都内某所 OREジャーナル
「おはようございま〜す…」
部屋のドアをゆっくりと開ける。壁にかけられた時計をちらりと見やると12時手前を指していた。
「なぁ灰原…お前いつまで寝てんだよ…?遅刻これで何度目だと思ってるのさ…?」
「いや…すいません…」
彼の名は灰原 晴斗(ハイバラ ハルト)。OREジャーナルの新人記者で連続遅刻記録を更新したところである。そしてクロスワードを片手に机から叱っているのがOREジャーナル代表取締役兼編集長の大久保 大介(オオクボ ダイスケ)。少し前に会社を差し押さえられたらしいが利息1.5%の15年ローンとやらで資金を集め、会社を取り戻したらしい。
「まぁちゃんと来てくれたしいいや。んじゃ、ここの取材行ってこいよ〜」
「はーい…」
灰原はまだ少し眠たそうにドアを閉め、取材に向かう。
「よし、行くか。」
灰原は頬をぴしゃりと叩くとバイクに跨り、取材現場へバイクを走らせた。
「ここが現場か…」
ここ最近多発している謎の誘拐事件。なんでも全くの痕跡を残さず綺麗さっぱり居なくなるらしい。
「神隠し…ってやつだよなぁ…」
ふと何かの気配を感じ、振り返るが誰もいない。
(なんだ…?)
早速現場に入ろうとすると警察に呼びかけられる。
「駄目だよ君ィ!許可無く現場入ろうとしちゃ!」
「あっすいません…」
「こんなところで何してんのさ?」
「あっえっとOREジャーナルってとこの記者で…取材に来て…」
「あのOREジャーナルか…あのねぇ、現場にそうやってズカズカ入ってこられるの困るのよ。帰って伝えといてよ!」
「は、はぁ…」
「ほら!帰った帰った!」
「はーい…」
と帰るフリをして物陰に隠れ、様子を伺う。
(このまま手ぶらで帰ったら令子さんにドヤされそうだしなぁ…)
しばらくすると警察達はパトカーに乗り込み、現場を後にした。
「よし…今だ…!」
誰にも見られていない事を確認すると素早く現場の部屋に入っていく。
「意気込んで入ったは良いものの何も無…痛っ!なんか踏んだんだけど…」
何かを踏んづけた足を押さえながら床を見ると四角く黒いパスケースのようなものが落ちており、拾い上げる。
「これは…?」
拾い上げた瞬間、激しい頭痛に襲われる。
「うわっ!なんだこれっ…!頭が…それにさっきの気配みたいなのを強く感じる…!」
次第に頭痛は治まっていき、落ち着きを取り戻す。
「なんだったんだ…とりあえず何も無いみたいだし帰るか…」
バイクに跨り、OREジャーナルへと帰っていく。その時カーブミラーにはバッタのような怪物が写っていた。
to be continued
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