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「家に帰って飯でも食うか。今日は炎露が生まれたからな、腕によりをかけて作るか」
豪快な笑みを浮かべながら兄さんはそう宣言した。
「兄さんの飯か。美味いから炎露、期待しとけよ」
ひとしきり笑った俺は、炎露に少しの入れ知恵をする。
これは意地悪なんかじゃない。兄さんの飯が美味いのは事実なのだから。
「わかった」
炎露はなんの屈託もない期待に満ちた表情を浮かべている。
「Xaxa期待に応えれるように頑張ろう」
兄さんが幸せそうに笑っていて、俺も、今日ばかりは感情を抑えれなかった。
そんな俺らに釣られて炎露も愉しそうに笑った。
兄さんも、炎露も、俺さえも笑っているこの空間。
この時間だけは、俺の持論なんてどうでもよくなってしまった。
だが、俺は知ってしまっていた。
いずれこの時間も消える事を。
俺の主が兄さんの主、ロシア帝国を殺す。
避けることは決してできやしない。
これは、代替わりの為であり、誰も変えられぬ運命なんだ。
少し前に、兄さんに遠回しに話した事がある。
だが兄さんは、それすらも笑って吹き飛ばした。稀に、自身の主が死んでも生き続けるドールがいると聞く。
ただ、それはただの時差が生まれているだけであり、不死というわけでは無い。
俺は、どうか時差が生まれてくれと願う事しかできない。
主を止めるつもりも無い。
ーーいや、俺には止めれない。
目の前の席で、兄さんと炎露は愉しそうに話しながら飯を食っている。
俺も2人に笑ってみせた。
2人は、さらに嬉しそうに笑ってくれた。
今は、未来の事なんて気にしないでおこう。
俺は今現在を、生きているんだから。