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しばらくして.杉本と昼休憩の喫煙所にて.
「あれからどうっすか??新婚生活.」
「新婚生活って,まだ気が早えーよ.」
「でもいずれは挙げるんですよね??」
そこに珍しく宇佐美も参戦してきた.
「そりゃ挙げるつもりでいるけど.付き合って日が浅いから,話を切り出すのはまだ早いんじゃないかと….」
「甘いですね部長.会場の下見・料理の試食・衣裳合わせ等,式を挙げるまでの時間はざっと1年はかかるんですよ.挙げるつもりでいるなら今から話し合わないと」
「まじかー.甘くみてたわ.」
「人気の式場は早めに押さえないと.下手したら半年以上は予約で埋まってます.」
「やけに詳しいな先輩.」
「僕の彼女,ウェディングプランナーなんで.」
「それ初耳なんだけど.」
「先輩の彼女さんにお願いしてみたらどうです??部長.」
「いやそれは….」
宇佐美を横目で見れば彼はスマホを触っていて.
「退勤までには返信くると思います. 多分喜んで引き受けてくれますよ.」
お先に行きますね.と宇佐美は揚々と喫煙所を出た.
退勤後,菊田は🌸と待ち合わせして2人で決めた新居に帰る.
「ただいま.」
「ただいまー.すぐごはんの準備するね.」
「手伝うよ.」
お互いキッチンへ.
「あのさ.部下の彼女がウエディングプランナーなんだって.」
「えー!!すごいじゃん.」
「でさ,結婚式の準備に1年はかかるらしくて.もし🌸が良いなら今度…話聞きに行かないか.」
🌸は黙って料理を盛ったお皿を菊田に渡して.
「半ば式は諦めてたんだけど….いいの??」
「良いよ.」
🌸は感嘆のあまり息を呑んで口を手で覆う.
「楽しみだな,🌸のドレス姿.あ,指輪もみないとな.」
とそれから結婚式話に花が咲いた.
翌週,早速話を聞きに.シンプルな式にしたいと2人の意見は一致して,そのプランの下準備を進めることになった.その帰り.
「この古着屋さんのヴィンテージドレスがずっと気になっててね.」
と🌸は入るのに躊躇するようなビルの地下へ続く階段を降りる.
「すごい….」
菊田は思わず唸る.ゴシック様式の内装にカラフルな古着やアクセサリーがところ狭しと並んでいる.
「ここのね,海外ヴィンテージ服が大好きでよく来るんだ.」
と一通りブラウスやワンピースドレスを見て.
「これはまた….」
レジの近くのカバーにかけられたウェディングドレス達をみてさらに菊田は唸る.
🌸は店員さんと親しげに会話しながら,式を挙げる準備を進めていると話すと店員さんは自分のことのように祝福してくれた.
「これどう??」
🌸はハイネックで長袖レースのドレスを手に取った.
「良い.それにしよう.」
「え??まだいっぱい良さそうなのあるよ??」
「じゃあそっからそこまで全部買う.」
惚気全開の菊田.とりあえず試着するとサイズも丈もぴったりで,即お会計.
「さすが🌸.あれからスタイルさらによくなったもんな.」
「もう,わかったから…!!」
ドレスの入った紙袋片手に悪戯っぽく言って🌸の腰を抱いて街を歩く.かくいう🌸もまんざらでもなく応えるように身を寄せた.
「いやー.チェーン店だからって油断してたら,すごい旨かった.」
「でしょ.SNSで気になる食べ合わせしてる人いて,やっと出来たし美味しかったー.」
と某イタリアンチェーン店で食事を済ませ帰宅.
「ケーキ,お風呂上がりに食べるでしょ??」
「うん.」
老舗ケーキ屋でしっかりデザートも購入し,リラックスタイムの準備は万全に.
「夢じゃないんだよな.」
2人で湯船に浸かりながらふと菊田は呟く.
「どうしたの??急に.」
「なんか,ずっと好きだった🌸と一緒に居られるのが幸せすぎて.ある日突然夢でしたって全部が無くなったらどうしようと思って.」
「私も似たようなこと考えてた.こんなに幸せ続きなんて出来すぎやしないかって.」
「分かるわー.」
🌸は菊田の身体の中にすっぽり収まって.
「大丈夫.全部無くなったりしないよ.」
「うん.」
「それにさ,喧嘩しようが不幸のどん底に落ちようが何があっても離れたりしないよ.」
「うん,俺も.」
「のぼせる前に,早く上がってケーキ食べよ??」
「賛成.」
これから過ごす年月を共に居られる喜びを噛み締めて,また1日夜が更けていく.