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この笑顔をずっとそばで見ていたいと思った。こんなにも綺麗で優しくて安心する笑顔はこの先、誰もしてくれなかった。この笑顔が好きだからこの笑顔でいて欲しかったから。私は貴方のそばにはいれない。
色々な花が綺麗に咲く春。最初に私に話しかけたのは親友の涼風結子(すずかぜゆうこ)だった。
「おっはよ〜春菜(はるな)っ!」
「あっ結子じゃん。おはよん」
「あれ、ちょっとまって?春菜なんでこの時間にいるの?」
思いがけない質問に私は戸惑った。なんて答えればいいか分からなくて咄嗟に
「え?何?なんで?」というつまらない返事をしてしまったのを少しだけ後悔した。
「いや、なんでじゃなくって!春菜昨日、電話で明日花の水やりしなきゃだから早く行かなきゃなんだよね〜って言ってたじゃん!大丈夫なの!?」
その言葉で我に返った。ダメだ。あと5分で学校に行かないと怒られる。
そしたら私が…
「うっそ!そうじゃん忘れた!!!うわ最悪
私走るわ!先行ってるね!」
私は結子の返事を聞く前に駆け出した。
何とか時間ギリギリに着けて安心した。花壇に行くと人影が見えた。先に来ていた様だ。でも少し1人で気まづくなる。
だって私ともう1人の当番はあんまり喋ったことのない男子だったからだ。
勇気を出して一声。
「えと…関口(せきぐち)くん?早いね」
頑張って話しかけたのに
「いやいや清水さんが遅いんじゃんw」
という少し小馬鹿にしたような答えに少しだけムッとしつつ言い訳をした
「いやー寝坊しちゃってさ」
咄嗟に出てきた言い訳は嘘だった。本当は忘れてただけだけど。私の言い訳には無反応で関口が言った。
「あっこの花折れちゃってる」
「あ、ほんとだ。捨てちゃおっか」
私が言うと関口くんは少し寂しそうにして
「俺は折れてても綺麗だと思うけどなあ」
と私に言ってるのか独り言か分からない口調で言った。
「そう?やっぱり花は折れて無いピンとした姿のがいいでしょ」
なんとなくそっちの方がいい気がして適当に返す。
「なんか『清水さん』って感じする〜」
私はその返事にイラッと来たから言い返した。
「何それ意味わかんな」
冗談交じりに言ったつもりが少し口調強かったかなっと反省しつつ関口の方を見た。
そうしたら関口くんが満面の笑みで笑っていた。世界で1番綺麗な笑顔で。それを見た瞬間、心が鷲掴みにされたような奪われたようなそんな感覚がした。絶対認めたくないあの感覚。しかも今日初めて話したくらいの男の子に。頭では否定していた。そんなはずないって。だけど直感が言ってる。
これは恋だと。
あぁ絶対認めてなんかやるもんか。恋なんてしばらくしてやるものかって誓ってからまだ1年だよ。こんな早くこの感覚に再開する予定なんてなかったのに。おかしい。絶対脳がバグってるだけだ。そう自分に言い聞かせる。そして何食わぬ顔をして(本当はできていないかもしれない)「ま、いいや!とりあえず水やり終わったし戻ろ」と関口くんに言った。「ん」と短い返事をした関口くんを横目で見た時に気づいた。
(あれ関口くんってこんなにかっこよかった?)
そんなはずはない。1.2ヶ月だけど見てた。今更見た目が変わるはずなんてない。
ああ、これもあれか。恋のせいってやつ?
何それ。めんどくさ。と思った…はず
少し混乱してるけどとりあえず教室に戻った。