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溺れてし まえ ば、 楽なのに

「お手を離していただけますか?」


ショッピの声はいつも通り低く、丁寧だった。けれど、その手を掴んでいるゾムは、まるで聞こえていないかのように指先を絡めた。


「やーだ。今日も冷てぇな、ショッピは。」


「別に冷たくしているつもりはありません。ただ、距離感は大事かと。」


「俺はもっと近くなりたいんやけど?」


ゾムの顔が近い。ショッピはわずかに眉を寄せるが、それ以上は言わない。そう、彼は決して拒まない。けれど、決して許しもしない。


そんな彼の“曖昧”な態度が、皆を余計に狂わせていた。




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