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中日
「やめるなら今アルよ、日本」
そう言いながら、中国は襟元に指をかけた
白い布がわずかにずれ、鎖骨のラインが露わになる
日本は、まるで“自分の身体じゃない”ものを見るような目で、それを受け入れていた
「……僕に、選択権なんてありましたか」
「あるアルよ」
「君が“無言”を選ぶから、俺が動いているだけアル」
さらりと落ちる衣の音
指先が、露わになった肌をなぞっていく
冷たい夜の空気の中、中国の手は驚くほど熱かった
「……っ」
日本の喉が小さく鳴った
肩に触れた掌から、ゆっくりと力が入り、背中が壁に押しつけられる
「君の声……聞かせてほしいアル」
「昼間は“正しさ”ばかり話すけど……夜は違うアル」
唇が、喉元に落ちる
舌先が静かに触れ、優しく、でも逃さないように吸い上げた
「……っあ……や、やめ」
「“やめて”じゃなく、“やめたい”って言ったら考えるアルよ」
首筋に残る赤い痕
それはまるで、月明かりに照らされた印だった
理性を絡め取るような言葉と、確実な触れ方
日本は、唇を噛んだ
けれど、次に零れたのは――
「……あつ……」
熱い
指が、首から胸へと滑り落ちていく
くすぐるような優しさに見せかけた、支配の動き
「ほら、やっぱり君は……“求めてる”アル」
「身体は嘘をつかないアルよ」
掌が、胸元に触れた瞬間
日本はびくりと肩を揺らし、眉を寄せた
なのに――逃げない
中国の腕の中に、自ら身を委ねていくように、静かに目を閉じた