コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
.
夢主side
まただ。
また、俺から逃げてしまった。
せっかく倫太郎から話しかけてくれたのに。
「あー、もう最悪」
逃げてしまう自分の事が嫌で、倫太郎に本心を話せないままで居るのが嫌で、倫太郎の隣に居るのが俺じゃなくてアイツだって事が嫌で。
行き場を無くした嫉妬心のせいで足が重くなって、思わずしゃがみ込んでしまった。
「おい(名前)。大丈夫かよ、体調悪いか?」
「全然悪く無い。ちょっと、先行ってて」
関係無いチームメイトにまで迷惑を掛けて。
本当最悪だ、俺。
あんなイライラしている倫太郎は初めて見た。
倫太郎に似合わないと言われて、気づかない様にしていたのに傷つく心に気づいてしまった。
髪型を変えたのも、ピアスを開けたのも、全部お前との過去を切り離す為にやった事だから、倫太郎に似合わないと思わせるのは成功のはずなのに。
倫太郎の言葉に傷ついたのに、倫太郎が俺の耳に手を伸ばしてくれた事が嬉しくて。
「…理由も感情も、全部女々し過ぎだろ」
次会った時は、ごめんね、ずっと好きだったって言おうと思ってたのに。
また思っても無い事を口走ってしまった。
プライドを捨てられたら、どれだけ楽なのだろうか。
今更仲良くしたいと言うのが恥ずかしくて、言ったらまた泣いてしまいそうで。
倫太郎の隣にいた男を思い出す。
倫太郎はあいつにも頬を撫でたり、触ったりしているのだろうか。
嫌だ。俺だけを撫でて、俺だけを触って、俺だけを見て。
倫太郎の事をどれだけ忘れようと思っても、忘れられないんだ。
隣に居たいって思っちゃうんだ。
俺、ずっと前から倫太郎が好きなんだ。
.