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錆の都送り

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錆の都送り

第46話 - 第46話　過去編9

2024年11月04日

#ダークファンタジー

#錆

#黒蜜の賞金付きコンテスト

伊琉夏

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伊琉夏

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鋼谷と高村は、密かに集まった仲間たちと共に、組織に対する反抗を計画していた。しかし、彼らの動きはあっという間に組織に察知され、あっけなくも計画は失敗に終わった。囚われた仲間たちが次々と連行され、鋼谷も捕まる運命にあった。

「鋼谷、お前は逃げろ！」高村が叫ぶ。「時間を稼ぐから、ここを離れろ！」

「でも、高村さん、あなたは…！」鋼谷は彼の言葉を遮ろうとしたが、高村はすでに周囲に向かって大声で命令を出し、仲間たちを逃がすために立ち上がっていた。

数分後、鋼谷は急いでその場を離れ、命からがら逃げ出すことに成功した。しかし、彼は高村がどうなったのか気にかかって仕方がなかった。仲間たちを助けるために自らの命を投げ打つ高村の姿が、心に引っかかっていた。

逃げた先で、鋼谷はしばらくの間、隠れることになった。その場所は静かな廃工場で、彼は自らの行動がもたらした結果について考えていた。高村は彼にとって、尊敬すべき上司であり、頼りにしていた存在だった。あの時、もし彼を助けることができていたら…と考えると、胸が痛む。

その夜、鋼谷は夢の中で高村と再会した。夢の中の高村は、まるで生きているかのように鮮明で、優しい微笑みを浮かべていた。

「鋼谷、お前は大丈夫か？」高村が問いかける。

「高村さん…！あなたは生きているんですか？」鋼谷は驚きのあまり声を震わせた。

「今はお前が生き延びることが大切だ。私のために、あの組織に立ち向かってくれ。」高村の表情には、強い意志が宿っていた。

「でも、あなたは…」

「私は、もうすぐお前のためにすべてを捧げる覚悟を決めている。お前が生き残るためには、私が代償を払わなければならない。」高村の声は次第に遠くなり、鋼谷の心に重く響いた。

目が覚めた鋼谷は、汗をかいていた。高村が彼を助けるために自らの命を捧げたということを知らず、ただ生き延びることに必死だった。しかし、彼の心の中には、高村の言葉が深く刻まれていた。高村が自分を守るためにどれだけの犠牲を払ったのか、まだ気づいていなかった。

鋼谷は、自らの使命を再確認し、決意を固めた。仲間たちを救い、高村の無駄死にを無にするわけにはいかない。彼は再び立ち上がり、目の前に迫る戦いに向けて動き出した。

だが、鋼谷は知らなかった。高村が今ここにいるのは、もはや生きた人間ではなく、彼の魂がこの世に留まることを選んだ幽霊であるということを。高村は、鋼谷を守るためにすべてを投げ打ち、自らの命を差し出す覚悟で、彼を見守っていた。