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天樹
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『双子の名探偵は今日も嗤う』〜謎あるところに闇は生まれる〜
2nd season
第1章 『閉ざされた部屋は何を語るか』
〜知恵と頭脳は紙一重〜
第1話 不ばかりの部屋
秋も終わりに近づき、冬の寒空になってきた頃――。
デビルズパレス 夜 食堂
『主様が高校を卒業して 大学生ですか……。』
『大きくなりましたね…♪』
『親目線になってるわよ。』
そう、私と百合菜は高校を卒業し、大学生になった。今はみんなと食堂で 談笑していた。
『受験?には合格したのか?』
『うん!お姉ちゃんと同じ大学!』
受験でしばらく屋敷に帰って来れなかったのもあり、今日はみんなでワイワイ過ごしている。
『主様はより大人っぽくなりましたね。』
『百合菜も子供っぽい所は健在か?』
『もーそんなことないってば!』
『えぇ。昔に比べたら少しは大人びたかしらね。』
私は紅茶を飲む。
『お姉ちゃんお酒飲まないの?20歳になったんだし。』
『私にはまだ早いわよ。酔っ払っちゃいそうだし。』
『意外ですね、強そうに見えます。』
『さぁ?どうかしらね。』
クスッと微笑む。
『そういえば、その大学で何するんだ?』
『大学では、部があって、それぞれ選択して所属する学科を選ぶのよ。ちなみに私は法学部の心理学に所属してるの。将来私は父と母の仕事を継ぐ身だからね。心理学は役に立つのよ。』
『ちなみに私は食物学に所属してるよ。
将来パティシエールになりたいから勉強しておきたくて。』
『なるほど…学科ってのがあんのか。』
『えぇ。大学生ももう慣れたわね。百合菜はどうかしら?』
『うん!私も慣れたよ。友達も沢山出来たし。』
『あれ、同じクラスじゃないのか?』
『学科で分類されるからクラスは違うのよ、合同で授業する位かしらね。』
『後はお昼の時間とか…サークルの時間とかかな?』
『さーくる?』
『うん、お姉ちゃんは演劇サークルの部長なんだ〜それで私は料理研究サークルで差し入れとか作って持っていくの。』
『演劇!?主様演劇やるんすか?』
『えぇ。高校の時も演劇部だったから……。
やってみると案外楽しいのよ。』
『お姉ちゃん綺麗で可愛いから人気だもんね、この間もお姉ちゃん目当ての後輩沢山来てたし…』
『はぁ!?』
『ちょ、百合菜…! 』
『俺の主様に気安く…っ。』
『何行ってるんすか俺の主様っすよ。』
アモンとハナマルは睨み合う。
『お、落ち着いて…。ゆ、百合菜は料理研究会の副部長になったのよね?』
『うん!毎日色んな料理を作って研究するのすっごく楽しいよ!』
『ふふ、良かった。同じ大学を合格出来て嬉しいわ。』
『私もだよ、お姉ちゃん。』
2人はギューッとくっつく。
『でも、主様…私はひとつ心配してます。
その瞳のこと…周りの方に何か言われてませんか…?』
ベリアンは心配そうに私を見つめた。
『その事だけどね…。実は、この赤い瞳がきっかけで…演劇サークルに勧誘されたのよ…。 』
『え…。』
『先生に偉く気にいられて…ふふっ。初めてだったわ。初見で気に入られてあんなに褒められたの。もちろん、大学のクラスのみんなも綺麗だって褒めてくれたわ。』
『そうでしたか…良かったです。主様が辛い思いをしてなくて…。』
『心配してくれてありがとう。』
ニコッと微笑む。
『そろそろお開きにしますか。お部屋まで送りますよ、主様。』
『ありがとう、ベリアン。』
『おやすみなさいませ、主様。』
翌朝――。
『主様。朝早くに申し訳ございません。』
朝食を食べていた時、ルカスが私の前に現れた。
『大丈夫よ、どうしたの?』
『依頼の手紙が届きました。』
ルカスは手紙を渡す。
『イースト諸国同盟から…?
悪魔執事の主の麻里衣様。貴方にこの事件を解決して欲しいのです。東の大地に住んでいる貴族 リーシュバード・ドナルド様が何者かによって殺害されました。我々には太刀打ち出来ない謎です。どうか、貴方の力をお貸しください。』
『…ルカス、ベリアン。馬車を用意して。』
『『はい、主様。』』
私は食堂を出てエントランスに出る。
『お姉ちゃん?どこに行くの?』
『お仕事よ、事件の詳細次第では遅くなるかもしれないわ。』
『……。』
百合菜はしゅんと落ち込んでいる。
『…ふぅ、一緒に来る?』
『!いいの…?』
『えぇ。ただし、私から離れちゃダメよ。』
『うん!』
百合菜は私の後を着いていく。
『いいなぁルカス先生とベリアンは…俺も主様の仕事してるところ見たかったな〜。』
『……どうしましょう、ルカス…。』
『…ふふ、分かりました。では、今回同行するのはハナマル君とユーハンさんにしましょう。東の大地なら2人の方が詳しいからね。』
『私も同行してよろしいのですか?』
『うん。主様達のことよろしくね。』
『かしこまりました。では行きましょう、主様。』
『えぇ。百合菜、行きましょう。』
『はーい。』
『俺のこと忘れてない?』
こうして、私達は馬車に乗り東の大地へと向かった。
東の大地 リーシュバード様の屋敷
『殺されたのはこの屋敷の当主。
リーシュバード・ドナルドさん。死因は絞殺による窒息死。索条痕から察するに紐状のもので殺されたのかと。そして、もう1つ…この部屋の鍵は閉まっていた。窓もドアも。』
憲兵が現場を詳しく説明する。
閉ざされた空間……密室――。
『自殺…という線はありませんか?麻里衣様。』
『…どうしてそう思うのですか?』
『リーシュバード様が発見された時…。天井の証明に括り付けられた状態だったからです。それに、密室です。』
『…自殺か、他殺かはこの後の聴取で分かることです。』
私はバタンっとメモ帳を閉じる。
『この屋敷に住む使用人と奥様とご子息様に話を聞いてみるしかないでしょう。』
(お姉ちゃん…凄い…冷静に分析して…。
これがお姉ちゃんの仕事での顔か…。)
『ハナマル、ユーハン。私は現場を搜索してる間に2人は使用人と奥様、ご子息様をドローイングルームに集めておいて。』
『あぁ、任せとけ。』
『かしこまりました、主様。』
『百合菜、貴方は見てて辛いと思うから憲兵の方々と一緒にいてね。』
『う、うん。』
『…。』
私はご遺体に手を合わせる。
『窓も…鍵は閉まってる。ドアにも鍵はかかってた。もし、自殺だとしたら…。』
こんなに首元に抵抗した痕がつくだろうか。
紐上のもので殺害されたのなら、紐にこう爪が当たるはず。そして……。
私はご遺体の手に触れる。
爪が割れるはず。割れた爪は血が滲んでいた。
『自殺なんかじゃないわ…この方は何者かによって殺された。』
私はボソッと呟く。
私はドローイングルームの部屋の扉を少し開けて中を見る。
カチャ…。
そっと仮面を外す。
『どうして、どうしてよ貴方……っ。』
『父さん…っ。』
奥様とご子息が泣いている。
『……。』
真っ黒なオーラ…嘘をついてる。
それがどんな嘘なのかは聴取してみないと分からないけど――。
ガチャ――
『お集まり頂き、ありがとうございます。
探偵の麻里衣です。』
この謎は私が解決してみせる――。
次回
第2話 怪と疑
コメント
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ほんとに楽しみにしてたから1話出て嬉しい!!次も楽しみ!