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手紙は日に日に私の心に深く染みこんでいった。
高校時代の思い出や後悔、夢への迷い、そして――颯真への想い。
ある日、祖母の家の縁側で、私はふと目を閉じた。
颯真の顔、笑った姿、何気ない話し声が鮮明に蘇る。
「未来の私へ」――その手紙には、こうも書かれていた。
「颯真は、今でも君を想っている。
でも、彼もまた迷い、答えを探している。
それでも、君の夢も、彼の夢も、あきらめてほしくない」
その言葉を胸に、私は決めた。
もう、過去に縛られず、未来に向かって歩こう。
そんな時、颯真が静かに言った。
「実は……最近、仕事がうまくいかなくて。
絵を描くのが怖くなったこともある。
でも、君のことを思い出すと、また頑張ろうって思えるんだ」
その言葉に、胸が熱くなった。
私も同じだった。
「私も、あの頃の夢をもう一度ちゃんと追いかけたい。
そして、ずっと言えなかったことも伝えたい」
颯真は、ゆっくりと私の手を握った。
「俺もだよ、結花。今度こそ、後悔したくない」
未来の手紙が、私たちの背中を押してくれた。
それは、ただの文字じゃなくて、心の架け橋だった。
これからは、二人で歩いていこう。