示されていた。
もちろん本名ではない。
二人が普段使う偽名(アカウント)。
007n7
Noli
その二つの名前が並んでいる。
関係欄には。
配偶者。
「……」
「……」
沈黙。
Noliは笑いを堪えている。
肩が震えている。
「お前」
セブンが低い声を出す。
「何やってる」
「婚姻届」
「見れば分かる」
「綺麗に登録できたよ」
「そういう問題じゃない」
Noliはとうとう吹き出した。
「はははっ!」
椅子の背もたれに体を預ける。
「だって面白いじゃないか!」
「全然面白くない」
「いや面白いよ」
画面を指差す。
「ほら」
「システム上」
「僕たち夫婦」
「最悪だな」
「最高だろ?」
即答だった。
セブンは額を押さえる。
頭痛がする。
絶対に消すべき案件だ。
今すぐ。
しかし。
Noliはモニターを見つめたまま、ふっと笑みを弱めた。
珍しく静かな表情。
「ねえ」
「なんだ」
「これでさ」
小さな声だった。
「僕たち、永遠に離れられないね」
冗談みたいな言葉。
いつもなら大袈裟に笑いながら言うはずの台詞。
なのに。
今だけは違った。
画面の光がNoliの横顔を照らしている。
その瞳はどこか遠くを見ていた。
セブンは何も言わない。
ただ隣の相棒を見る。
長い付き合いだった。
数え切れない夜を共に過ごした。
世界中のサーバーを荒らし回り。
追われ。
笑い。
喧嘩して。
それでも気付けば隣にいた。
Noliは画面から目を離さない。
まるで本当に何か大切なものを見ているみたいに。
「馬鹿だな」
セブンが呟く。
「知ってる」
「こんなのただのデータだ」
「うん」
「明日には消える」
「うん」
それでも。
Noliは笑った。
「でも今はある」
その声が妙に静かだった。
セブンは小さく息を吐く。
そして。
何も言わずに手を伸ばした。
Noliの柔らかな髪をくしゃりと撫でる。
「……ん」
Noliが少し目を細める。
猫みたいだった。
普段なら絶対認めないだろうが。
セブンはそのまま机の上に転がっていたLANケーブルを拾う。
そして。
自分の薬指へ軽く巻き付ける。
もう片方を。
Noliの薬指へ。
「え」
今度はNoliが固まった。
セブンは無言だった。
ケーブルの輪は不格好だった。
指輪どころか、ただの配線だ。
けれど。
Noliはじっとそれを見つめる。
数秒。
十秒。
二十秒。
やがて。
「……ずるいなあ」
小さく笑った。
いつもの騒がしい笑い方ではない。
少しだけ照れた声。
「そういうの」
「反則だろ」
セブンは肩を竦める。
「お前が始めたんだ」
Noliは返事をしなかった。
ただ。
薬指に巻かれたケーブルをそっと触れる。
モニターの光の中。
偽名の婚姻届。
誰も知らないデータベース。
誰も知らない名前。
誰も知らない約束。
それは法的な意味など何もない。
明日には消えてしまうかもしれない。
けれど。
少なくともその夜だけは。
デジタルの世界の片隅に。
二人だけの秘密の誓いが、確かに存在していた。
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