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誰も知らない、高嶺の花の裏側3
第113話 〚尊さは共有され、秘匿される〛
― りあ視点 ―
――これは、
言わなきゃダメなやつ。
でも、
本人たちには絶対バレちゃダメなやつ。
私は、
確信していた。
第110話のあれは、
事件。
事故。
いや、
神回。
だから私は、
オタクモードに入った。
静かに。
確実に。
まず、
えま。
「ね、聞いて」
声は小さく。
目は真剣。
次に、
しおり。
次、
みさと。
りあ的には、
この順番が大事。
内容は、
必要最低限。
でも、
情景は完璧に。
「階段ね」
「町並み見えて」
「澪、踏み外して」
「海翔、手首」
ここで、
全員の目が変わる。
「え、手首……?」
「手首はやばくない?」
「それ、
少女漫画だよね?」
私は、
深くうなずく。
「うん。
しかも、
すぐ離した」
――沈黙。
次の瞬間。
「「「尊……」」」
そこからは、
早かった。
噂は、
広がる。
でも、
形を変える。
・名前は出さない
・時間はぼかす
・場所はふわっと
・でも尊さはそのまま
女子クラスメイト、
ほぼ全員が
どこかで聞く。
「聞いた?」
「なんかさ、
触れてないのが逆に……」
「分かる」
「分かる」
誰も、
大声では言わない。
なぜなら。
――これは守る系尊さ。
澪には、
絶対聞こえない距離。
海翔にも、
絶対届かない角度。
本人たちは、
いつも通り。
気づいてない。
でも、
女子たちは
一つになった。
「邪魔しない」
「からかわない」
「見守る」
私は、
満足した。
尊いものは、
独占しない。
でも、
本人たちの平穏は
最優先。
オタクとして、
完璧なムーブ。
今日も私は、
胸の奥でそっと叫ぶ。
(手首……!!)
でも、
口には出さない。
だって。
これは、
バレない尊さだから。