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唇が重なったまま、凪の後方に重心をかける千紘。凪とは違ってバスローブを羽織っていない千紘の胸板に凪の左手が触れた。
バランスを失いかけ、持つところを探している。そんな様子だった。
千紘はその腕を掴んで自分の首へと回した。そのまま体重をかけ、凪の体を支えながら後頭部をベッドへと降ろした。
自然と組み敷かれた凪は、唇の形を変えられながら、時折息を漏らした。
「まっ……」
「待たない。待ってたら時間なくなっちゃうよ。嫌か嫌じゃないかだけで判断して」
的確な千紘の指示で凪はぐっと唇を閉じた。あんなに拒んでいたキス。怖かったから、痛かったから、だから嫌だった。そもそも男だから嫌だし。そうは思うけれど、突き放して振り払って逃げ出す程の嫌悪はなかった。
「……嫌、だ」
「何が嫌? キス?」
凪の耳元で千紘が囁く。吐息が触れるとゾクッと腹の奥が痺れた。そういえばあの時も、耳を責められて体がジンジンした気がする。
そう思ったら急に下半身が熱くなって、密着した千紘の腹部を押し上げていた。
「耳、弱かったもんね」
凪が考えていることを見透かしたかのように言った千紘は、指先でツツッと凪の横腹を撫でた。てっきり耳に刺激を与えてくるものだと思った凪は、予想外の場所に思わず体を仰け反らせた。
「はっ……」
「ん。感度良好だね」
千紘はゆったりそう言いながら、凪の顔の隣に腕を置く。身を屈めて今度はその耳に舌を這わせた。
「っ、やっだ……」
ふるっと震えた凪が身を縮めた。肩をすくめて、千紘の鎖骨に触れた。
「でも、こっちはもっとって言ってる」
千紘は腹部を押し当て、反応した凪の竿に触れた。
「っ……違っ」
「恥ずかしくないよ。大丈夫。素直に気持ちよくなっていいから」
優しい千紘の声が響き、凪の頬に軽くキスを落とすと、再び濡れた耳にも唇を押し付けた。
「マジで待って、まっ……んっ」
凪の手が千紘の肩を押し返した。しかし、耳にピチャリと音が響いて甘い快感が訪れると小刻みに体を震わせ、吐息と共に声が漏れた。自然と声が出てしまうのを押さえるように、凪は千紘の肩に添えた手を口元へと持っていった。
抵抗がなくなったのをいい事に、千紘は耳の軟骨部分を甘噛みする。前回も歯を立てる度にビクビクと体を反応させていたのをよく覚えていた。
「っ……ん、んっ……」
口を押さえながらも喉の奥で声がする。千紘が期待していた通りの反応をする凪に、千紘も自然と口元が緩んだ。
「ここ、気持ちいね?」
凪は声を発したら、本意でない声まで出してしまいそうで、無言のまま首を左右に振った。しかし、足の付け根からじわじわと熱が集中し、反応した先端にぎゅうっと血流が回る。
千紘の指は軽やかに凪のバスローブのボタンを外していく。慣れた手つきで襟元を開き、掌全体で凪の素肌に触れた。
「んんっ! やめっ、触んなっ!」
ようやく凪が大声を発したが、凪の足の間に腰を押し付けた千紘が体重をかけ、完全に凪の身動きを止めた。胸の突起を爪で引っ掻いて、耳穴に舌先を突っ込んだ。
「うぁっ……っぁ、やっ」
今度こそ凪の甘い甘い声がこぼれる。ようやく聞きたかった声が聞こえて、千紘の聴覚は幸せに震えた。
「もっと声聞きたい。声可愛い」
「かわ、いくねぇ! っん、あっ……はっ」
悪態をつく凪だが、抵抗する隙もなく、いいように指と舌とで執拗に攻められていく。その内、凪のそそり立つ先端から蜜がこぼれ、千紘の腹部をぬるりと滑った。
「こっち、触ってほしいの?」
耳に刺激が加わる度に、ビクンビクンと大きく上下する。まるで自ら意志をもっているかのように千紘にアピールするものだから、千紘は尋ねながらもやんわりとそれに触れた。
千紘は硬くなった竿を逆手で優しく触りながら、唇を首筋へと移動させた。こちらが弱いことも実証済みである。
凪の体がビクビクと反応し、必死に声を押さえる姿が可愛くて堪らなかった。
やっぱりいい反応するよね。いい人ぶってるだけじゃ、欲しいものなんか手に入らない。凪の気持ちを尊重してあげたい気持ちもあるけど……せっかく求めてくれたこのチャンスを逃すわけにはいかない。
体を試すだけ。凪はそう言ってた。別にそれでもいい。今はね……。
俺を利用して、体の変化を体感すればいい。その内快感に溺れて、俺の体を覚えたらいい。強い刺激を欲して、俺を求めたらいい。求めてくれるなら体だけでもいい、セフレでもいい。
とりあえず、今は。でも絶対いつか、俺のモノになってもらうからね。
千紘は心の中で凪に投げかけながら、綺麗に筋肉のついた腹部を撫でた。
「んんっ……」
「筋肉綺麗だね。俺も鍛えてるけど、ちょうどいい割れ方だ」
しっかりとできたシックスパック。凪が快感に耐えるように力を入れる度に硬く綺麗に形が作られた。
「っ……ん、ん」
未だに竿を握られたままで神経は全てそちらに集中してしまっている凪は、千紘の声など届いていないかのように目を瞑って声を殺した。
あんなにも嫌がっていたはずが、憎まれ口も叩かずにただ快感に耐えている。その姿がたまらなく愛らしく、千紘はもっと凪を気持ちよくさせてあげたいと思った。
触っただけでこれなのだから、別の刺激を与えたら一体どれだけ反応してくれるのか。千紘は期待しながら体を起こすと、凪の足の間に顔を埋めた。
蜜の垂れた先端を目掛けて舌を伸ばすと、味見をするかのようにチロリと舐め上げた。
「はっ……っ……」
凪の体は大きく仰け反った。必死にシーツを握りしめて、歯も食いしばる。オーラルセックスなんて、男が相手じゃなくてもいくらでも経験あるだろうに。そう思いながらも千紘は素直な反応を嬉しく思った。