狼、記憶喪失になりました⁈

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「ここは…どこだ…、？」

やっと、ウルが目覚めた。

とても嬉しいのは確か。だけど何だろう。

この違和感。

『…ほんとに、ウルっすか、？」

思わず聞いてしまった。

見た目はいつもの、ウル。確かにそうなんだ。

けど、心の奥底で、何かが…目の前のこの国はウルじゃないと言っていて。

「…、？貴様は…誰だ？」

『…え、』

…頭は真っ白。血が引くのが嫌でもわかった。

だけどやけに冷静で。

頭を殴られたんだもん、そうなる可能性だってあったよな、なんて考えたりした。

『…とりあえず、ナースコールしましょうっすか。』

…誰かと話さないと、…気が狂いそうだった。

『…そうっすか…そうなっちゃったっすか…泣』

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コールボタンを押したあと、他のみんなにウルが目覚めたと伝えるため病室を出た。

…本当は、泣いている顔を見られたくなかったから。

『…っそんな…私のこと…忘れちゃったんっすか…泣』

震える指でメッセージアプリをタップし、グループチャットを開いた。

『ウル、目覚めましたっす…ただ、…見てもらった方が早いっすよね。』

「目覚めたけど、

そこまでで打つのをやめた。

打ってしまえば、嫌でも認めてしまうから。

『明日は祝日…みんな休みっすよね…病院、来てもらうっすか…』

本当なら、パニックになるはずのこの状況で

ここまで冷静な自分が不思議だった。

医療の知識を身につけておいてよかった。

『…記憶喪失…っすか。』

…ｺﾄｯ

置いたスマホには、水滴が幾つも付いていた。

『…神様とやらは…やっぱり意地悪っすね、ウル。』

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