桃side
「あっちー、まじあの先生補習の時間長すぎるだろ…」
真夏の午後。オレと隣を歩く水色は汗を垂らしながら数学担当の先生に愚痴をこぼしていた
「お前のせいでオレまで補習になったんだけど?」
「はぁ?僕が悪いの!?…そうだけどさあ」
「アイス奢って」
「はいはいまた遊んだ時にね、じゃあまた」
「お〜。また明日」
オレの家の前でころんと別れて家に入る。
と、リビングに明かりがあるのが見えた
「…またか、笑」
“アイツ”が来ている事が嬉しくて思わず口角が上がる
急いで靴を脱いでリビングへ入るとそこには
「あ…おはえり〜」
オレん家のソファーで寛いで、遠慮なくオレのアイスを頬張っている
近所に住んでいるりぃぬが居た。
りぃぬとは小中一緒で仲もよく、高校が離れたことで話さなくなるんじゃないか。なんて考えたがそんな事もなく今でも仲良しだ。
なんなら、今では恋仲だけど
「それオレのアイスなんだけど?まあ、ただいま」
「今日さとちゃん遅かったんだもん、補習?」
「そうだよ、ん、一口ちょーだい。」
「あー!もう、いいけどさぁ…」
アイスを取られて不貞腐れているそんな表情も可愛くて愛らしいが
りぃぬ、これはオレのアイスだぞ
と、一人ツッコミを入れ、それより…と言葉を続けた彼の声に耳を傾ける
「さとちゃん。いい加減鍵閉めてよ」
彼の言葉にああ、と思う。
俺は基本鍵を閉めない。といっても高校へ行っている間は授業が早く終わるりぃぬが居る。合鍵を渡してもいいのだが生憎作るのが面倒なもので、りぃぬが何時でも出入り出来るよう鍵は開けてあるのだ。
「いいじゃん、りぃぬが居てくれんだろ?」
「う”っ…そうだけど、、。」
まだボソボソと言っているりぃぬの頭を荒々しく撫でていると
ピコンッ
と俺のポケットに入れたスマホが鳴る。
最近連絡交換した女子かな…なんて思い見ると予感的中。
明後日ヒマー?て、あんま話したこともねぇのに。
「?だあれ?」
「クラスの女子。」
こっちは毎日毎日可愛い彼女が待ってんだよと若干キレ気味になりつつも、予定ある。とだけ返信しておいた。
「うそ、さとちゃん女の子と交換しないと思ってた。」
「んー。ああ、勝手に追加されただけ。」
「へぇ。」
あ、なんかコレ知ってる。
彼女の前で女と連絡はアウトとかなんとか、ころんが言ってたな。
別にりぃぬはそう嫉妬もしないだろうと彼を見ると平然としている。ほら、大丈夫じゃん
その日はりぃぬの選んだゲームをして暫く遊んだ後、りぃぬは帰っていった。
「ねぇ!ころちゃん!酷いと思わない?」
「………どしたの、わんわん。」
俺は小中と仲が良く高校に入っても遊んでくれている友人を呼び出し彼氏の愚痴を零していた。
…愚痴って訳ではないけど、少しあったので聞いて欲しい。
近くの喫茶店に呼び出され着いた瞬間に彼氏の愚痴を叫ばれるころん。悪いとは思ってるよ…少し。
「またさとみくんが何かしたの?」
頼んだメロンソーダを口にして聞いてくれる
彼はさとみくんの友達でもありこういう事も話しやすい。俺は最近あった事を話した。
「っはははっ、わんわんもヤキモチするんだね笑」
今日一の大爆笑をキメたころんはニヤニヤしながら俺にそう言った。
だって、最近は俺といる間もずっと女の子と連絡とっているんだ。そんなのあんまりじゃないのか?
「さとちゃん、俺が話しかけても無視するんだ。こんなのさとちゃんが悪いもん。」
「んー、さとみくんこういうとこ鈍いんだから。」
わんわんが素直に言えば、分かってくれるんじゃないかな。
そんなことを言われてしまい、滅多に素直になれない俺はどうすればいいのか更に頭を抱えた。
「ほら、さとみくんに連絡したから、そろそろ迎えに来ると思うよ。」
「ええ!?心の準備が…」
焦る俺に畳み掛けるように店のベルが鳴る。
「あ、きたきた。行ってきなわんわん」
「ころーん連絡さんきゅな。」
休日だからなのか髪のセットをしている彼。俺は学校が終わると直ぐに彼の家に向かいほぼ毎日会っているのでノーセットの彼しか会ったことがない。だから、なんか、その。
「…あれ?わんわん顔真っ赤だよ」
「……なになにぃ、俺に見惚れちゃった?」
アップバンクにした髪をチラ、と見ただけで俺の心を読まれてしまった。見る見る赤面する俺にさとちゃんはクスクス笑うばかり。
「はああ笑、可愛いんだから、りぃぬは。またなころん、置いてくぞ〜。」
「ま、待って!ころちゃん今日はありがとっ、また!」
「は〜いまたねりぃぬくん。」
今日は相談に乗ってくれたのでここはとお財布から1000円取り出して机に置き、彼に付いて行った。
「さとちゃん、なんで今日はその髪型にしたの?」
店を出てそのままさとちゃんの家に。さとちゃんのアイスを食べながらソファーに座っていた。
「ん?こっちのが好き?」
「好きっ……ていうか、見慣れてないし、、好きですけども、」
「あーいつもセットしないもんな、。今度の祝日どっか行くか?」
「へ、!?」
毎日家に行き会っているものだから、デートなんてものは暫くなかった。それに、インドアなさとちゃんにデートに誘われるなんて滅多にないものだから思わず驚いた声を上げてしまった。
「セットするから、映画にでも行かん?」
「行く!行きたいっ!」
「そんじゃ、10時に俺ん家な。」
えっと、次の祝日は………再来週か!楽しみだなあ、服も新しいの買いに行こう。
俺は嬉しくて、スマホのスケジュール表に“さとちゃんとデート!”と書いておいた
この映画、確か恋愛モノで恋人に人気って聞いた!
「ねぇさとちゃん、これなんかど…」
ピコンッ
「あ、わり、」
さとちゃんのスマホから通知が来て俺なんか見向きもせずスマホを手に取る。…また、女の子だろうか。
『わんわんが素直に言えば、分かってくれるんじゃないかな』
ころちゃんの言葉を思い出す。そんなの言ったら、嫌われてしまわないかと不安になる。
どうしよう、どうしよう
「さとちゃんっ、」
「………ん〜?」
このままじゃ、いや。
俺を、見て
「俺と居る時、スマホや、、なのっ。」
震える声でそう言った。さとちゃん、今どんな顔してるの?
「……あー、…ね。」
バッと顔を上げるといつもより冷たいような怖い顔をしていた。泣いたらダメ、泣くな。何か、言わなきゃ。
「さ、さとちゃ…この前女の子と連絡とってたから、ふあん、で」
「…何?俺に女と連絡取るなって言いたい訳。」
「そっ、そうじゃなくてっ。」
「じゃあ、なに。」
「っ…。」
「なんも言えねぇのかよ。笑」
その通りすぎて、何も言えなかった。
我儘なことを言ってしまった自分が悪いのに、俺が黙ってることをいい事にキツい事を言ってくるさとちゃんに。そんな言い方しなくても、なんてフツフツと怒りが湧いてくる。
最悪な雰囲気に押しつぶされそうになって視界が歪む。あぁ、ヤバい。
「………もう、いいもん。」
消えそうな声で呟いて、彼の家を飛び出した。
あの日から数週間。
お互い気まづくて連絡もせず、俺も自然にさとちゃんの家へ行かなくなっていた。
そんな中俺は自分の部屋で一人頭を悩ませている最中だ。
何故ならそう、デートの約束が明日だから。
この数週間の間、何も考えてなかった訳じゃない。寂しくて辛かった。
さとちゃんにあんな顔をさせてしまった自分が嫌い。
でも
「俺が、動かなきゃ…。」
このままの関係が続くのは、いや。
俺はスマホで明日のチケットを買って、明日着ていく洋服を買いに外へ出た。
「…張り切りすぎ?」
玄関の前の鏡の前で一つターンをしてみる。
まだ夏なのでダボッとしたグレーの刺繍入りTシャツ一枚をブラックなワイドパンツの中へ。スニーカーやアクセまで今日のため買ってきた新品だ。因みにメイクもバッチリ。
さとちゃんに、会うのだから。と自分に言い聞かせチケットを鞄に入れ家を出た。
「あ…あれっ?」
さとちゃん家の前、俺が何時でも出入り出来るよう鍵はかかっていないはずのドア。が、開かない。
ドアノブを握りしめ押してみるが途中で引っかかってしまう。
鍵閉めたの、?
なんでかな、会いたくなかった、?
ズキズキ、
なんだか心がギューってなる。。。
俺のこと、すてちゃやだよ、、
「そ、だ…いんたーほ、」
「あれ?何してんの?」
コンビニの帰り、いつもの通学路を使って家に帰っていく途中で見覚えのある人影が見えて話しかけた。
「あれ?何してんの?」
ビクッと大袈裟に肩が揺れてこちらを振り向いた彼はスゴく、泣きそうな顔だった。
「え、ちょっわんわん?!」
「ど、うしたの。さとみくんに用あったの…?」
そう問いかけてみると、返ってきた答えは耳を疑うものだった。
「あ、今日、映画の約束あってっ、」
「……は?」
アイツ…たしかクラスの女子に誘われてるとか言ってたよな。
こんなに可愛い彼女ほったらかして何をしているんだ
お前だから任せたというのに。
「喧嘩しちゃって…仲直りしたくて来たんだけどっ、」
「おれ、のこと、っ嫌いになっちゃったのかな、」
「……っ、」
お前が大事にしないんなら、いいよな?
「っころ、ちゃ、?」
「…ねぇ、りぃぬくん。それ、僕とじゃダメかな?」
「へ、っ…?」
「アイツ、今日女子に誘われてるって。」
「う、うそ、、。」
可愛い可愛いりぃぬくんと、
彼女との約束をすっぽかした最低な彼氏。
そこに、正にヒーローみたいに現れた僕。
最高なシチュエーションだと思わない?
「今日は、僕と出掛けてみない?きっと楽しくなるよ。」
どう?なんて聞いて彼の涙を袖で拭う。
あーあ。顔真っ赤になっちゃって、そんなんじゃ襲われちゃうよ?
僕とかに、ね。笑
流石に今日行成は無理…かな、なんて思ったら
「ごめっ、今日一緒に居て、っ」
こんな事、言っちゃうもんだから僕参っちゃう。
イイよ、僕が攫ってあげる
ピンク髪の彼にメールを送り、彼の肩をだいて歩き出した。
『僕、りぃぬくんのこと攫っちゃうね。』
下書きめちゃくちゃ書いてあるのでマイペースにあげてきたいです。
かきたいのけっこうある!それも見てくれるとありがたいです、、。
ブクマひとことください!
コメント
32件
連載ブクマ失礼します😿 涙が止まりません🤦♀️ 続き出来れば見たいです.ᐟ.ᐟ
ブクマ失礼します!