「崩れたバランス」
⚠️注意⚠️
🎲
喧嘩パロ
物壊し、暴言有
nmmn
⬇
夜のリビングには、青組の声が響いていた。
まろといむが向かい合って立ち、互いに引く気配はない。
「はぁ? そんなん、いっつも自分の言い分ばっか通してるやんけ!」
「僕だって……ちゃんと考えて言ってる!いふくんが勝手に曲解するから悪いんでしょ!」
いつもの軽口まじりのじゃれ合いなら、他のメンバーも笑って流す。
だけど——今日は違った。
声のトーンがいつもより低い。目も笑ってない。
「もっかい言うてみ? “勝手”とか言ったな?」
「だって事実じゃん!」
バンッとテーブルをまろが叩く。いむの肩がビクリと震えた。
それを廊下から聞いていたりうらと初兎は、顔を見合わせて慌ててリビングに飛び込む。
「ちょ、ちょっと! 二人とも落ち着いて!」
「おいおい、なんやねんこれ……いつもとちゃうやん……!」
初兎が割って入るように二人の間に立つが、まろは苛立った目で睨みつけた。
「うるさいな、今関係ないやろ!」
「……は?」
その一言で空気が一気に凍りつく。
りうらも眉をひそめ、珍しく低い声を出した。
「関係ないって……おかしいよ、それ。みんな一緒に暮らしてんのに」
「せやで、何勝手にキレとんねん。話聞くぐらい——」
「うっさい言うてんねん!」
まろが怒鳴った。
普段温厚ないむも負けずに叫び返す。
「いふくんだっていつも僕の話無視するくせに! 何様なんだよ!」
いむの目が赤くなり、声も震えている。
それを見た初兎が苛立ちを隠せず、声を荒げた。
「お前ら、ええ加減にせぇよ!!」
—
その声が合図のようだった。
空気は一気に爆発した。
怒鳴り声、言い合い、泣き声。
止めようとしたりうらにも怒りが飛び火する。
「りうらはいつも“良い子”ぶってさ、ムカつくわ!!」
「……は?」
りうらの顔に一瞬、怒りが走る。
普段穏やかな彼の声が鋭く響いた。
「もういい加減にしてよ!! みんな勝手すぎ!!」
初兎も完全にキレた。
「こっちが止めたんやろ!? なんで文句言われなあかんねん!!」
—
そのとき。
奥の部屋の扉が開き、あにきが出てきた。
収録中だったのか、ヘッドホンを片耳に引っかけたままだ。
「……何の騒ぎやねん」
険しい視線で全員を見回し、ゆっくり近づいてくる。
「お前ら……なにしてんねん。喧嘩するんやったら、まず落ち着け」
その冷静な声に、場の空気が一瞬だけ静まる。
だが——。
「関係ない。あにきは引っ込んでて」
その言葉を吐いたのはいむだった。
あにきの表情が、一瞬だけぴきっと固まる。
「……は?」
怒鳴らなかった。
けれど、拳がわなわなと震えていた。
「……アホらし。勝手にしぃ。頭冷やしてくるわ」
短く吐き捨てるように言い、玄関のドアが勢いよく閉まる音が響いた。
—
その後も、リビングには言い合いが続いた。
まろの怒鳴り声といむの泣き声、初兎の苛立ち、りうらの震える声。
積み重ねた小さな不満が、誰にも止められない形で溢れていく。
「お前なんか知らん!」
「もういやだ……っ!!」
バンッ——
椅子が倒れ、グラスが割れる音。
まろの拳が、テーブルの角を叩きつけるように鳴った。
そして、衝突は本物になった。
止める声も届かない。
手が出た瞬間、誰も冷静ではいられなかった——。
—
30分後。
玄関のドアが静かに開く。
「……ただいまー」
仕事から戻ったないこは、靴を脱いでいつものようにリビングへ向かう。
だけど——数歩で、足が止まった。
「…………は?」
視界に飛び込んできたのは、散乱したリビング。
倒れた椅子、割れたコップ、床に落ちた資料。
泣き声。
その声の主はいむだった。
顔を両手で覆って、しゃくりあげながらソファの端に座り込んでいる。
初兎はその横で、膝を抱えてうずくまっていた。
息が荒い。目は真っ赤だった。
りうらは黙って自分の部屋のドアの前に立ち、背を壁に預けたまま天井を見ている。
そして——まろは。
リビングの中央で、呆然と立ち尽くしていた。
誰も、何も言えない。
音だけが響く。
ないこはその光景を見て、静かに息を呑んだ。
「……なに、これ」
その低い声に、いむの嗚咽がさらに大きくなった。
——壊れた空気。
——誰も、止められなかった喧嘩の代償。
静寂が、重くのしかかっていた。
コメント
1件
なんかこうゆう喧嘩もの好きです!! これからも無理ない程度に頑張ってください😊